2011-05-28

『レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー』クロスレビュー:笑える残虐シーン、そして一番怖いのはあの人だったよ。 このエントリーを含むはてなブックマーク 

『悪魔のいけにえ』のレザーフェイスと裕木奈江が共演!
というコピーを見て私は「あのレザーフェイスと奈江ちゃんが戦う!」と勝手に思い込み、タイトルも「テキサス・チェーンソー・マサカー」から頂いたというから
『悪魔のいけにえ』が大好きな私は「あのレザーフェイス的な強烈なキャラクターが登場するのかしら!」と鼻息荒めで見に行きました。
この映画自体がアイスランドで初めて作られたホラー映画だそうです。
アイスランドと言えば火山の国という事くらいしか知りませんし、アイスランド映画も多分初めて見ます。
そんな初めてづくしで、アイスランド的レザーフェイスってどんなのだろうと期待はうなぎ上り状態で見に行きました。

ホエール・ウォッチングといってクジラを見に船に乗った10人の観光客。
お金持ちの日本人夫婦とそのメイドの裕木奈江ちゃん、黒人男性、酔っぱらいのフランス人男性、3人の下品なイギリス人おばさん、2人の若い女性。
この観光客の殆どが腹に一物ありそうな嫌な奴らばかりで、汚い言葉で人種差別するわで、この極端なキャラ設定も笑えますし、私この登場人物が殆どが嫌な奴というの結構好きです。
船長もやる気ない感じで、船員も悪い奴なんです。
そして、ある事故で港に帰れなくなった観光客10人はそこへやってきた捕鯨船に助けを求め乗り込むのです。
そう、その捕鯨船に乗っている家族こそ、捕鯨禁止で失業して貧困生活しているイカれた殺人鬼一家なのです。
このイカれた殺人鬼一家は『悪魔のいけにえ』との共通点。
でも『悪魔のいけにえ』のあの一家のような強烈さや精神異常的な鬼気迫る迫力はあまり感じられなく、家族のキャラクターがいまいちぶっとんでいません。
残虐シーンもあるけど、そこまで残虐ではないし、この一家そんなに強力でもないぞと思い見ていたのだが、そうか!と分かりました。
イカれた家族に勇敢に立ち向かう観光客は一人だけで他の観光客は協力的ではないし、自分たちが助かる事しか考えていないし、自分が助かるためなら平気で人を裏切る。
そしてラストで分かった一番悪くて強い奴。
ラストは今イチ理解するのに時間がかかったけど、私の理解が正しければ相当の悪い奴だよあの人は!
『悪魔のいけにえ』との共通点、殺人鬼家族が怖いのではなくて、この観光客の心の悪の部分、本性が怖いんです。

捕鯨禁止をされて、捕鯨で生計を立てていたイカれ一家は日々の生活に困窮し、その怒りの矛先は平和ボケしたホエール・ウォッチングの観光客へ行くのだけど、それ自体ねじれた感情。
でもその地方の伝統的な食文化を偽善で禁止して、それで苦しむ人がいるのだから、この一家もある意味犠牲者なのです。
そして観光客の人種差別的台詞といい、風刺的要素がとても強く、
人間の本性や、ねじ曲がった運命がなんとも混沌とした作品です。
そして観光客の下品な会話や、残虐シーンはかなり笑えます。
「面白い映画があるよ」と今度は友達を誘って見に行きたいです。

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guruguru

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