2012-07-22

『モバイルハウスのつくりかた』(2012.7.14.sat@ユーロスペース) このエントリーを含むはてなブックマーク 

わたしは新政府初代総理大臣である坂口恭平氏にはまりすぎているので、『モバイルハウスのつくりかた』について書くとなると、坂口氏についてといよりも本田監督がなぜこのように編集したのか、ということが気になってこの作品単体で内容について言及することが難しい。それは本田監督の意図(トークとか、その他の知識なしで、映画単体として完結されていること)からはずれているとは思うけど、わたしの視点も多様性のなかのひとつの感想として、否定しなくても良いとも思うので、ひとつの映画としての感想ではなく自分が気になったことだけ書こうと思う。

1)音楽
本田監督のツイッターをフォローしているけど、ほんとうによく映画を見に行かれている。それも義理とか義務感でなく見たくて見に行っている。ドキュメンタリーで自主制作のものが多いようだ。
わたしは劇映画も見るので、けっこう青山真治監督の音楽の使い方や考え方に毒されている。毒されているなんていうと悪い言い方だけど、大量に映画をみて、映画についてとことん考えている方がそういうスタンスなら、映画における音楽というのはそうあるべきもの、なのかなと思ってる。なので、これだけ映画を見ている監督が、その場面と関係ない音楽(あら恋)を挿入していることに少し意外な思いがあった。
でもごちゃごちゃ考えずに普通に見てみれば、発言は前向き・創造的なのにも関わらず見た目ちょっと鬱気味な坂口氏のインタビューにこの音楽がかぶさることによって、前向きな、何かが始まるイメージが付与されている。

2)映画における時代性
映画は3.11以前から制作されていたもので、タイトルも「モバイルハウスのつくりかた」とつけられているにも関わらず、あえて3.11以降の坂口氏の目立った活動である「新政府」についても取り上げている。これは無しでいくこともできたと思うから、"あえて"入れたインタビュー、という言い方になるだろう。
iPadとかiPhoneが作品内で頻繁に出てくることもそうだけど、時代性がはっきり刻まれてる。でも時代性が刻まれていることで逆に普遍的になったりする。
自分が何言っているかよくわからないけど、これ数年後に改めてみたときに、どこがどう見えるかがすごく興味深い。
そしてそうした時代性を監督がどのように意識しているかも興味深い、、、が、ユーロスペースに監督がいらしたので直接きいたみたところ、新政府について入れたのは「まあでもしょうがないよね(入れざるを得ないよね)」みたいな感じで、たぶん今後も、聞いてもはぐらかされそう。自分で勝手に考えよう。

3)主題
実際に船越ロビンソンさんに教えを請いながら作るシーンでは、ちょいちょい、他の人もいることが窺われる。でもあえて、作るときは坂口氏ひとりで作業している。そして、ハウツーでもないのだけど、なんとなく、どんな道具が必要でどこで調達してどのような手順で組み立てていくのか、どれくらい時間がかかって、どんな場所に置くことを想定していてどのような居住性で、どんな感じでそこで過ごせるのか、といった一連が具体的にイメージできるように描いている。ここがタイトル的にはいちばんメインになる部分だろう。(坂口氏に初めて触れる人にとっては坂口氏がなぜモバイルハウスという考え方に至ったか話している部分も同様にメインになるだろうが。)
これは、モバイルハウスの白眉でもある、「財布の中にある程度のお金で、家を自分でつくれる」という部分を、もっとも言いたかった、と言えると思う。つるつるした既製品にはない、じぶんの手でつくる、リアルな手触り感のある空間。

ほんとうは、この主題を、家についてテーマにし続けている本田監督のこれまでの作品の中に位置づけて考えたいところなのだが、これまでの作品を見てないので。。。

コメント(1)


  • 1000 2012-07-22 04:25

    あとこの日は、坂口氏の未公開監督作品、『多摩川文明』の上映もあった。アートフィルム的な絵づくりだった。坂口氏のコミュニケーションの仕方が垣間見えて、民族学とかでフィールドワークされる方はじぶんのやり方と較べてみてちょっとおもしろかったりするのではないだろうか。

    あと、坂口氏のファッションセンスの奇抜さについても言及したいところだけど、映画の内容とはまた別の話になるので、別の機会に。

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