2008-08-19

アニメーションの本分は、絵を見せること このエントリーを含むはてなブックマーク 

 「アニメーションは、押井さんや宮崎アニメが随一」などと思っている人には、このスタジオ4℃の「Genius Party」シリーズを、果たしてどれくらい受け入れているのだろうか。絵作りを前作よりも大切にしている、ように観られた今回の作品群は、少なくとも絵を中心に観るアニメ・ファンには、大いに受け入れられるものになると思う。

 今回の作品群には、それぞれの監督にひとつのポリシーがあるように思う。
前田監督は、音楽と動画との激しいコラボレーション、
中澤監督は、暗い絵作りとコミカルなキャラクターとの融合、
大平監督は、童話の絵本のような絵柄がどこまでアニメーションとして通用するのか、
田中監督は、鉛筆画のような絵がCGアニメにどこまで対抗できるのか、
森本監督は、マグリットのような世界観(多分好きな画家だと思うが)をアニメで表現してみること、
と、監督本人たちの思いなど関係なく、観たままで感じた見どころを並べてみたが、どれも共通して言えることは、それぞれにキャンバスに好きな絵を描くように動画させて、アニメーターとしての技術の高さをスクリーンに見せつけている、アニメの世界でも高価なものを見たと観客に思わせていることだ。それは、それぞれの監督にある、意地ではないだろうか。

 今回の作品群を、単純に、イメージの羅列と言ってしまう批評は、とてもたやすいアニメーションの見方だ。さしたる物語がない作品ばかりなので、そう感じてしまうのは仕方ないことだとは思うが、それぞれの作品を描いたアニメーターたちの絵作りの素晴らしさだけでも丹念に見ていくと、今回の「Genius Party」はとても面白く観賞することができると思う。

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山中英寛

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山中英寛

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