2008-06-26

「Slow Sex for WOMAN」1・「Gスポットの秘密」 このエントリーを含むはてなブックマーク 

さて、なんだかんだですっかり紹介が遅くなってしまいましたが、
実は今月、ハウ・トゥー・セックスDVD、
『スローセックス・フォー・ウーマン』が、
拙訳にて、こちらのUPLINKさんから発売になりました。

この、シンクレア社から出ているシリーズは、
翻訳されるのはこれで3作目となりますが、
今回は、一番最初に発売した『カーマ・スートラ』を再収録した、
『魅惑のエクスタシー・マッサージ』『Gスポットの秘密』を含む3枚組です。
タイトルこそ、フォー・ウーマン(女性用)となってはいるものの、
男性が見たって別に悪くない…というか、
男性のためともなるスローセックス指南となっていますので、
その点はお間違いなきよう。

さて、それはともかく、同じ翻訳とはいっても、
字幕というのは字数制限があるので注釈がつけられず、
また、書籍と違って後書きも書けないので、
訳した後になにかと心残り…
というわけで、しばらくここでちょっとこの作品の、
解説と補足をさせていただきましょう。

まず、disc3の『Gスポットの秘密』。
タイトルともなっているこのGスポットについては、
さすがにどこにあるのかを実際には知らなくても、
今時どういうものであるのかを知らない方は、男女ともにいないことでしょう。
なにか知らないけど女性の体で、
刺激するととっても気持ちいいと言われているところ…。
もしかすると、一番感じると言われているクリトリスよりも…。
そう、それは女性のヴァギナの中にある性感帯。
60年代後半のマスターズ&ジョンソンの報告で、
クリトリスこそが女性のオーガズムの源泉であると証明された後ですらも
(それは、挿入ではイケない女性たちを蔑む男性に対する勝利宣言でもあった)、
ヴァギナ内部の快感の是非についてはフェミニスト同士の間でも言い争われ、
優勢なのは、クリトリス・オーガズムなのか、
あるいはヴァギナ・オーガズムなのかは、決着がつかなかった。

でも、もうどっちでもいいんだよ、
クリトリスだって、ヴァギナ(Gスポット)だって。
どのみちGスポットは、正常位でペニスを挿入したって当たらない所にあるんだから。
それは、このDVDの中でも、
Gスポットの命名者の一人である性科学者、べバリー・ウィップル博士によって改めて述べられている。
だから、ヴァギナで感じたって、ペニスに屈服したことにはならないし、
逆の言い方をすれば、
挿入だけではイケなくったって、男に文句言われる筋合いないの。
まさに、フェミニストの面目躍如ですね!
というのはもちろん冗談で、
実際には大勢のフェミニスト、及び自らの肉体に意識的なレズビアンたちは、
自分たちの体に対する好奇心と探究心には並々ならぬものがあったので、
ヴァギナ内部の性感を放棄することなどなく、自らの手であくまで追求し続けたのであった。

このヴィデオは、そのようなアメリカン・フェミニズムの伝統をふまえた作りになっています。
とは言ってもこれは、シンクレア社という制作会社の性質上、
女による、女のための、女だけのヴィデオではないので、
最初に紹介したように男性による実演もあるし、男性の識者による解説もあるし、
男性のためにもなる内容ともなっています。

前置きだけでずいぶん長くなってしまいました。
では、肝心な翻訳の補足に移ることにいたしましょう。

このGスポットに深い関連があるのが、「女性の射精」(chapter9)ですが
(古典的用語では、いわゆる「潮吹き」ですね。
でも私、この言葉、なんかおじさん趣味みたいでやなんですよ)、
ここでいきなり出てくる「ケーゲル棒」。
これはなにかと言うと、ヴァギナを鍛錬するためのバーベルのことです
(あっさりバーベルって訳せばよかったね。
でも、日頃使わないでいると名前忘れちゃうんで、と言うのも冗談だけど)。
バーベルと言っても、あくまでヴァギナ専用なので、
形状・質量ともにかなり細身でlightですが、ヴァギナを鍛えるにはこれで十分らしい。

女性はこれを挿入してヴァギナを締めたりゆるめたりすることで、
その一帯の筋肉を鍛えられるというんですね。

なんで鍛える必要があるのか?
それは締まりをよくして快感を高めるためだと言われていますが
(しかしそもそも、十分に感じれば十分に締まるはずなのだが)、
ここではその点には特に言及せず、射精力を増強するための道具として紹介されています。

なので、ケーゲル棒が出てきた後の下りの、

/女性の射精はGスポットの反応と見られ
/PC筋の強さに関係があります
/ケーゲル棒でPC筋を鍛えれば
/射精しやすくなります

という部分の、やはり唐突に出てくる「PC筋」というのは、
その筋肉のことであって、別名を「ケーゲル筋」とも言い、
尾骶骨から恥骨にまたがっていて、排尿をコントロールすることもできる筋のことです。

だから、尿道からの体液の放出現象である射精は
(女性の場合も、尿道ということになっていますね、このDVDでは。
かつては、尿道とは別の細い管から出てくるという説もあったのですが)、
このPC筋を鍛えることによって、しやすくなるというわけなのです。

ちょっと、話がめんどうになってしまったでしょうか…。
なにぶん、解説つけられなかったんで…。
ちなみに、なにかと研究している方ならすでにご存知でしょうが、
男性にももちろんこのPC筋はあり、
これの鍛錬で飛距離が延ばせるとか…やっぱりそうですよね、
誇らしげに体液を放出する女性の射精ヴィデオなどを見るとそう思います。

さて、こんなふうに書くと、
なんでゆっくりまったりがスローガンのはずのスローセックスの実践に、
新たにGスポットの開発が必要なのか、
しかもなんでバーベルを使ってまで、自己鍛錬などしなければならないのか、
などという疑問とともに、かえって腰が引ける方もいるのではないかと思いますが、
それはだから、ペニスの挿入に直行しがちなセックスの観念を塗り替えるためであって、
そのためには、ペニスでは刺激できないGスポットの快感のすばらしさも伝える必要があり、
しかもその快感をより深く味わうためには、自己鍛錬もしたほうがいいよ、というだけの意味であって、
なにもみんなにせっせとヴァギナを鍛えろ、と言っているわけではありません。
みなさん、あくまで自分流でいいのです。
単にGスポットは、ともに快楽を長引かせるためのオプションであり、
ここでの取り上げ方は、実にアメリカ的な、徹底的探求精神によるものであるとも言えるのです。

しかも、この『Gスポットの秘密』では、
自分でGスポットを見つける方法だけではなく、
パートナーとともに時間をかけて、気長に見つける方法も紹介しています。
それこそゆっくりまったりとした、スローセックスの精神そのものですね。

大丈夫!
これを見たからと言って、あなたがGスポットだけにこだわることにはなりませんし、
万一見つからなかったり、あるいは射精できないからといって、
自分はつまらない女なのでは、などといじける必要もありません。
このDVDの中には、イクことにすらためらうような奥手の女性も登場しますし、
射精よりもそこに至るまでの道筋を味わいたい、などと言う稀有な男性も登場するのですから。

でも、やっぱり自分の体については、少しは知っておいたほうがいいかもね…。

ふう、仕事にかかわる話となると、どうしてもいつものようにねこをかぶってはいられません。
虎の本性(いや、一面ってことで)が、むき出しになってしまいます。
次回は、disc2の『魅惑のエクスタシー・マッサージ』について、
多少の解説&補足をしておきたいと思います。

『スローセックス・フォー・ウーマン』
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Reiko.A/東 玲子

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“human/cat also known as Nyanko A 人間/ねこ。またの名をにゃんこA”


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