2013-04-12

『ふたりのイームズ』クロスレビュー:チャールズ・イームズは伊丹十三? このエントリーを含むはてなブックマーク 

引っ越しの時に最初に決めるのは、"ハングイットオール"の位置。新しい部屋の運命を左右するほど、イームズの家具には独特の存在感がある。それはなぜか?イームズ・デザインの秘密を知りたくて、本作を観た。
チャールズは類稀な才能と確固とした信念がある上にカッコ良く、完璧なはずだった。自分と全く違う才能とセンスを持ったレイと出会うまでは。彼らはパートナーとなって飛躍する。完璧だったチャールズの世界に、レイが豊かな光と彩りを与え、「イームズ」が生まれた。「イームズ」をエンターテインメント映画に置き換えると、チャールズと伊丹十三が重なってくるのは私だけではないはず。
イームズはモノを作っているのではない。使う人に寄り添ったアイディアを形にしているのだ。だからこそ、家具に留まらず、実験的映画『パワーズ・オブ・テン』や「マテマティカ」といった革新的な展覧会の企画、子どものための学び玩具「ハウス・オブ・カード」など、デザインの幅が広かった。「ハウス・オブ・カード」を使ったワークショップ、やってみたいなと私の夢も広がる。
本作はイームズの輝かしい面だけでなく、暗澹たる面も映している。彼らの極めて人間的な脆さこそが、今もなお、イームズ・デザインが世界中で愛されている理由だと気づかされた。

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