骰子の眼

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2008-11-19 19:19


アレックス・コックス来日中!「お金にならなくても映画を撮るのが好きなんだ」

5年ぶりの新作『サーチャーズ2.0』をひっさげて、ただいま来日中のアレックス・コックス監督。マスコミ試写会で繰り広げられたアレックスへのQ&Aをご紹介。
アレックス・コックス来日中!「お金にならなくても映画を撮るのが好きなんだ」

『レポマン』(84)や『シド アンド ナンシー』(86)などの作品によって、カルト映画界屈指の映画作家として名高いアレックス・コックス監督が笑顔で試写会場に登場し、来日の喜びを語った。

「日本に来るのは6年ぶりで、いつも楽しみにしています。前回は『私立探偵 濱マイク』の撮影で横浜に滞在していたけど、僕の出身のイギリスと日本は似ていると思っています。イギリスも日本も保守なものを残している場所だし、最近知ったんだけど日本はオカルトやお化けが好きでしょ(笑)。イギリスと似ていて親近感がありますね」

アレックス・コックスQ&A

アレックス・コックス監督Q&A

※一部ネタバレとなりますのでご注意ください

Q:本作はネットで出資者を募ったそうだが、その経緯は?

「ネットで出資者を募っている人がいることを知って、自分もやってみようと思ったんです。結局、最終的には集まらなくて、エグゼクティブ・プロデューサーのロジャー・コーマン、BBC、ビクターの協力によって制作することができたんだ。ネットで出資者を募って成功した人はいるのかな?バンドやミュージシャンならあり得るだろうけど、映画は難しいだろうね」

Q:今回、フィルムではなくビデオで撮影したのはなぜ?

「長い間、ビデオで撮影するのは拒んでいたんだけど、物語をつくっていくところではビデオの良さがありました。私自身、時代に乗り遅れていたかもしれないですね。ロジャー・コーマンが35ミリを貸そうとしてくれたんですが、コンパクトなものを使って早く撮影を進めたかったのでビデオを使用しました。ビデオの利点は安くコストをおさえられ、編集もすばやくできますが、デメリットはビデオの規格がバラバラすぎて上映のときが大変です。でも、フィルムもビデオも良いところと悪いところを知った上で使えばよいかと思います」


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『サーチャーズ2.0』より (c)2007 COWBOY OUTFIT, LLC PRODUCTION

Q:チャールズ・ブロンソンとクリント・イーストウッド、どっちが好き?

「どっちかといえば、ブロンソンが好きかな。イーストウッドは…素晴らしい監督であり俳優であると言わないといけない雰囲気があるけど、いいとは思わないね(笑)。復讐劇ではジャン=ルイ・トランティニャンが好きです」

Q:映画制作において監督を突き動かしているものは?

「私はただ映画をつくることが好きなだけなんです。お金にならなくてもね。さまざまなところで知り合った人たちと仕事をすることが楽しいんだ」

Q:本作では映画談義のシーンがたくさん出てくるがその意図は?

「この映画は“俳優”についてのドラマです。私は俳優をやっていたこともあるのでわかるのですが、俳優業界の中では演技の仕方など映画トークが永遠に止まらないんです。それを表現しました」

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Q:俳優が脚本家を復讐するという設定にしたのはなぜ?

「ハハハ。バカらしいから(笑)。面白いかなと思っただけ」

Q:部屋にあったウェスタンのポスターは監督の持ち物?

「ロスにいる友人の持ち物で、家を撮影場所に借りたんです。まず、インディーズ映画の鉄則として、友人を撮影に関わらせること、絶対に現場にあるものを壊さないこと(笑)」


Q:ニカラグアでサンディニスタ政府と共に反帝国主義映画『ウォーカー』(87)を制作してアメリカ批判をしているが、そこでの経験が本作にも影響されているのか?

「本作は『ウォーカー』に出演していた俳優が出ているので同じようにも感じるだろうが、『ウォーカー』が本作にリンクしていることはないです。独立した作品だと思っています」

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Q:架空の著作権協会が出てくるシーンがあるが、それは監督が誰かに対する復讐なのか、単なるバカバカしい設定なのか、あるいはその両方なのか、どういった意図があるのか?

「著作権は大企業によって守られているからインディーズ映画が殺される。それの警鐘として自分の反発心があったんです。今まで著作権法は一定の期間だけ守られていたのに、延長されてしまい永遠に著作権が守られるかもしれないといったバカらしいことになってきています。クロサワ映画などの巨匠作品はどんどん活用するべきなのに、著作権法によって文化活動が邪魔されていますよね」

Q:低予算でありながら空撮のシーンがありますが、あれは本物?合成?

「空撮映像はCGです。友人がプレイステーション用につくったヘリコプター映像があったから、それを使ったんだ(笑)」

11月21日(金)・22日(土)は、『サーチャーズ2.0』の先行上映会を開催。アレックス・コックス監督と豪華ゲストによるトークをおこないます。乞うご期待!



監督来日記念 トークイベント付『サーチャーズ2.0』先行上映会

日時:2008年11月21日(金) 開場20:30/開映20:45
会場:吉祥寺バウスシアター
ゲスト:アレックス・コックス×田口トモロヲ
料金:1,800円

日時:2008年11月22日(土) 開場18:30/開映18:45
会場:横浜シネマジャック&ベティ
ゲスト:アレックス・コックス×スペシャルゲスト
料金:1,800円

★前売り券は、バウスシアター、ジャック&ベティ、アップリンクの各劇場で購入できます。定員に達し次第チケットの販売は中止いたします。

『サーチャーズ2.0』公式サイト


『サーチャーズ2.0』
2009年1月10日(土)よりアップリンクX、吉祥寺バウスシアター、横浜シネマジャック&ベティにてロードショー

監督・脚本・編集:アレックス・コックス
プロデューサー:ジョン・デイビソン
エグゼクティブ・プロデューサー:ロジャー・コーマン
出演:デル・ザモーラ、エド・パンシューロ、ジャクリン・ジョネット、サイ・リチャードソン、ザン・マクラ―ノン
2007年/アメリカ/96分
提供:JVCエンタテインメント 配給・宣伝:アップリンク

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