2008-11-24

パリの街も人生もさまざまな味わい このエントリーを含むはてなブックマーク 

セドリック・クラビッシュといえば、「スパニッシュ・アパートメント」を思い出し、
今回の「パリ」も同じような群像劇では、と思いながら、見ました。

主人公はクラビッシュ作品にはおなじみのロマン・デュリスですが、
今回は心臓移植するしか助かる道はない元ダンサーという、
今までにない役柄でした。
パリの市井の人たちの暮らしぶりがピエール(ロマン・デュリス)と
エリーズ(ジュリエット・ビノシュ)を中心に映し出されます。
平凡だけれど、死を意識するピエールにとっては、
その一瞬が大事に思えるのだろう、
窓から外を眺め、通り過ぎる人たちやパリの街を静かにみている、
ピエールの後姿が印象的。
ピエールが昔、ムーランルージュで踊っていた出てくるシーンがありますが、
その華やかさと対照的です。
「スパニッシュ・アパートメント」が人生これから、という
青春映画だったのに対して、
今回の作品はもっといろんな年代の人たちが織り成す人生を垣間見せて、
またパリのいろんな場所も出てきて、パリに住んでいるような気分になります。
(残念ながら、まだ行ったことはありませんが)
一見平凡に見える生活の中にも、老いらくの恋があり、突然の事故があり、
とさまざまなことが起き、思わずその登場人物に共感してしまう瞬間があります。
ピエールが病院に呼ばれていくところで映画は終わっていますが、
移植が成功して、またアパートに戻ってくるだろう、
という希望が見える気がしました。

きっと、この映画は何度もみて、かみしめて味わいが出てくる映画なのでは、
と思いました。

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ミッチ

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