2012-08-30

『モンサントの不自然な食べもの』クロスレビュー:行き着く先は定かではないが… このエントリーを含むはてなブックマーク 

 自分の問題意識がクリアになっていく過程を、もう一人の自分が見ている。そんな心象風景を生起させる力をこの作品は持っている。遺伝子組み換え技術の不安定さが人々の暮らしを脅かしていく。その現実を観ている者にドーンと投げつけてくる。作品が描く世界に初めて出会う人はきっと唖然とし、同時に行き所のない感情に包まれると思う。部分的にでも関連する問題を意識してきた人は、この現実にどのように臨みどう克服すべきかをもう一歩進んで考えると思う。
 いろいろな捉え方ができる作品だと思う。私は、経済システムの倫理について考えを巡らしながら観ていた。市場の独占を図る者は常に存在する。そして独占は必ず矛盾を孕む。調整が必要になり、実際に調整に入る。この問題も調整過程に入っている。しかし、どこへ行くかは定かでない。食料の最終使用者である市井の人々が何を望むかでどうとでも転ぶ。何が欲しくて何を拒否するのか。倫理とは与えられるものではなく、自分で創りあげるものである。価値観は多様であり、価値観に基づく基準もまた多様である。自分で考えて自分で選ぶしかない。

そう再認識しました。機会をつくってくれたUPLINKさんに感謝します。

キーワード:

経済システム / 倫理


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矢嶋 剛

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