2010-12-14

都条例を読み、小説を読み、石原都知事の本質を発見する このエントリーを含むはてなブックマーク 

問題の都条例を読んでみた。

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東京都青少年の健全な育成に関する条例では、「図書類又は映画等の内容が、青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認めるときは」本を販売したり、映画を観せたりすることはやめようと務めなければならないと定めている。

今回、そこに実写映画や写真ではなく、マンガやアニメが加えられ改正されようとしている。

「漫画、アニメーションその他の画像(実写を除く。)で、刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為又は婚姻を禁止されている近親者間における性交若しくは性交類似行為を、不当に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を妨げ、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの」

元々、実写映画や写真はこの都条例で規制はされていた。

ちなみにこの都条例ではこんなことが書かれている。

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7条の2
「がん具類の構造又は機能が、青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認めるときは」
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大人のおもちゃを青少年が買う事ができるコンビニでは売れませんよ。売りたい方は大人のおもちゃやで売る事。

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9条の3
「図書類発行業者は、表示図書類について、青少年が閲覧できないように東京都規則で定める方法により包装するように努めなければならない」
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都が指定したエッチな雑誌は、コンビニで販売する場合は、ビニールで包装して販売しましょう。

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10条
興行場において、第八条第一項第一号の規定により知事が指定した映画(以下「指定映画」という。)を上映するときは、当該興行場を経営する者及びその代理人、使用人その他の従業者は、これを青少年に観覧させてはならない」
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で、どういう規定かというと

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「その内容が、青少年に対し、著しく性的感情を刺激し、甚だしく残虐性を助長し、又は著しく自殺若しくは犯罪を誘発するものとして、東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるもの」
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これは別項で演劇や図書類に関しても定められている。映画に関して言えば、石原知事がこれは「指定映画」というと映画館で上映してもいいけど、青少年に観させないように「努力」をしなければならないということ。既に映画においては業界団体の「映倫」でレイティングを決めているのに、この都条例は必要なのかな。

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14条では
「第十四条 知事は、広告物の形態又はその広告の内容が、青少年に対し、著しく性的感情を刺激し、又は甚だしく残虐性を助長するものとして、東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認めるときは、当該広告物の広告主又はこれを管理する者に対し、当該広告物の形態又は広告の内容の変更その他必要な措置を命ずることができる」
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リアル社会だけの広告なのか、ネットの中の広告はどうなんだろう。

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15条の2 
「何人も、青少年から着用済み下着等(青少年が一度着用した下着又は青少年のだ液若しくはふん尿をいい、青少年がこれらに該当すると称した下着、だ液又はふん尿を含む。以下この条において同じ。)を買い受け、売却の委託を受け、又は着用済み下着等の売却の相手方を青少年に紹介してはならない。
何人も、前項に規定する行為が行われることを知つて、その場所を提供してはならない」
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いわゆるブルセラの販売規制。

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15条の4
「保護者は、通勤又は通学その他正当な理由がある場合を除き、深夜(午後11時から翌日午前4時までの時間をいう。以下同じ。)に青少年を外出させないように努めなければならない。
2何人も、保護者の委託を受け、又は同意を得た場合その他正当な理由がある場合を除き、深夜に青少年を連れ出し、同伴し、又はとどめてはならない」
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そして、
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16条
「次に掲げる施設を経営する者及びその代理人、使用人その他の従業者は、深夜においては、当該施設に青少年を立ち入らせてはならない。
(1)興行場
(2)設備を設けて客にボウリング、スケート又は水泳を行わせる施設
(3)個室を設けて当該個室において客に専用装置による伴奏音楽に合わせて歌唱を行わせる施設
(4)設備を設けて客に主に図書類の閲覧若しくは観覧又は電気通信設備によるインターネットの利用を行わせる施設」
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はい、はい、夜は大人の世界という事で。

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18条の7
「インターネット事業者」は、青少年の健全な育成を阻害するおそれがある情報を取り除くためのフィルタリング(インターネットを利用して得られる情報について一定の条件により受信するかどうかを選択することができる仕組みをいう。)の機能を有するソフトウェア(以下「青少年に有益なソフトウェア」という。)を利用したサービスを開発するとともに、利用者に提供するように努めなければならない」
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携帯の販売時に適応され、今度実地の査察を行うそうです。

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20条
「審議会は、次の各号に掲げる者につき、知事が任命または委嘱する委員20人以内をもつて組織する。
1.業界に関係を有する者 3人以内
2.青少年の保護者 3人以内
3.学識経験を有する者 8人以内
4.関係行政機関の職員 3人以内
5.東京都の職員 3人以内」
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で、罰則は、それぞれの違反により罰金が違い、10万円から100万円の罰則が定められている。

東京都がやりたい事は深夜外出禁止を除けば、ようするに創作を規制するのではなく、販売を規制する、禁止ではなく。販売する場所を青少年用と大人用にわけましょう、英語で言えばゾーンニングになるのだろう。

友人のドイツのDVD販売業者から聞いた話しでは、ドイツでは、ポルノは販売OK、ただし、通信販売でのポルノの販売NG。ようするに、通販だと購入者の年齢がわからないが、対面販売だと子どもには販売できないのでという理屈らしい。
日本での煙草の販売の概念に似ている。

日本では、朝日新聞社や読売新聞社など日本を代表する新聞社が発行するスポーツ新聞、日刊スポーツや、スポーツ報知には毎日、男性の性欲を刺激するページが編集され掲載されている。簡単に言えば、エロページが載っている。都条例を守ると、コンビニでスポーツ紙を売るのはどうなんだろう。

ちなみに、メープルソープ写真集裁判で最高裁で勝訴した当事者としては、ポルノは解禁すべき、ただし、販売に規制をかけるゾーンニングには賛成である。
むしろ、電車内でスポーツ紙のエロページを他人に見えるように読んでいるものは、人に不快な思いをさせるので犯罪者として取り締まってもいいとさえ思っている。
儲かれば、エロもOKの、大手家電メーカーのアクトビラや、上場企業が経営するコンビニはモラルがないなと思う次第である。

で、今回のアニメ、漫画業界を巻き込んだこの都条例改正の問題だが、実写の映画を扱う配給会社としては元々この都条例自体どうなのよというしろものではある。

こんな都条例を問題にするより、石原都知事のこれまでの女性差別、外国人差別、同性愛者差別発言の方がもっと問題にされるべきであると思う。

以下差別関連の発言。

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障害者差別発言
身体障害者施設見学の後
「ああいう人ってのは人格あるのかね。ショックを受けた。ぼくは結論を出していない。みなさんどう思うかなと思って。 絶対よくならない、自分がだれだか分からない、人間として生まれてきたけれどああいう障害で、ああいう状態になって」「おそらく西洋人なんか切り捨てちゃうんじゃないかと思う。そこは宗教観の違いだと思う。ああいう問題って安楽死につながるんじゃないかという気がする」
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女性差別発言
「女性が生殖能力を失っても生きているってのは無駄で罪です」「男は80、90歳でも生殖能力があるけれど、女は閉経してしまったら子供を生む能力はない。そんな人間が、きんさん・ぎんさんの年まで生きてるってのは、地球にとって非常に悪しき弊害」「文明がもたらしたもっとも悪しき有害なものはババァ」
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同最愛差別発言
「子供だけじゃなくて、テレビなんかにも同性愛者が平気で出るでしょ。日本は野放図になり過ぎている。使命感を持ってやります」「どこかやっぱり足りない感じがする。遺伝とかのせいでしょう。マイノリティーで気の毒ですよ」過去に米・サンフランシスコを視察した際の感想を振り返り、「ゲイのパレードを見ましたけど、見てて本当に気の毒だと思った。男のペア、女のペアあるけど、どこかやっぱり足りない感じがする」。同性愛者のテレビ出演についても、「それをことさら売り物にし、ショーアップして、テレビのどうのこうのにするってのは、外国じゃ例がないね」
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外国人差別発言
「東京では、不法入国した三国人、外国人が凶悪な犯罪を繰り返している。大きな騒じょう事件すら想定される。警察の力には限りがあるので、自衛隊も、治安の維持も目的として遂行してもらいたい」
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老人差別発言
「もう新旧交代の時期じゃありませんか、美濃部さんのように前頭葉の退化した六十、七十の老人に政治を任せる時代は終わったんじゃないですか」
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あれっ。石原都知事は現在78歳ですね。

最後に石原慎太郎氏はこんなに素晴らしい『太陽の季節』という小説を書いていた。

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 風呂から出て身体一杯に水を浴びながら竜哉は、この時初めて英子に対する心を決めた。裸の上半身にタオルをかけ、離れに上がると彼は障子の外から声を掛けた。
「英子さん」
 部屋の英子がこちらを向いた気配に、彼は勃起した陰茎を外から障子に突き立てた。障子は乾いた音をたてて破れ、それを見た英子は読んでいた本を力一杯障子にぶつけたのだ。本は見事、的に当たって畳に落ちた。
 その瞬間、竜哉は体中が引き締まるような快感を感じた。彼は今、リングで感じるあのギラギラした、抵抗される人間の喜びを味わったのだ。
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なるほどね、彼の本質は、ここにある。
弱い人間が抵抗し、それを眺めるとき彼は快感を感じる男なのだ。

たちが悪い。

とにかく公人の差別発言は犯罪に匹敵することを心してほしい。

キーワード:

都条例 / 石原都知事 / 青少年


コメント(1)


  • 坪井野球 2010-12-20 15:48

     該当の小説を直接読んでいないので、情報の精度は低いです。
     石原慎太郎の初期の短篇小説で、白痴の女性を数人で暴行(輪姦?)し、最後は崖から突き落とす、という作品がある、と誰かの批評で読んだ記憶がうっすらあります(大塚英志『サブカルチャー文学論』だったでしょうか)。
     ただ、その場面だけ切り取るとフェアではない気がするので、作品全体としては(その批評の書き手による)あらすじ・評価を読んだ限りでは、そこまで酷い印象を受けませんでした。

     小説のタイトルは「完全な遊戯」で、同名の短編集(新潮文庫)で読めるはずですが、アマゾンでは品切れ状態(おそらく絶版)です。

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    追記
    都内の図書館で横断検索をかけたところ、ほぼすべての公立図書館で、この短篇を収録した書籍が複数所蔵されているようです。

    また、大塚英志は「サブカルチャー反戦論」「サブカルチャー文学論」「戦後民主主義のリハビリテーション」などで、石原慎太郎について触れているらしいです。

浅井 隆

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