2009-01-01

あけましておめでとうございます このエントリーを含むはてなブックマーク 

年末は事務所とアップリンクの施設の日替わり大掃除が忙しかったのと
突如始まったイスラエルの空爆によるガザのパレスチナ人の虐殺で
頭がいっぱいでした。

http://www.webdice.jp/topics/

身近なところでは、タベラとギャラリーの床のペンキが剥がれ前から気になっていたので
映画『コーポレーション』に出てきたサスティビナリティを標榜するインターフェイス社の
カーペットを敷き詰めリニューアルが完成しました。
また、女性の友人に指摘されていた1階の女子トイレを清潔にという指摘も大掃除で徹底的に
掃除をしました。

残るは年が明けても片付いていない個人のデスク周りと、続いているガザの空爆が心配です。

「ローカルとグローバルに思いを馳せて考え行動する」が今年のテーマです。

先ほど通信社の配信によるとリビアが提案した国連安保理の議決の提案を常任理事国アメリカが当然ながら反対したそうです。

──
同案はアラブ連盟外相会議での議論を踏まえ、アラブ諸国を代表してリビアが提示した。
「民間人に対する軍事攻撃」の即時停止や、ガザの検問所の開放をイスラエルに要求している。
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2009010100107
──

決議案の全文は読んでいませんがいったいこの提案に反対する論理というものが
世界に存在するのでしょうか。

国連安保理の決議は15カ国のうち9カ国の賛成で決議され、
その決議は法的効力があるとされているそうです。

ただし、5カ国の常任理事国は1カ国で拒否権があります。
日本は非常任理事国です。

年明けの国会では、失業者の福祉の問題と同時に、国連で日本はイスラエルの空爆に反対する決議を討議するべきだと思います。

http://ja.wikipedia.org/wiki/国際連合安全保障理事会

★★★★★★

そんな中、年末に映画館で観た映画を紹介したいと思います。

『TOKYO JOE マフィアを売った男』
面白かったです。プロデューサーの奥山和由さんは、このドキュメンタリーを劇映画のための企画書といい同じ内容で劇映画にしたいようですが、十分ドキュメンタリーでも面白かったです。
ハリウッドは日系人主人公の映画をマーケット的に簡単に作るとは思えないので、円高の今なら日本の資金でアメリカで作ってほしいものです。

戦争時に日系人キャンプに収容されていた主人公のケ・エトーの物語は
マフィア版『ミリキタニの猫』とも言える作品でした。

http://www.cinemacafe.net/official/tokyo-joe/

『ファニーゲームU.S.A.』
オリジナル版を以前ロッテルダム国際映画祭で観たときの方が初めてせいか圧倒的に不快でした。
『SAW』の1作目を観たときも十分不快でしたが、その不快さは人工添加物満載の食べ物のような不快さで後味が悪かったのを覚えています。

『ファニーゲームU.S.A.』は、同じ確信犯で人工物に違いはないのですが結晶レベルまで昇華された純度の高い不快さでした。

たかが映画でここまで観客の精神をマニュピレーとできるとは映画の力は捨てたものではありません。

監督自身がオリジナルをカット割りから忠実に再現した映画はリメイクというよりトレースという全く新しい手法の映画です。
ミハエル・ハネケ監督はこの『ファニーゲーム』以外は自らトレースする気はないと言っています。
そして、オリジナルがアートハウス映画で限られた人にしか観てもらなかったがナオミ・ワッツ主演の今作はより多くの人に見てもらえる可能性があるからトレースとしたということです。

悪魔の発明家がその実験成果を世界中で確認したいというところでしょうか。
この話をアップリンクで世界の短編映画を紹介するイベントを行っている山本兵衛さんに話したら、アメリカで『ファニーゲームU.S.A.』はiTunesで配信されていることを教えてくれました。

北米ではネットで誰でも観ることができるまでになったことでハネケ監督は満足していることでしょう。

http://www.funnygame-usa.com/

『ラースと、その彼女』
『ファニーゲームU.S.A.』で予想通りの不快な気持ちにさせられたのでシネマライズを出た後すぐに、目の前のパルコのシネクイントで観ました。
ダッチワイフに恋する男の北欧の映画と勝手に思い込んでいたのですが、アカデミー賞の脚本賞にノミネートされているアメリカ映画で、これがなかなか面白かったです。

客席にはついさっき観た『ファニーゲームU.S.A.』の3倍以上の観客が来ていました。
しかも最近のミニシアターの洋画では見かけることが少なくなった、20代のカップルが多数。逆にシニア層はほとんど来ていませんでした。
予想通りの展開と言えばそうなのですが、なんども声を出して笑わせられました。
ハッピーな気持ちになりたいならお薦めです。

http://lars-movie.com/

『ワールド・オブ・ライズ』
『地球が静止する日』とどっちを観ようかヤフー・ムービーでチェックして点数が高かったこちらを選びました。
デュカプリオをファンには今ひとつのようですが、楽しめました。
アップリンク的には『パラダイス・ナウ』で自爆攻撃に向かう、二人の若者を演じたカイフ・ネシスとアリ・スルマンがハリウッド映画に出演していたのがうれしかったです。

実話に基づくデュカプリオ演じるCIAエージェントの話です.原題はBODY OF LIES、邦題はBODYをワールドに変えています。

ラッセル・クロウがCIAから世界を監視している映像は下記のアドレスから同じようなものが見ることができます。
この映像はイスラエル空軍の今回のハマス殲滅作戦の映像らしくYouTubeで公開されています。

人が死ぬ瞬間を捕らえた映像、劇場化された戦争は吐き気がするほどおぞましいものです。

イスラエル空軍の映像
http://jp.youtube.com/watch?v=jS_9ljFcEbw

http://wwws.warnerbros.co.jp/bodyoflies/

『永遠の子供たち』
ギレルモ・デルトロ監督作品ではなくプロデュース作品。
多分『ヘルボーイ』を公開時に映画館で観ている数少ない観客だったデルトロのファンとしては満足できる作品でした。
お客さんが少なかったのが残念、もっとパンズラビリンスでエンディングのクライマックスの
映像をチラシで使用したように、ファンタジー色を強めたビジュアルをメインにした方が良かったのでは。

スペイン製ファンタジー怪談でビジュアル、物語とも完成度は高くお薦めです。

名前が変わったヒューマントラストシネマ渋谷で観ました。
スタッフが肩に劇場名のワッペンが付いた赤い制服を着ていました。デザインは微妙。
派遣や転職を勧めるチラシ渡されたり、宣伝が上映されるのかと構えていましたが
特にヒューマントラストの宣伝はありませんでした。
名前を数千万で販売したといいますが、ネットにはシネアミューズのサイトがそのまま更新されて残っています。
ヒューマントラストシネマのサイトもあるので、移行期は二つのサイトを残しているということでしょうか。

http://www.cinemacafe.net/official/eien-kodomo/

『ミラーズ』
大晦日の午後7時から横浜のシネコンで観たのですが意外にお客さんが観にきていました。
キーファー・サザーランド演じる主人公がかつて火事で多数の死者を出したデパートの
警備をするところから物語は始まります。
デパートの横に精神病院がかつてあり、そこに入院していた少女が物語の鍵となります。

ここで問題なのは、その少女が統合失調症で凶暴になり家族がたまりかねて精神病院に入院させたというくだりです。
統合失調症=エクソシストの悪魔憑きのような少女と言う描写でめちゃくちゃです。
この表現でアメリカにおいてなんの問題も起きなかったのでしょうか。
字幕で確かに統合失調症と書かれていたと思いますが。
著しく誤解を観客に植え付ける表現で大きな問題だと思いました。

その点を除けばサスペンスホラーとしては及第点の作品でした。

http://movies.foxjapan.com/mirrors/

★★★★★★★★

さて、アップリンクは明日2日からXとファクトリー上映を行います。
お正月は昨年公開された『おいしいコーヒーの真実』『靖国』『ジプシー・キャラバン』
『レスポールの伝説』などドキュメンタリー10作品に加えフリーチベット・ムービー『風の馬』の
プレミア上映を行います。

ぜひ見逃した作品をこの機会にご覧ください。

タベラは3日土曜日から営業します。

お正月のドキュメンタリー傑作選上映スケジュール
http://www.webdice.jp/dice/detail/1102/

それでは、本年もアップリンクをよろしくお願いいたします。

そして、皆様にとってよい年でありますように。

浅井隆

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コメント(1)


  • 佐藤秀樹(サトッス) 2009-01-14 16:51

    あけましておめでとうございます
    昨年は残念ながらワークショップに参加できなかったこと悔やまれます
    また再度参加したいと思いますのでその節はよろしくお願いします

浅井 隆

ゲストブロガー

浅井 隆