2009-02-20

映画「メイプルソープとコレクター」の試写会に行ってきた。 このエントリーを含むはてなブックマーク 

 映画「メイプルソープとコレクター」の試写会に行ってきた。原題は「BLACK WHITE+GRAY」である。
 この映画は、アメリカの写真家、ロバート・メイプルソープと公私ともに関係の深かった写真のコレクターであり、キュレーターであったサム・ワグスタッフという人物の生き様を描いたドキュメンタリーである。
 サム・ワグスタッフは、若きメイプルソープと出会い、その才能を見いだして、ポラロイドカメラを使って写真を撮っていた彼にハッセルブラッドを与え、自らの写真のコレクションを見せて、メイプルソープの作品に大きな影響を与え、写真家としての才能を開花させた。さらに、ワグスタッフは、自らの人脈と影響力を駆使し、メイプルソープをアートシーンに送り込み、写真家として成功に導いたのである。映画では、サム・ワグスタッフとメイプルソープについて、当時の彼らを知る様々な人物が語るのだが、特に、メイプルソープと同棲生活を送ったことのある歌手のパティ・スミスのインタビューは印象に残った。
 ワグスタッフとメイプルソープは恋人同士でもあり、アメリカで80年代に猛威を振るい始めたエイズに罹って、相次いで死んでいく。死を前にしたワグスタッフは、膨大な写真のコレクションを売却し、銀食器のコレクションをはじめる。ついには、その財産の殆どを肉親にではなく、メイプルソープに遺して死んでいく。そして、ワグスタッフの遺産を相続したメイプルソープもまた、彼の死の2年後にエイズでこの世を去るのである。
 この映画を観て思ったことは、コレクターというと、とかく単なる金持ちの道楽者というイメージが先行しがちだが、実は、写真に対する類い希な情熱を持った人間であり、彼らが存在しなければ、アートビジネスというものは存在しないのであって、アーティストとしての写真家の成功というものもまた、存在し得ないということである。
 そして、コレクターと写真家を結ぶ、キュレーターの存在もまた、重要である。写真家の才能を見いだし、彼らを導き、コレクターへの橋渡しをする。才能というものは、それを見いだす人間がいなければ、何の価値も持たないのではないだろうか。
 この映画を観て、ますます、写真というものが面白く思えてくるのであった。
 

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