2010-12-20

『アンチクライスト』クロスレビュー:母と女 このエントリーを含むはてなブックマーク 

原題:Antichrist
反キリスト?悪魔?なのでしょうか?
ただ、題のchristの「t」の文字が、「♀」マークに装飾?されていて、意味あり気です。

プロローグと4章の本編とエピローグで構成されてます。

プロローグは、荘厳な調べにのせてアリア(ヘンデル作曲オペラ「リナルド」第二幕アリア『私を泣かせてください』)が流れています。
白黒のスローモーション映像で、夫婦のSEXシーンが結合部の出し入れの様がアップで映し出されます(勿論モザイクあり)。
隣室の子供と雪とSEX。
これから起こる切なく恐ろしい何かを暗示しているのですが、美しい始まりです。

母と女。
あの情事の瞬間、女を選択したために起こった悲劇。
起こるべくして起こった悲劇。
罰なのかもしれません。
罰を与えた風に見えたのですが、子供の振り返った時のあのなんともいえない表情が忘れられません。

自分が女を選んでしまったことに、あの一瞬は母であることを捨ててしまったことでとてつもなく重い十字架を背負ってしまったように思います。
消しさることのできない罪の意識。
ある意味自分を守るためだったのか、懺悔も告白もできないから狂気となってしまったように感じました。
その狂気はとてもつなく恐ろしい狂気なのですが。

賛否両論なのもうなずけます。

確かに・・・かなりというかすごく痛い場面が多いので受け付けない人もいると思います。

痛い。
直視できない。
でも、目を逸らすこともできない。
観ないではいられない。

・・・きっとこの感情を抱かせられたことで成功なんだと思います。
ただ、私自身この映画の感想として、適切な言葉がない感じです。

とにかく、『痛い』のひとことです。
色んなところが。

映像面で、今回かなりモザイクが必要な場面が多いのですが、以前に観た方は憤慨したかもですが、『ぼくのエリ』のようにストーリーを邪魔する酷いモザイクではありませんでした。
試写でしたので、本公開時は?ですが、あのモザイクでしたらそこまで気になりません。
逆にあのモザイクのおかげで、痛みも和らいだかもです。
モザイクが無いとかなり衝撃度が高いと思います。

そして、キリスト教や聖書について知ってたらもっと意味を見出せたかもです。
不勉強で残念なのでした。

私的には好きな系統なんですけど、嫌悪感を抱く人もいるでしょうね・・・。
観る人をものすごく選ぶ気がします。
けれども、観ないといけない映画な気もします。
過ちを犯さないために・・・。

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marilyn

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