2009-10-23

ほのぼのファッキンないいひと このエントリーを含むはてなブックマーク 

 ヘヴィメタって、どうもなんか「コワい」というイメージがある。髪の毛金色に染めてたりえらく長かったり、鏡の前で怖い顔の練習してたり中指立ててファッキンなポーズとったり。アウト・ローかもしれない反逆者なのかもしれない、社会の枠組みからはみ出したバカ野郎でもカッコいいぜ、的な。まあそんなイメージ。
 
 ところがアンヴィルのオリジナルメンバーの2人は、ヘヴィメタの人なのに何かいい人(笑)。昼間は給食の配達したり、工事現場で働いていたり。フツーのオッサンじゃんみたいな感じだけど、中身ヘヴィメタ。いやあ、30年間メジャーになれないって、そりゃいい人すぎだからでしょう。たぶん。
 
 このドキュメンタリ「アンヴィル!」を観て思ったんだけど、売れなくても30年がんばってこれるその心構えが「スゲエ」とか「カッコいい」というワケじゃなさそうなんですね、これが。
 
 映画の中で捉えられたオリジナルアンヴィルの2人、ギター/ヴォーカルのリップスとドラムスのロブの、なんと楽天的な事か。考え方がポジティブってだけじゃ辻褄が合わないほど。毎日の労働も楽しげにこなし、傍から見たら悲惨でヒデエとしか思えないようなヨーロッパツアーだって、帰ってきたら行って良かったよ、なんてニコやかに話してる。
 
 何て言うのかな、打たれ強いと言うよりも、悪い事に対して鈍感すぎるんじゃないかと思いましたよ。自分たちの想定する「悪い事」というレベルが無茶に高いと言うか、ココからココまでが「良い事」で、ココから先は「悪い事」の、その悪い事ってのが、信じられないほどスゴイ「悪い」事で無い限り、みんな「良い事」と思っちゃうというか。
 
 このオッサンたちの姿を観ていると、50間近のフリーランスのオッさんからみればリアル過ぎて、ちょっと笑えない部分もあるけれど、それでも彼らは本当に人生を愉しんでいるんだろうなあ、と思う。生きているだけで儲けモノって言ったのは誰だったか。まさにそんな感じでヘヴィメタ一本槍。他の事は全部オマケみたいなもので生きてゆく。その心意気には本当に感動し、また羨ましく思う。
 
 コワいイメージのヘヴィメタバンドのドキュメンタリなのに、何故か見終った後「ほんわか」する、このあり得ないような違和感が心地イイ。人のイイキャラクターが生み出すほのぼのファッキンなエンターテインメントにやられました。もうナックアウト!であります。

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