2008-06-08

感染する精神崩壊……一番弱く、一番怖いのは「人間」なのかもしれない。。。 このエントリーを含むはてなブックマーク 

「『エクソシスト』の伝説が遂に塗り替えられる。」
その言葉を耳にして、見に行かないわけにはいかない「BUG」。
主演は、「ダブル・ジョパディー」「サイモン・バーチ」のアシュレイ=ジャッド。
美しい彼女の大ファンでもある僕は、久々に会える楽しみも胸に試写会に向かった。
競演には、ジャズ・ピアニストでありながら、俳優としても着々とキャリアを築いているハリー=コニックJr.の名前も見られる。
それでいて、サスペンス・ホラーなのだから、楽しみにならないわけがない。

一本の電話……けたたましく鳴り響くベルで幕を映画は開ける。
アシュレイ=ジャッドは、息子を失って心に大きな傷を負い、その上、夫の暴力から逃げ回っている主人公ということで、疲れ果てた装いをみせる。
酒とドラッグに身を染め、人間の弱い部分を曝け出した主人公。
そこに、前触れもなく現れる青年。。。
大人しくシャイな感じで、人間付き合いが得意とは言えない性格のようだ。
どうやら彼も辛い過去を抱え、心に傷を持つらしい。

そんな彼との出会い……心の傷を舐め合いながら、関係を深めていく二人。
本能に従い、愛し合う二人の映像は、いかにも人間的で美しい。

しかし、それまでの平穏な空気がよどみ始めるのはそれからのことだ。
突然物語りはジェットコースターを滑り落ちるが如く、進み始める。
主人公を見つけ出し、恐怖と不幸な過去を呼び起こす元夫。
影の部分を露に見せ始める青年。
狂気……見るに耐えない精神崩壊は、感染し、誰にも止められなくなる。
BUGは本当に存在するのか?
電話の主は?電話の意味は何なのか?
増え続ける謎に囲まれながら、そんな謎のことは考えられなくなっていく。。。
落ちていく。。。その言葉が一番似合うのかもしれない。
人間の一番弱い部分である心、精神にBUGが入り込んでしまうと、人間は壊れていく。。。そう、あたかもパソコンやネットワークにBUGが入ると機械が壊れてしまうように。。。

そして、物語は壮絶な最期を迎えることになる。
しかし、この映画の恐怖に感染した我々には、それが既に現実なのか妄想なのか……判断することすらできなくなっているのだ。

もろくて弱い心を持つ人間は、思っている以上に弱い存在なのかもしれない。
しかし、精神が崩壊し、狂気に走った人間ほど怖い存在もないのかもしれない。
痛いほど、怖いほどに、そのことを痛感させてくれる映画であった。

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しもちゃん

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しもちゃん

“3人の子供を持つパパです”


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