2011-12-06

『ポール・マッカートニー THE LOVE WE MAKE』クロスレビュー : 殿(しんがり)にて真打ち登場 このエントリーを含むはてなブックマーク 

ジョン、ジョージの映画が相次いで公開された2011年、
その殿(しんがり)に登場したのがポールのこの映画だ。

なぜ10年前のアメリカ同時多発テロ直後のポールを描いた作品が
今頃になって公開されるのか。
しかもジョージの映画は巨匠マーティン・スコセッシ監督の作品。
率直に言って事前の期待はかなり低かったと告白しなくてはなるまい。

ところが映画が始まるや否や、僕は驚嘆の声を挙げ続けざるを得なかった。
ビートルズのアメリカ初上陸時に密着し、
ドキュメンタリー映画『THE FIRST U.S. VISIT』を作った
アルバート・メイスルズ監督は、
今回もポールにかなりの至近距離から密着。その素顔を次々と露わにする。

母メアリーを亡くした後、男だけになってしまったマッカートニー家の食卓の話を
これまでにポールがしたことがあっただろうか。
ザ・フーのピート・タウンシェンドとの熱い友情、
エリック・クラプトンとの、
微妙な距離感がありながらも互いへの深いリスペクトが込められた長い会話、
次女ステラ(著名なファッションデザイナー)との微笑ましい親子のやり取り、
そしてリンゴの長男ザックに対するポールの細やかな気遣い…
どれも今まで見たことの無いポールの素顔だ。
そしてポールがビートルズを再結成しない理由を語るシーンは、
そのやや遠回りな言い回しにかえってポールの強い想いが感じられ、泣けてしまった。

後にポールがブッシュに組してしまったと厳しい評価を受けることになった
‘Freedom’ですらも、映画の最後では涙無しでは観られなかった。
それほどこの映画の組み立ては完璧なのである。
まさか殿(しんがり)のポールが真打ちになるとは思わなかった。
ポールファンならば絶対に観なくてはならない映画だと断言しておこう。

スカパーJSAT 放送事業本部編成部 宮木宣嗣

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