2016-01-24

「VOCA展2016」に参加します。 このエントリーを含むはてなブックマーク 

 VOCA展という、20年以上続く権威めいた不透明な委員会が運営する展覧会に参加することになった。
 今回の日記では、とりあえず、先日自分のブログに投稿した文章の日本語訳を記しておこうと思う。ただし、以下の訳文には極めてコンセプチュアルに制作した作品の制作意図やプロセスについては書いていないので、それは改めて書きたい。

参照先ブログ:
http://yoshihirokikuchi.blogspot.jp/2016/01/voca-2016-exhibition-with-problem.html

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 日本において最も影響力*のある(とはいえ、影響力は年々減少しているように思う)、しかしながら信頼しがたい委員会によって運営され、20年以上続いているコンペ形式の展覧会「VOCA展」に参加する。信頼ができない委員会というのは、主に次の理由による。つまり、優れたアーティストが賞をもらえず、退屈なアーティストが毎年受賞をするという理由だ。だから、この展覧会は、その保守的な価値観と不透明な運営のせいでしばしば批判の対象になってきた。

 僕の参加は友人の友人の学芸員によってノミネートされた。彼と僕はVOCA展に対する批判を共有し、幾度もディスカッションし、単純な制度批判でない究極の批評として—なぜなら、単純な制度批判は、その制度にすぐさま回収されるからだが—くだらない(屁のように軽やかな)爆弾を投下するべく僕らの美学的な思想を立ち上げた。そうして、そこに展示される僕の作品は、コンセプチュアルに攻撃的なもの(それでいてユーモラスなもの)で、お花畑クラスの審美眼しかもたない展覧会の委員会に対する(加えて一部のアーティストたちにも)強烈な皮肉を備えたものになり、意図した通り受賞はしなかった。僕は審査委員会の人たちが、僕らが何を行ったかについて全く理解できなかったと思う。やれやれ、でもよかった。(でも困ったことに、作家と連絡をとってくださるスタッフはとても親切。それについては、ありがたいと思ってます。)
 「VOCA展2016」のウェブサイトを見てください。日本語しかないことが、この展覧会の国際的な視点を持たない保守的な性質を如実に表していると思う。
http://www.ueno-mori.org/exhibitions/main/voca/2016/

*過去に出品した作家には、村上隆、会田誠、奈良美智、田中功起などがいるが、彼らは全て受賞していない。VOCA展内での評価と現在の知名度との落差が、逆説的な影響力を示唆している。(僕が好きなアーティストという意味ではありません)

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原文:
I will participate in Japan's most influential (its strength is getting less though) competitive exhibition called VOCA which has 20 years history, run by the trustless committees, means it is an object of my(our) skepticism by this fact; better artists lost awards and boring artists get them every year. So this exhibition has been targeted to be criticized often, because of the conservative aesthetics and the opaque governance.

My participation was nominated by a curator who is a friend of my friend. He and I have shared the critical attitude to VOCA and discussed many times and built our aesthetics to drop a farty/fart-ish bomb on it as an extreme criticism not as just a negation, because simply easy negation about the system will be assimilated by the system. So, my works which will be exhibited there are conceptually offensive (but funny), and have strong irony to the flower-brained aesthetics they (also including some artists) have, that is passable domestic only. As we intended, I lost the awards! I guess the committees can't understand completely what we did... HA! NICE!
(But staff of VOCA are kind to the artists inconveniently... thank you)
Visit the website of VOCA 2016. There are only Japanese that express eminently its conservativeness without international point of view...
http://www.ueno-mori.org/exhibitions/main/voca/2016/

※画像は、制作で使用したプログラミングの画面

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http://yoshihirokikuchi.org

キーワード:

VOCA展 / 現代アート


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菊地良博

ゲストブロガー

菊地良博

“宮城県在住 美術家/実験音楽家 ”


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