2014-04-20

先週、本気でおもしろかったクロゲン(『クローズアップ現代』)は、 このエントリーを含むはてなブックマーク 

なんせ、NHKしか見ない人だから(もう、いいや、そういうことで)、
クロゲンなんかも割りとしょっちゅう見てるんだけど、
先週一番おもしろかったのは、『無月経、疲労骨折…10代女子選手の危機』(4月15日)だった。

オリンピックはばか騒ぎみたいで嫌いでも、
スポーツ選手の熱意と、ガッツと、練習量と、精神力の鍛錬は見上げたもんだと思うし(あと、フィギュアだけはいつでも見るのが好き)、
もう日本でやることに決まった以上は受け入れなければならないと思っていたものの、
国を挙げてスポーツ事業に力を入れたところで、
自分のことをふしあわせだと思い込んでいる人が増えてしまったこの現代に、
いったいどれだけしあわせだと思える人が増えるのか、と漠然と思っていたところ、
その、スポーツで逆さまにふしあわせの底に転げ落ちてしまう前に、
女性に待った、をかけるかのようなこの着眼点。
素直によかった。

レポートされていたのは、
陸上にしろ、新体操にしろ、選手には体を軽くするための減量が推奨されていて、
そのために生理が来なくなってしまうこともあり、
結果、女性ホルモンの分泌が悪くなって骨密度が減り、
疲労骨折をしやすい体になってしまうということ。
中にはそれで、せっかく練習に励んできたというのに、むしろそのために早い段階で選手生命を絶たれてしまった女性もいるそうだ。
しかしいまだに、指導者の間ですらこの因果関係が知れ渡っているとは言えない状況だという。

そうそう、生理ってちょっと食べないでいるとすぐ来なくなっちゃうし、
ダイエットで来なくなった人なんて世の中にざらだと思うし、
頭脳労働でだってちょっと根詰めれば来るのが遅れてしまうし、
そもそも、生理が来たら思考力も鈍るし、運動なんてできないっていうか、練習するにはむしろじゃま。
しかしそれが、骨折を引き起こしてしまうなんてね。

番組に登場していたスポーツジャーナリストの増田明美さんは、
彼女が陸上選手として活躍していた数十年前は、
生理があるようでは、まだまだ練習が足りないと言われるような時代だったと証言
(なんか、状況として察しがつく)。

そんなわけで、周りからも追い立てられ、自分でも自分を追い込んで練習してきたんだろうに、
体力と根性の限界を感じて引退した後に、何箇所もの疲労骨折が判明して、

「もっともっとそういう知識があれば、
 28歳ではなくて、競技生活が長くできたのかもしれないなと思うと残念ですし、すごく反省もしています」

との話だった。

スポーツの実況中継の技量は問題視されることも多いらしい彼女だけれど
(すみません、元々スポーツ鑑賞はあまりしないので、自分の意見としてはなんとも)、
そんなふうに自分の辛い過去を淡々と語れるところは、ちょっとほろりと来た。

だって彼女の時代には、それこそそんな知識を簡単に得られる環境にはいなかったんだろうし、
それを人のせいではなく、自分の落ち度としても捕らえられるとは。
やはりどんな分野でも情報を吟味する力、いわゆるリテラシーは大切。
先生が言ったから、とか、偉い人が言っているから、ではなくって、
自分で考えてみなきゃあならないんですよ、誰しもなかなか時間はないんだけれど。

クロゲンは、たまに税収を増やしたいばっかりの女性の社会での起用推進の国策や、
同じく国策としての不妊治療の奨励に肩入れしているんじゃないか、と思える回もあるけれど、
この日は、これからスポーツ選手を目指す人が増えるんだろう日本で、
転ばぬ先の杖を提示する、女性としてほんとに有意義な内容だと思った。

番組アーカイヴで、当日の映像の一部とテキストはこちらで確認できます。
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3484.html

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あ、『花子とアン』はあまりにくだらないんで、もう見るのはやめました。

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Reiko.A/東 玲子

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“human/cat also known as Nyanko A 人間/ねこ。またの名をにゃんこA”


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