2010-01-26

本物のラブストーリー『シャネル&ストラヴィンスキー』 このエントリーを含むはてなブックマーク 

なぜか邦画のラブストリーものを劇場と試写で観てしまった。なにがひどいかというと、結局映画の中で登場人物の生活というか、そこで生きているというのが全く描かれずに、「愛したい」という「欲望」だけが画面に彷徨い始めて気持ちわるいったらありゃしないと、怒りが込みあげてくるのだった。

それらの映画の作り手は、なにか大きな勘違いをしていると思う。必死で生きていないやつの「愛」なんてほんとに気持ちが悪い!「愛」を描けばラブストーリーになると思うな! 

僕が観たいラブストーリーとは愛するという「欲望」を描いた映画ではなく、「衝動」により他人を愛したという映画だ。そして愛する人間は必死で生きていないとだめなのだ。必死で生きるからこそ孤独を理解できるのだ。

「愛」は美しくなくてはならない。
「美しい」ものだけが「愛」である。

「欲望」とは“俗”で、「衝動」とは“美”である。

なので「愛」とは「衝動」でなければならない。

そこで、『シャネル&ストラヴィンスキー』である。これは「愛」とは「衝動」であるということを描いた作品だった。二人の間にはほとんど交わされる言葉はない。映画的な描かれる二人の視線だけによりただならぬ愛の関係を描いていく。もとより二人は芸術家なので、地に足着いた生活というものはないが、二人の創作の現場はていねいにが描かれる。あの「シャネルNo5」と「春の祭典」が創られた現場を描く。映画の中でまさに二人は生きている。

だからこそ衝動的愛が美しい。
邦画のラブストーリーを観て失敗したと思った人はぜひご覧になる事を薦めます。

[CINEMA] 「妻が初めて自分の気持ちを吐き出すシーンにぐさりとくる」─『シャネル&ストラヴィンスキー』クロスレビュー
http://www.webdice.jp/dice/detail/2217/

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浅井 隆

ゲストブロガー

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