2021-09-01

濱口竜介監督「ドライブ・マイ・カー」(TOHOシネマズ新宿)を観て。 このエントリーを含むはてなブックマーク 

地味なタイトルとキャスティング。おまけに3時間という長尺。村上春樹が原作だとしても、カンヌで脚本賞をとってなきゃ観てない映画だろう。演劇テキストになるような稽古風景と俳優達の心象が描かれていた。これもなんだか珍しい。おそらくここら辺は、原作には無い部分であろう。サーブ900車内での岡田将生、一世一代のワンカット。北海道の雪山をバックにした西島秀俊の長台詞。リハ散々やったンだろうなあ。想像するだに恐ろしいほど。演劇祭のスタッフ役のオバちゃんの台詞「二者択一です」。これは良かった。このオバちゃん、とても良い。
ラストシーンをどう解釈するのか。わざと演劇的なエンディングにしたのか。終演後の酒がすすむ。ややもすると、ハルキ小説朗読会になってしまいそうな棒読み演出を、3時間飽きずに観させた。原作と「ワーニャ伯父さん」読んでおこう。

追記。
一夜明けて。どうも後味が悪い。よくよく考えてみたら、西島秀俊の妻が嫌いなんだ。俺。セックスで閃くプロットを旦那に覚えさせる脚本家(しかも元女優!)なんて、こちらから願い下げだ。(向こうも相手にしないだろうけど)。おまけに多情で自宅にオトコを連れ込むオンナなんて。そんなメンヘルだかチャネラーだかワケわかんねえ女を愛するどころか、シンパシーのカケラも無いぞ。どうかしてるぞ。西島秀俊、岡田将生。これは原作にあった設定なのか。脚本家で作りだしたとしたら、どうかしてるぞカンヌ映画祭。ああ、スッキリした。ネタバレバレだぜ。ザマミロ。週刊文春のコラム「本音を申せば」を終えられた小林信彦氏に、この作品のご意見を伺いたかった。八木橋さ~ん。現場からは以上です。

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大倉順憲

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