車椅子の生活を送るフィリップと無職の黒人青年ドリス。
まったく違う人生を歩んできたふたりの奇妙な生活。
何もかもが異なるふたり。
とまどい、噛み合わない生活。
しかし…静かに、ゆっくりと、
そして猛烈に、愉快にふたりを結ぶ絆は強くなってゆく。
空気のように自然に存在するかのようなドリスの温かさと愛が胸に染み入って愛おしい。
そんなドリスがいることで呼吸し、生きていることを実感するフィリップ。
優雅な旋律に酔いしれ、ファンキーなリズムに躍動する。
お互いのなかになかったもの、知らなかった世界を知り、
とまどいながらも受け入れることで
さらに広がってゆく時間のなんて豊かなこと!
「違い」をわかっているからこそ共存できる強さ。
対等に存在することによって生まれる信頼。
そんなふたりが映し出されるスクリーン全体が強くてやさしい。
小賢しい言葉もなにもいらない。
むき出しの魂が魅せてくれる強靭なエネルギーに最強の力をもらった。