2021-10-10

瀬々敬久監督「護られなかった者たちへ」(渋谷TOHO)を観て。 このエントリーを含むはてなブックマーク 

 東京五輪女子ボクシングの決勝戦。入江聖奈は笑顔でジャブをカメラ目線で打ちながら入場し、金メダルを獲得。エンゼルスの大谷翔平は、死球を受けようが敬遠されようが、笑顔で対応。白く灰になった矢吹丈や、目の玉が燃えている星飛雄馬は、もう流行らないのだろう。
 
 「笑顔」か。笑っていれば本当に良いのだろうか。
 倍賞美津子さん演じる老婆(見事だった!)は「いつも笑顔で」を繰り返していたが、口角を上げていれば良いというものでもない。福島に、宮城に、いや日本が本当に笑える日は、いつ訪れるのだろう。と、考えさせられた作品だった。

 佐藤健。アイドル俳優のように感じていたけど、お見それ致しやした。失礼しました。
ラストの説得シーンには泣かされました。三白眼になり片目が引き上がる目元は、かつての中島陽典氏を思い出した。瀬々監督作品。全部は観てないけれど(ピンク時代も含めて)最高の出来ではないか。(チラシコピーの「魂が泣く」は頂けないけど)。(EDTMがサザンなのも如何なものかと思ったが、企画・製作がアミューズだった。なら致し方ない)。

 映画館からの帰り道。震度5の地震、2日後にこの映画を観てしまい、ひとり暮らしの寂しい中年は不安になる。(以前から日々漠然とした、そこはかとない不安は常にあったが)
『とりあえず何か災害グッズを買っておこう』と、ヤマダ電機をウロウロすると、<災害用の手回しラジオ>を発見。『ラジオマニアの俺にとっては、まずこれを買おう!』…値段を見ると1万円。『またこんどにしよう』と、自宅でマイヤーズラムを痛飲。

 これだから俺はいまだにまったくもってうだつがあがらないのだ。

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大倉順憲

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