2011-01-28

日本でAnonymousが有名にならない理由 このエントリーを含むはてなブックマーク 

単純だけど、やっぱりAnonymousはかっこいい。

日本のメディアではAnonymousは「ハッカー集団」というお固い肩書きでさらっと触れられただけだが、現在のアラブ革命の最中、アルジャジーラでは、記事にAnonymousのプレスリリース動画を載せるほどだ。


プレスリリース、この声明は、エジプト革命を成功させるために、エジプト国民だけならず世界の人々にAnonymousへ参加してほしい、と言い、そして、ヒューマンライツ、自由のためにAnonymousは戦う、と。
最後には、「Expect us.」。期待していろ、もしくは、私たちを信じろ、という意訳か。

このアニメーションがオリジナルかどこかからマッシュアップされたものなのかどうかは不明だが、
(誰か知っている人がいたら教えてください。)
なんだかついつい自分もあのAnonymousのマスクとか欲しくなってしまう!笑
皆さんはそんなことないですか?

Anonymousのオフィシャルサイト(という位置づけ)はこちら。
http://anonnews.org/

私の予想では、おそらく数人、もしくは1名の先導者がいて、他のメンバーはメンバーと言えるのか微妙で、流動的な状態だと思う。
その都度誰かが現れ、消えていく。
チャットと同じ。

さらに予想では、そのごく少数の先導者はジュリアン・アサンジ並みの頭の良さと正義とセルフプロモーションの術を持っているエリートだ。

今までアニメや映画の中でしかあり得なかったような出来事が、実際に起こってるなんて・・・。

エジプト革命の前にも、チュニジア革命を支援し、その間にアルジェリア政府に対して警告も送っている。

さて、ではそのAnonymousがなぜ日本で有名にならないのか。日本以外では若者たちの間で英雄のように扱われはじめたAnonymousは、日本ではさほど取り上げられていない。

第一に、日本語で書かれたニュースでAnonymousのことがほとんど報じられないというのが原因だ。アルジャジーラの記事ではエジプト関連記事の一部として先ほどのプレスリリース動画が載っているが、日本ではあり得ない。

なぜ、日本ではあり得ないのか。

日本で自由やヒューマンライツと戦う組織と言えば、NPOやジャーナリスト、報道メディアの中に存在する、といった認識か。(もちろんそういった機能を果たさないものも存在する。)
AnonymousはNPOではない。ある捉え方によってはメディアかもしれないが、一般定義のメディアとは違う。

Anonymousは、アムネスティなどと同じ正義のために戦っているけれども、いわゆる「善行」をもって戦っていない。日本では、「DoS攻撃といういたずらをして自由と戦う組織は、どれだけ正義を尽くしていてもいたずらにしか過ぎない」と捉える人が多いように思える。そのいたずらが、ある独裁国家の転覆を助けたとしても。
法律に反することをしている者には結果がどうであれ賞賛するに値しない、というようなイメージ。法律絶対主義。

だが、このAnonymousは善か悪か、法律に沿うか沿わないかで考えるようなものではないはずだ。現在のツールであるインターネットをうまく利用し、かつ見事なセルフプロモーション。若者がつい真似をしたいと思ってしまうような絶妙なアンダーグラウンド感。
そして戦う相手を国家とし、ヒューマンライツと自由のために戦うまで及んだこと。
(AnonymousはWikileaks支援以前は、搾取する大企業に攻撃していたらしい。)

議論・賛否両論を生みそうな話題に言及したがらないというのも、日本メディアの特徴だと思う。賛否両論を生むような記事が新聞やインターネットニュースにないことから、私たちは友人と政治や社会の話を議論することがタブーとなってしまった。Anonymousについて賛成か反対かを考えることをすっ飛ばしてしまうと、ますます今後のネット社会が息苦しくなる気がする。

それに、議論の機会を奪われて善か悪か決められた情報を与えられるということは、ある一定の考え方をする人間になるようにどこかから仕向けられている気はしないだろうか。

と、現在のエジプト並びにアラブ情勢をチェックしながら書いていたので、結局はまとまっていないのだけれど、卒業論文などにできるぐらいの大きな分析材料になると思う。

日本でAnonymousが有名にならない理由。

ともかく百聞は一見にしかず。

チュニジアのジャスミン革命から飛び火したアルジェリアでの市民の蜂起に対してアルジェリア政府はすかさず暴力で統制。そのアルジェリア政府に対しての、まさに「ワーニング」警告の声明。


アラブで起こった革命は、必ず日本にも影響してくる。
今日本政府は、アメリカ、中国の出方を見守っているという状態だろう。

こんな混乱の時代を見守れるとは。この時代に生まれてよかったと思う。

※ちなみに。観察してると、キューバにはまったくといっていいほど、このアラブ革命が伝わっていない模様。
 そりゃそうだ。キューバの民衆たちに蜂起されると・・・。

あ、ちなみに、本日のニュースでは、FBI、イギリスの警察がAnonymousのメンバー(と思われる)の若者たちをそれぞれ逮捕に踏み出した。
FBI serves 40 warrants in search of WikiLeaks 'hacktivists'
http://www.mcclatchydc.com/2011/01/27/107589/fbi-serves-40-warrants-in-search.html#ixzz1CKwNjQtV

Police arrest five over Anonymous attacks
http://www.pcpro.co.uk/news/364732/police-arrest-five-over-anonymous-attacks

これはまさにサイバー戦争だ。
お金がかかり資金源との関係も必要な銃や武器が、要らない。

コメント(2)


  • nemutaiyube 2011-01-29 08:18

    Anonymousきになるなー。
    アニメーションは、べルギーのアニメーター、ラウル・セルヴェだと思います!

  • 山本 佳奈子 2011-01-30 02:08

    なるほど!Raoul Servais/Chromophobia (1966 ) ですね。
    youtubeで見てみました。
    http://www.youtube.com/watch?v=31andUed8sw
    色彩排除って意味ですかね。Anonymousがマッシュアップした意味がわかる作品ですね。

山本 佳奈子

ゲストブロガー

山本 佳奈子

“Offshoreというサイトでアジアのインディペンデントなアート・カルチャーを紹介しています。webDICEコントリビューターとして、「キューバ紀行」「アジアン・カルチャー探索ぶらり旅」書いてました。”


関連骰子の眼

関連日記