以前日本消費者連盟開催の食品添加物についての発表を取材したときの様子が…この映画の冒頭に出てくるユニセフのシーンとよく似ている。そのときのタイトルはたしか『あなたは毒をたべている』だったか…フランスは聞けば、食料自給率100%以上という日本から見ればうらやましい限りの食材豊かな国である。供給されているのだろうとそう思い込んでいた(根拠はないが…なんとなく)。缶詰についても肉の精製食品の添加物にしても実は日本でもさんざん聞いているからそれほど驚かないが、野菜や果物、乳製品までこれほどの農薬漬けとは思わなかった。ドイツやフランスでは、安ホテルの朝食に出る「シンケンペースト(パンにぬるハムペースト)は食べないほうがいい」といわれてたし…どこの国でも添加物入りは当たり前と思っていたから。ヨーロッパの市場を賄うのであるからある程度大量生産は仕方ないが…豊かに見えるマルシェの屋台に積み上がる野菜、パリ・ランジスの卸売市場に集まる各地の食材…これらも実は農薬漬け、添加物との混合物だったというわけか。
桃畑に農薬を散布する様子、夫を気遣う奥さんのインタビューでの様子はまるで、30年前の有吉佐和子の『複合汚染』ではないか。『農家は自分たちの鶏を別に飼っている』…映画の中でた農家の人が話していたが、似たような話を私もきいたことある。「農協に出す野菜はうちでは食べない」って…日本と同じだったんだなぁとため息が出る。
しかし、日本とはやはり事情が違うなと思う。所得も少ない小さな村が新しい取り組みに立ち上がり、給食費を値上げもせずに進めていけるのはやはり良質な土壌をもつ農業国フランスの底力である。また食に関しては、イタリアに並んでうるさく、デリケートな国民性もある。この小さな村から始まったこの食の改革、フランスでは成功するのではないかと思った。