「人々はただ、知りたくないだけ」そう語るコーレンの顔に浮かぶのは、怒りか哀しみか。思いは複雑すぎてかえって無表情にも見える。自爆攻撃で3人死亡したわずか3km先のカフェで、ゆったりとエスプレッソを飲み、談笑するイスラエル人の日常があるのだ。
愛する妻でさえ「紛争は慣れる」と無自覚にいうイスラエルにあって、報道写真家コーレンは、断固として紛争の現場に接近し、写真を通して凄惨な現実を伝え続ける。葛藤がないわけじゃない。危険に怯え、トラウマを抱えながら、今ここにある「目の前の死」から目を背けない。写真という一瞬に凝縮して、見る者に強く覚醒を迫る。
そうだ、「ぬるま湯」状態からはやく目を覚ませ!世界中の無関心野郎、または無関心お嬢さん。そうともとれる。