2012-07-13

『眠れぬ夜の仕事図鑑』クロスレビュー: The Dark Side of the Earth このエントリーを含むはてなブックマーク 

冒頭から、映された場所や仕事の内容の説明は全くない。
「あれ、これは何だろう」とか考えているうちに、別の場所へ。
カメラの動きも、ズームやパーンなどない。
音楽もなし。
ただ切り取られる現実のみがたんたんと映し出される。
まるで監視カメラのレンズ越しに見ているような気分。
余計なことは考えるのはやめて、ただ見ることに専念する時間。

夜は機械を相手に仕事をする人たちが多い。
24時間動き続ける社会のシステムの一部として必要な仕事
人命に関わる緊張感のある仕事
人々に快楽の夜を提供する仕事
人間と仕事をする人たちには、たとえそれが売春婦であれ、どこかほっとさせられる。
何かを何かから守る仕事
国境、難民、ロマ、EU
ヨーロッパのさまざまな現実
聖と俗
静と動
生と死
さまざまな対立概念が頭に浮かぶ。
電気によって夜を征服した人間はどこへ向かうのか。
ナレーションや説明で限定されるものがない分、自由な見方が許される作品だ。
「勝手に考えてみて!」と言われた感じ。

原題「abendland」は「西洋」とか「日の沈む土地」とか含蓄のある言葉のようだが、
日本語タイトルを『眠れぬ夜の仕事図鑑』とわかりやすくしたことで、深みが失われ、
監督の意図から少しずれてしまったのでは、と思った。

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mmmmimimi

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