2011-03-31

『四つのいのち』クロスレビュー このエントリーを含むはてなブックマーク 

この映画の中で、一番惹きつけられたのは山羊のシーンだった。
山羊は家畜として飼われてはいるものの
生まれて数分で立ち上がり、乳を飲む。
その羊が、はぐれ、迷い、もしかしたらそこで命が終わるかも知れない。
でも、それは自然なこと。
生と死は同じようにやってくる。

その他のシーンはなぜかとても退屈だった。

人間が作り上げてきたものって、なんて不自然なのだろう、と思う。
それでも、人間はそれを引きずりながら生きて行かざるを得ない。

知恵というものと引き替えに膨大なリスクを背負った人間。

この一見害のなさそうな町に降る雨も酸性雨かもしれないし
放射能も混じっているかもしれない。

もう、戻れないんだな、と思った。

古き良き時代に戻ればいい、と言うけれど、戻ることではできないのだ。
でも、経済成長をただただ目指して生きることはもうできない。

だから、新しい価値観をつくりだす。

淡々と過ぎていく日常、
なのにじわじわと世界は見えないところで変わっていく。

でも戻る必要はない。

作り上げていく人間の力、乗り越えていく人間の力
もしそれが、人間の命題であるならば

古くもなく、ゆきすぎもしない世界をつくりだすことができるだろう。

それは「新しい調和」をもたらすだろう。
世界に。

夢を見る。
新しい夢を。

その夢のなかで
きっと
あの子羊は、また群れに戻ることが出来るんじゃないだろうか。

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