2022-04-01

瀬々敬久監督「とんび」(試写・一ツ橋ホール)を観て。 このエントリーを含むはてなブックマーク 

 高校1年の冬だった。毎晩のように、バイク、煙草、ロック喫茶、週末は大阪ミナミでディスコと遊びまくってた俺が久々家に帰って一家団欒の食卓についたところ、親父が飯を喰いながら「お前最近なに考えてんねん」とボヤき、俺は不貞腐れて「いや別に」と答えた瞬間、豪快なちゃぶ台返し!星一徹にも負けない見事な大技を掛けられた。ちゃぶ台じゃなかった、ダイニングテーブルだ。重いぞ。食卓が滅茶苦茶じゃないか。料理自慢の親父が作ったオカズがグチャグチャだ。皿も割れちゃってるぞ。俺が原因なんだけど。親父も失業中で、ストレスが溜まってたンだろうが。あんなに激怒した親父は、後にも先にも無かった。もういちど言う。俺が原因なんだけど。申し訳ございません。親孝行、したいときには親は無し、かあ。

 この作品。たぶん原作者である重松清の半生がモチーフになってるンだろうけど、昭和の父子家庭、それも地方都市にはよくあった話だと思う。クサい話を、ここまでクサく描くと、なかなかサッパリスッキリしていいもんだ。瀬々監督の前作「護られなかった者たちへ」のテイスト、長編「ヘヴンズ ストーリー」での冒険、「64」の切れ味は何処へ。まあ、いいか。こういうのもありですか。

 阿部寛が幼い頃に自分を捨てた父親に会いに行くシーン。親父は病床で鼻や口にパイプを突っ込まれて、ひと言も言葉を発せない。台詞の無い父親役…どこかで見たことがある。白髪のおかっぱ頭と肌の艶の良さは…あ、足立正生さんだ。若松プロの、おまけに元日本赤軍の。こういうキャスティング、いいなあ。「ヘブンズ」の山崎ハコも良かったけど。
 
 足立さん出演シーンの後、『若松プロつながりで、小水ガイラさんも出るかもしれないぞ』と、エキストラの中にも大男を捜していたら、守衛役でデカい男が出てきた。
『あっ、ガイラさんだ』と喜んだら、嶋田久作だった。なんだよ。チェッ。

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大倉順憲

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