2010-06-05

原作は「フェミニスト童話」らしい——映画『アリーテ姫』他—— このエントリーを含むはてなブックマーク 

 木曜の朝方何とか同日締切のもの書き上げて提出。動画サイトでアニメ『YAWARA!』を観ながら寝酒を呑んで(原作者が同じアニメ『MASTERキートン』に比べると、脚本も演出も一昔前の漫画の「お約束」通りで格段に劣るけど、皆口裕子さん演じる柔がものすごく可愛い)、お昼過ぎまで寝て、夕方から久しぶりにラピュタ阿佐ヶ谷に行って来ました。

 お目当ては『アリーテ姫』(監督・脚本:片渕須直、ダイアナ・コールス『アリーテ姫の冒険』、声の出演:桑島法子、小山剛志、高山みなみ他、製作:STUDIO 4℃、2001年)

 http://www.arete.jp/arete/

 作画は七十年代の世界名作劇場ぽい感じで、意図的だと言う手書き感と共にかえって新鮮。ただしキャラクターデザインはちょっと古臭い。ストーリーは超先進文明が滅びた後の世界で、その失われた技術への憧れや復活の企てがポイントとなっている点では、『風の谷のナウシカ』と『天空の城ラピュタ』を想起させる。

 前半の舞台となる王国の非常に封建的で男性中心主義的な世界像が、観ていてちょっと不快。また、魔法使いによって魔法をかけられたせいとは言え、主人公のアリーテ姫が解放や自己実現ではなく、日々の安逸な暮らしと贅沢に没入してしまう物語中盤も観ていて辛かった。

 自分を取り戻した後のアリーテ姫の「活躍」も、ナウシカやラピュタと比べるとかなり地味で、あっと驚くようなダイナミックな躍動感はない。いろいろな意味で平坦な印象を受けた。

 Wikipediaを観ると、フェミニスト文学だとされる原作にかなり変更を加え、フェミニズム色を薄めているとのこと。他方で邦訳で省略されてしまっている箇所が盛り込まれてもいるらしい。今でも新刊を1000円弱で買えるようなので、原作を読んでみようかなと思う。

 『アリーテ姫』を観た後、引き続き『マイマイ新子と千年の魔法』(監督・脚本:片渕須直、原作:高樹のぶ子『マイマイ新子』、声の出演:福田麻由子、水沢奈子、森迫永依他、アニメーション制作:マッドハウス、 2009年)を観賞。四月末に一度観たし、七月末に出るDVDも予約したけれど、再度。

 やはり色目も鮮やかだし脚本にもメリハリと意外感があって、こちらの方が『アリーテ姫』よりもよく出来ている。世界と人生の美しさを讃えるだけでなく、不倫・自殺・貧困のようなその「闇」もしっかりと、とは言え映像として観賞に耐える形に昇華して描いている。

 唯一残念なのは、予算の関係なのか最近の流行に従ったのか分からないけれど、声を当てているのが、専門の声優さんではないこと。話題作りのためか、主人公の新子の母親役に本上まなみを当てているのも、意味不明。これは、『もののけ姫』以降のジプリ映画や『時をかける少女』等に感じること(ただし『もののけ姫』等と違い、『マイマイ新子』では、少なくとも子ども役の演技は巧い)。

 『マイマイ新子』の上映が終わったのが九時。ちょっとだけ阿佐ヶ谷駅北口の飲食街を素見して帰宅。気温も湿度も高く、汗だくになってしまいちょっと疲れたけれど、久しぶりによい気分転換になったし、楽しかったです。

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知世(Chise)

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知世(Chise)

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