ワクチンを追え!(ミャンマー編)
★プロローグ(1)
http://www.webdice.jp/diary/detail/2088/
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★プロローグ(2)
さて、ミャンマーに行くことにしたはいいが、全くもって自分に“ミャンマー”に関する情報がない。
とりあえず、本屋で「地球の歩き方・ミャンマー」を買って、パラパラとめくってみた。
仏教に僧侶にパゴダ(仏塔)・・・かっての首都・ヤンゴン(ラングーン)。
ふむふむ・・・。
どうやら、一般の人でもビザさえ取れば「観光」での入国はできるらしい。
その観光ビザもネットとかで簡単に申請できる。
バックパッカーなどはタイから陸続きで入国する人もいるようだ。
なんだ~北朝鮮のような徹底的に統制されたところかと思ったら、思ったより普通の国じゃん。
しかし、地図をよく見ると「外国人への開放地域・限定地域」などと書かれ、地図が色分けされている。
なるほど、自由気ままに勝手にどこへでも行ってもいい国ってワケではないようだ。
この辺にミャンマーのお国事情というものがありそうだ。
さらにガイドブックを読み進めると、インターネットの閲覧も制限があるとか。
~co.jpは読めない。当然、日本語版yahoo!も無理。
メールは、郵便局で口頭で局員に打ってもらう・・・!
なんじゃこりゃ。
写真も撮っていい場所とダメな場所がある・・・。
あちゃ~。不安になってきた。
ところで、なんでこの国はこんな事態になってしまっているんだろう?
ガイドブック読み進めていくうちに、もうちょっとこの国のことを知りたくなった。
そんな時、お世話になってる映画配給会社のアップリンクで、
「ビルマ、パゴダの影で」
http://www.uplink.co.jp/burma/
というドキュメンタリー映画の上映会をやっていた・・・。
この映画の中で映し出されるミャンマーの姿は、ガイドブックの写真に写る、屈託のない笑顔で微笑えんでいるミャンマーの人々と、燦然と輝く巨大な黄金のパゴダ(仏塔)とは裏腹の、この国を制している軍事政権の奥に潜む闇の部分に焦点があてられていた。
どうやらこの国はのっぴきならない事情があるようだ。
とにかく、海外旅行行ってきま~す、楽しんできま~す、ってなノリではダメだ。
いつでも突発的な状況が起こりうる、それこそ日本に帰って来れない状況も想定しておこう。
そう、心に誓った・・・・。
それから数日後・・・。
ミャンマー行きを翌週に控えた頃、うちのスタッフが「気をつけて行ってらっしゃい送別会」を開いてくれるという・・・。
外国行く前に何食べたいかっていったら、やっぱり日本食だよね?
っていうことで、場所はお寿司屋さんに決定。
特にミャンマーでなんて生モノなんて食べたら、それこそ命取りになりそうなので、腹一杯、生モノを食べておかなきゃ。
ところで、このお寿司屋さん、リーズナブルな価格設定もあってか、外国人が大勢バイトしている。
従業員の名札を見ると、あんまり聞いたことない発音の名前だ。
「ハン・ウー・スウェイ・・・・あの~珍しい名前ですね。どこの国の方ですか?」
「ミャンマーです。」
ミャ、ミャンマー!?
えええ?
これからボクが行く国だ。
ミャンマー人ってそんなに東京にいるのか?
このタイミングでミャンマー人に会うのって奇遇にも程がある。
ならば、ここぞとばかり不安をぶつけてみた。
「あの~ミャンマーって危なくないんですか?」
「みんなそういう質問されるんですけどね、危なくなんかないですヨ。
とってもいい国ですヨ。」
そういいながらニッコリと微笑んだ。
「あ、あの、ボク、来週ミャンマー行くんです・・・(不安げ)。」
「そうですか!それは素晴らしい!ちょっと待っててクダサイ。」
彼は一旦奥に引っ込むと、なにやらメモのような紙切れを渡してきた。
「これはボクの兄の携帯の番号です。ミャンマーで何か困ったことがあったら兄に電話してください。ワタシからもこういう日本人が行くから面倒見てやってくれと電話しておきます。楽しんできてクダサイ!(ニカッ)」
え?
今会ったばかりの初対面のボクなのに、初めてのミャンマー訪問が不安のない楽しい思い出になるよう、いろいろ世話をしてくれようとしている。
そして、その行為には、悪意があるような感じ・・・例えば、治安の悪い国にありがちな、やさしい笑顔で近づいてきて、何かしらの金づるにしようと企んでる感じ・・・には、全然思えなかった。
単純に日本人が自分の祖国を訪れてくれることを喜んでくれているだけなのだろう。
少なくとも自分にはそんな感じに見えた。
この辺の人懐っこくて柔らかい感じが、この“ミャンマー”という国の国民性を象徴しているような気がする。
この人懐っこく純粋なミャンマー人の性格と、メディアで見るような軍事政権によって極めて自由が制限されている負のイメージの“ミャンマー“・・・・・。
このギャップがなんなのか良くわからないまま、翌週に迫ったミャンマー出発へ向けて旅支度を始めた・・・。
(続く)