2012-01-31

「“幻”の日本=スウェーデン合作映画、奇蹟の復刻上映!」 トーキョーノーザンライツフェスティバル2012 作品紹介 File.05 『友達』 このエントリーを含むはてなブックマーク 

【上映時間】
① 2月12日(日)/19:00 ※
② 2月14日(火)/21:15

※トークショー開催!(2月12日のみ)
ゲスト:辻井喬氏(詩人、作家、『友達』エグゼクティブプロデューサー・堤 清二氏)

『友達』
■ 原題:Friends
■ 監督:シェル-オーケ・アンデション(Kjell-Åke Andersson)
■ 原作:安部公房
■ 出演:デニス・クリストファー/レナ・オリン/ステッラン・スカーシュゴード
■ 1988年 スウェーデン/日本 ■ 87min ■ 言語:English
【受賞】 1989年 グルドバッゲ賞(スウェーデン・アカデミー賞)最優秀撮影賞

※ 国内DVD未発売

【ストーリー】
弁護士助手のジョンは独身貴族。安定した収入を得てモダンな高級アパートの一室に住み、自由気ままな生活を謳歌していた。だが、ある晩突然見知らぬ6人家族がやってきて、彼の部屋に住むという。ジョンは彼らの図々しさに腹を立て、警察に通報するが、取りあってもらえない。一家はさらにフィアンセのサリーとの電話を邪魔し、部屋を勝手に模様替えし、と好き放題。だが、「孤独は人生で最も不幸なこと」という彼らの前にジョンは無力だった。サリーからも見放されたジョンは、家族の中の次女、ボニーに惹かれるようになる。暴走する隣人愛の前に、なすすべのないジョン。ボニーとの恋の行き着く先はどこなのか。

【解説】
日本の戦後アヴァンギャルド文学を牽引した作家、安部公房は同時に演劇の人でもあった。
1973年に渋谷公園通りに立ち上げられた「安部公房スタジオ」は、その後、渋谷に花開いたサブカルチャーの発火点といってよい。彼は渋谷を本拠地として脚本・演出を手掛けるに留まらない精力的な活動を展開した。
本作の原作にあたる戯曲『友達』(初演1967年/劇団青年座)は、当時の人気演目の一つであり、三島由紀夫にも絶賛された作品である。
その『友達』映画化にあたって一番面食らったのは、ある日突然、日本からの電話を受けたスウェーデンのテレビ脚本/演出家シェル-オーケ・アンデションであったかもしれない。
安部から直々に脚本家として指名を受けたアンディションは、これまでの代表的な安部作品を読破しながらの苦闘を経て、一年半がかりで脚本を完成させ、映画はようやくクランクインを迎えるが、撮影現場ではトラブルが続出、結果として彼が監督も兼任することになる。
実に足かけ五年の歳月をかけてアンデションの初劇場映画監督作品『友達』は完成、バブル景気が沸騰する1989年、日本公開が実現した。
カナダのカルガリーでロケされたクールかつ無機的なガラス張りの建築物や主人公のライフスタイル。これぞこの時代の空気感といえるだろう。映画は物語を超えて時代を映し込む。  
この数奇な生まれの映画が、この国のスクリーンにかかる機会は、この先もうないかもしれない。
安部公房が、かつて未来を夢見た渋谷の街で、この映画を観ることのできる貴重な機会を逃してはならない。(雨宮)

「トーキョーノーザンライツフェスティバル2012」公式サイト http://www.tnlf.jp/

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