2013-11-25

『消えたシモン・ヴェルネール』クロスレビュー:学園は噂に支配される このエントリーを含むはてなブックマーク 

シモン・ヴェルネールという一人の男子生徒の失踪をきっかけにその後も不可解にクラスメイトが消えていくミステリー。学園生活をソニック・ユースの書き下ろし楽曲や代表曲が彩る。失踪事件が最初に起こり、その謎を4人の人物の視点から反復して追っていく構造の映画であり、同じく学園映画である『エレファント』や『桐島、部活やめるってよ』を想起する手法である。確かに同じ出来事が視点が変わって見えた時の楽しさがあり、音楽の使い方やカメラワークもそれぞれで変えられていて工夫されている。
 しかし、冒頭に事件が起こり、謎が提示される点で上記2作とは異なり、ミステリー映画として進んでいく。それがこの手法と合うのかが私には疑問に思った。儚く浮遊した学園生活と謎を追うつかみどころのない感じが最初は良いのだが、真相に別段驚きがないので、クラスメイトの人間関係が明らかになっていくにつれ、どんどん面白みを欠いていく。よって、途中で興味が薄らぎ、この手法をあまり活かせてないように感じてしまった。
 真実よりも実は噂(ミステリー)の方が面白いのかもしれない。考えてみると、学園生活は噂話が広がる場であり、みんなが噂を楽しむ場であり、噂に支配される場である。

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tsunetaku

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