2009-06-16

2009年6月15日(月) このエントリーを含むはてなブックマーク 

 終日仕事。
 帰宅後、原稿続き。夜、送る。
 DVDで山口和彦『銀蝶渡り鳥』(☆☆☆★)を観る。
 初見。梶芽衣子東映第一回主演作。
 特に追っているわけでもないのに、山口和彦の作品はかなり観ることが出来てしまっているのが不思議と言えば不思議だが、それは兎も角、妙に期待していたせいか、水準程度の印象になってしまったのが残念ではあった。刑務所帰りの梶が、かつて自分が命を奪った男の妻子に毎月秘かに金を送りながら銀座でホステスを務める。
 梅宮辰夫、渡瀬恒彦、ここぞという場所で由利徹が登場して場面を奪っていくのだから悪くないに決まっているし、フラワー・メグも可愛いし、それに何といっても梶芽衣子の美しさには見入ってしまうのだから十分な面白さはある。終盤の殴りこみで着物に傘で雨の中を歩く梶を俯瞰の横移動で捉えたショットの素晴らしさなども語りたくなるものだ。しかし、クライマックスのビリヤード勝負が盛り上がらないとか、罪を背負った梶とクライマックスの殴りこみが巧く繋がらないとか作品としては散漫な印象。
 続いてDVDで中島貞夫の『893愚連隊』(☆☆☆★★★)を観る。
 劇場やビデオでも観ているので、久々の再見と言えども特に新たな発見はあるまいと観始めたら、やはり引き込まれてしまった。中島貞夫の、底辺で生きるどうしようもないチンピラ達への視線が心地良い。後の作品ではより顕著になる大衆への憎悪はまだ控え目にしてもヤクザ達への視線は天知茂の「親分たらきらいなんや」の台詞に集約されていて、何度見ても痺れる。よく言われている「天皇たら親分たらきらいなんや」という台詞が映倫で切られて「親分たらきらいなんや」になっているという伝説的エピソードだが、DVD版でも切られたまま。しかし、本当にそうなのか?単に台詞の頭を切ってしまうともっと不自然な感じになってしまうので、現行版は新たにアフレコし直した版ではないかと思うのだが。
 それにしても、松方弘樹、荒木一郎の初々しさ、跳ね上がりぶりが楽しい。荒木一郎は演技者としてはまだ目立たないながら、やはり型を崩した芝居が明らかに周辺に影響を与え、後に『現代やくざ 血桜三兄弟』で渡瀬恒彦の演技を大きく揺さぶったように本作では松方弘樹の演技に影響を与えていると思う。
 続いてビデオで中島貞夫の『温泉こんにゃく芸者』を観始めるが途中まで観て寝る。

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モルモット吉田

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モルモット吉田

“映画日記のようなもの。”