2009-07-26

イヌとネコとネズミの、まったく正しいロードムービー このエントリーを含むはてなブックマーク 

 いつの時代でもそうなんだが、ディズニーのアニメーションは王道をストレートに行くのだなあ、と思う。

 今回の「ボルト」も正に直球勝負。
 オープニングで主人公(いや、犬だから主人犬?)をカッコよく観せて、その後に暗転。ひょんなキッカケで愛する人間の家族と離ればなれになってしまう。そしてボルトは家族の元に戻るため、長い旅を続けるうちにネコやネズミという相棒を得る。彼らは時には反発しながらもいつの間にかお互いを信頼するようになり、クライマックスで家族の元へ、という直前で、まあ、イロイロあって超ヤバい状況に。さて、彼らはどう切り抜けるのか・・・・。
 
って、書いててまるで何かの筋書き(いや、筋書きなんだけど)のお手本みたいなお話で、少々恥ずかしくなるほどではあるが、それが解っててもしかし、いつの間にか映画に引き込まれてしまう演出の巧さ、キャラクターの描き分けがすばらしい。こうした盤石の安定感はディズニー作品ならでは。

 「ボルト」は先に挙げたように、ロードムービーとしてとても正しい作り方をしている。旅をする仲間がイヌとネコとネズミという、互いに相入れない存在であるからこそ、それぞれの性格設定をある程度省略しても成り立つ「珍道中」っぷり。それぞれの動物としての個性を活かした活躍場面など、何から何まで、徹底して正しいロードムービーであり続ける。その部分が全くブレていないからこそ、ミエミエのストーリーでも楽しめてしまうのだろう。

 したがって、これは今までのディズニー作品に少なかった「ロードムービー」というスタイルを、子供たちに伝えて行くための映画なのかもしれない。「地図の上を走り回る」という、ロードムービーのお約束ともいえるシーンも、秀逸なアナログタッチのアニメーションで観せてくれる安心感。そしてテーマがこれまたお約束とも言える「家族愛」「友情」「信頼」、そして「戦い」。まるで少年ジャンプのマンガのようにすべてを盛り込んだ「ボルト」は、結果として、性別年齢を問わず誰にでもお勧めできるイイ映画だと思う。

 余談ではあるが、最近のディズニーのアニメーション作品において、劇中挿入アニメーションやエンドクレジットのアニメーションが異様にハイクオリティという特徴が観られるのだが、この「ボルト」もまた、エンドクレジットのアニメーションが際立ってすばらしい。スタッフの「意地でもクレジット終わるまで席立たせないぜ」という意気込み(笑)が伝わってくるようなデキの良さ。エンドクレジットの途中で席立つようなバカは、本当に「バカをみる」羽目になるだろう。その意気込みには、全く頭が下がる。

 というわけで、さらに余談。正直言えば「ボルト」のキャラクターデザイン、超アタマでっかちで鼻デカであまりかわいくないんだけど、映画の終盤になっていると、ああ、これもアリだな結構カワイイじゃん、って思えてくるから全く危ない。ディズニーはこうして、オトナも洗脳してしまうのだ(笑)。そして帰りに、ボルトのキャラクターグッズを子供にネダられたりすると、買っちゃうんだよね。いや、ボルト可愛いです。

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