2017-03-14

ところで、大河の『直虎』 このエントリーを含むはてなブックマーク 

すでに、大河ドラマの中で歴代一つまらない、という書き込みも見受けられるようだが、
今まで全部見てきたことがあるわけじゃないからさすがにそうは言えないものの、
やはり自分にとっても、これは「激しく」つまらない。

直虎が「天燃」過ぎて、落ち着きがなく、威厳もへったくれもないからだろうか。
「おんな城主」と前ふりをつけるぐらいなのだから、
ヒロインの男勝りの気概や、度量や、肝の据わったところを見せなければならないはずなのに、
直虎は確かに男勝りではあっても、単なる直情型で、どちらかと言えば考えなしのタイプ。
おまけにとっても子供っぽい。
明るくハキハキした主人公が走り回っていれば、見ているみんなが元気づけられるってわけでもないだろうに(この大河の方向性は、そういった朝ドラ型+ちょっと韓流、だと思う)。

よい例だと思ったのが、第8話の『赤ちゃんはまだか』というホームドラマ並みのタイトルの回。
すなわち、直虎の器の小ささがあらわになった回だった。

直虎の元許婚である直親の妻、しのが、後継ぎのできないことでノイローゼ状態になってしまい、
直虎に、あなたが私を恨んで呪っているのではないのか、と言いがかりをつけた時、
「恥を知れ!」(井伊家の奥方がそんな情けないことを言うとは!)
ときっぱりと言い放ったところまではいいのだけれど、
その後で、
「今日のこと、父上と母上に申し上げる。いかなる沙汰を下されるかお覚悟召されるがよい!」
と脅したところ。
いくら言いがかりをつけられて腹が立ったとはいえ、そんな無慈悲なことを言うなんて。

ここは本来ならば、
「今日のこと、父上と母上には申し上げずにおく。一人でよく頭を冷やすがよい」
とか言って、自分も頭を冷やそうとしながらカッコよく静かに立ち去っていくべきところではなかろうか。
少なくともそうすれば、未来の城主である直虎のいい見せ場となったはず。

その直虎の母親も、ほかの場面ではともかく、この回ではなんだかとんちんかんで、
乱心のあまり自害しかかり、直虎にさえ刃を向けたしのが、
その後一転して心を入れ替え、あと1年は子作りに励ませてほしい、と夫婦共に願い出たところに向かって、
「一つだけ約束をしてください」
と言ったかと思うと、
「二度と私の娘を襲わないでくださいませ」

ここだって、本来ならば、
同じ「二度と」で始めても、その後は「そなたの命を粗末にしようなどとは思うものではありませんよ」
という、やさしくも厳しい戒めの言葉であるはず。
少なくとも、井伊家当主の奥方として望まれるべきせりふはそういったものだろう。

このような登場人物たちの、本来ならばこうであってほしいと思われるような役柄とはちぐはぐな、軽率な言動は、
このドラマを新しく見せるわけでも、意外性でおもしろがらせることができるわけでもなく、ただ彼らの存在を小さく見せるだけ。
つまり、この大河は、
タイトルだけは豪胆なものを感じさせるのに、
実際にはかなり小物のヒロインが、目先のことに翻弄されて右往左往するだけの物語に思える。
直虎はこの先も、行き当たりばったりに生きていくのだろう。
初恋の男と結ばれなかったのも、抗いがたきただの運命。
この先城主の座に収まるのも、あらかじめ決めまっていたただの運命。
そうして、やれお家の一大事、だの、竜宮小僧の務め、だのなんだの言ってドタバタするだけに違いない。
亡き父に美しく成長したとは言われたものの、いつまでもたっても鈍感でなんの色気も感じられないし、
お寺に入った割りには、ちっとも内省的な部分が育まれたようにも見えないし。

これだと、今のところヒロインを差し置いて一番気になるのが、
同情も手伝って、幼き頃から心に陰りを持ち、後に大問題を起こすことになるのだろう、直虎の幼なじみにて、井伊家お目付け役の小野政次になってしまうのだが。
しかし史実からすると、この政次も、
いい男ってことになってるのだろうけれど、あんまりよくは見えない井伊直親も、
それほど遠くない日に非業の死を遂げるのであろうから、
そうするとその後、視聴者を牽引するのは誰になるのであろうか(家康?)。
なにせ、直虎にはろくに人を引き寄せるだけの魅力が感じられないし。

ところで、私は今年は新パターンの大河の見方をしていて、
通年、大河を見続けることに挫折しかかる3月になって初めて、録画しておいた第一回目を見たのだが、
そのため、ほとんどのエピソードをまとめて見ることとなった。
そうでもなければ、心に残らな過ぎて、とても第10話まで見続けられたとは思えない。
いっそタイトルも、『竜宮小僧走る!』とかいうおちゃめなものに変えたらいいのではないかと思ったぐらいの軽々しさ。

この後もとりあえず録画だけはしておくかもしれないが、
いつの日かまたまとめて見ることがあるのかどうかはもはやわからないほどの、
骨子の感じられない今年の大河である。

キーワード:

おんな城主直虎 / NHK / 大河


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Reiko.A/東 玲子

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