2013-09-20

『マイク・ミルズのうつの話』クロスレビュー:見つめるというあたたかさ このエントリーを含むはてなブックマーク 

「マイクミルズのうつの話」を試写会で見た。

うつ病を患った人を追ったドキュメンタリーなのだが、結構気が滅入る発言があるので重い内容になっている。
うつは他の精神疾患も併せて発症してることが多いと言われるが、登場人物もそれぞれに複雑な症状を抱えていて、病気の期間も深刻さも様々だ。

宗教の支えが乏しかったり、家族間の愛が希薄だったり、情報にあふれてうるさい場所でも真面目に生活している日本人を、医学的なことが語られるわけではなく、淡々と映している。

SM好きに欝が多いというのは、快感が大きすぎてセロトニンを使いすぎてるためではないかと個人的に思うのだが、縛られることが好きだというのが、日本社会への皮肉になっている。

西洋医学の薬は石油からできているので飲まないに越したことはないが、生き辛さを溜め込んでちょっと風邪をひいてしまった人にとっては、必要なものだと思った。

エンドロールで幸せそうなBGMが流れないのはドキュメンタリーだからなのだろうか。マイクミルズの映画には、「ありのままを受け入れよう」というようなやさしいメッセージが多いが、このドキュメントは「ありのまま」だからこそ見ていてつらい。

外国向けに描かれた日本には度々違和感を感じるけれど、このドキュメントで注目すべきはそこではない。精神的な病気を怖がらず押し込めないで受け止められるようになりたいと思った。

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ousam

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