2008-07-22

覚悟を決める瞬間 このエントリーを含むはてなブックマーク 

 小学校高学年の頃に田舎にある僕の家は新築された。それに伴って、祖母の住む隠居も新築の家に増築される事となった。増築といっても半分はすでに出来上がっている部分を利用していたので、玄関は最後に作られた。昔から屋根に上るのが好きだったので、改装中の頃もよく作りかけの玄関の上の屋根に上って日向ぼっこして、昼寝をしていた。

 そんなある日、夕方まで寝ていたときがあって、戸締りの時間を過ぎてしまい、屋根に上るための窓を内側からしめられてしまい、屋根に孤立する状態になってしまった。屋根で寝ているなんて家族は知らないので、躊躇なく鍵をかけられた。変にプライドの高かった僕は、「助けてー!」なんてカッコわるくて言えやしない。山の中だから街灯なんかなく、あたりも暗くなり始め「どうしよう、どうしよう」と焦り始めた時、「あいつどこいったなだ?」みたいな声が聞こえ、名前を呼ばれる始末。こうなってから見つかったのでは本当にカッコ悪い。

 考えた末に目に入ったのは一本の柱(真新しく、いい感じに角ばっていて、すべりおりたらトゲが確実に刺さる)。つたって降りるしかないのか? 絶対痛い。そしてむしろ落ちる可能性もあるし…。他にはないのか? ない。ため息をつきつつ。心を決めた。

 意外にもあっさりと地上へと帰還した。しかし、すべりおりた為、柱に接触していた部分が赤くなっていて、トゲの刺さった箇所もあったと思う。でもそんなことはまったくなかったかのように家族の輪にもどった。心の中で不安と大戦争を展開し、覚悟を決める瞬間。そのときはめちゃくちゃに怖いし、不安だし、逃げ出したい。でも実は覚悟を決めてやればけっこうあっさりとクリアーできることが多いんだよね。

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音区間

ゲストブロガー

音区間

“傷を隠さず、爪を隠して生きていこう と思ってはいますが……。主張してしまう未熟者”