骰子の眼

stage

東京都 豊島区

2009-12-11 10:30


タニノクロウの下着に対する愛情がたっぷり詰まった、庭劇団ペニノ「太陽と下着の見える町」演劇クロスレビュー!

庭劇団ペニノによる「太陽と下着の見える町」がフェスティバル/トーキョー09秋の一環として、12月13日までにしすがも創造舎で開催中。
タニノクロウの下着に対する愛情がたっぷり詰まった、庭劇団ペニノ「太陽と下着の見える町」演劇クロスレビュー!
(C)Jun Ishikawa

演出・美術・照明・音響のほぼ全ての要素を、庭劇団ペニノ主宰・タニノクロウ自身が担い、自宅マンションを公演ごとに改造したアトリエはこぶねでの公演や新宿の高層ビル群に囲まれた空き地に奥行50mにもなる巨大テントを設置しての野外公演など、タニノクロウの理想は公演ごとに「劇場を作る」ところにある。つまり、劇場のブラックボックスに合わせて作品をつくるという形態ではない「非劇場」での公演活動を積極的に行う。また、せりふのない生活音だけで成立させた「Mrs.p.p.overeem」やジャズの生演奏と混乱する手術シーンを並行させ、恐怖と笑いを巻き起こした「アンダーグラウンド」など、既存の「演劇」を軽々と突き破る「非定型」の作品づくりも庭劇団ペニノの特徴だ。今回の公演では、にしすがも創造舎の通常の客席パターンを全て取り払い、タニノのイメージ世界を具現化するための空間作りを一から行う。体育館という広大な空間を手に入れたタニノクロウの非凡な脳内世界を、全身で体感できる絶好の機会となっている。

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(C)Jun Ishikawa

会場のにしすがも創造舎は、西巣鴨の廃校を転用した文化芸術創造の拠点。今回の公演の舞台は、体育館に設置された巨大な2階建てのマンション。一見病院のような無駄がなくシンプルで美しい……つまり“白い”内装のマンションの、1Fにある各部屋には10~50代の男女がそれぞれ訳アリな背景を抱え、ベットの上に佇んでいる。2Fのベランダ付きの部屋には、4人の若い男女。そのうち一人の男が、「パンチラ」について熱弁をふるう。それに合わせ、マンション内のあちこちで、パンチラが“起こる”。テレビのザッピング音を合図に、各部屋で繰り広げられる物語。そしてエンドロールのように鳴り響く、シナトラの曲。出演者の舞台挨拶もなしに唐突に終了。まさに、映像作品を観ているよう。タニノクロウの下着に対する愛情がたっぷり詰まった作品だ。


たくさんの言葉が語られる、言葉が主役の作品です。
上演時間は1時間30分ほどのささやかな作品ですが、
最後まで、おすまし頂ければと思います。

タニノクロウ


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(C)Jun Ishikawa

■庭劇団ペニノ カンパニープロフィール

作・演出のタニノクロウを中心に2000年、昭和大学医学部演劇部を母体として発足。「庭」という一つの抽象的イメージのもと奔放に広がる様々な表現形態を提示する集団として設立。劇団員は、代表のタニノクロウの他には構成を担当する3名のスタッフのみで、俳優・技術スタッフは所属していない。これまでに17 回の公演を重ね、大阪・精華演劇祭への参加、台湾・古嶺街小劇場の招きで台湾公演も行っている。また今秋には、ベルリン・HAU(ヘッベル)劇場の招聘も決定している。

※カンパニー公式サイトはこちら



フェスティバル/トーキョー2009秋
庭劇団ペニノ(タニノクロウ)「太陽と下着の見える町」

日時:2009年12月5日(土)~13日(日)
※日によって、14:00~/17:00~/19:30~のいずれかの開催
会場:にしすがも創造舎(東京都豊島区西巣鴨4-9-1)[地図を表示]
作:演出:タニノクロウ
出演:久保井研、山田伊久磨、五十嵐操、内田慈、笹野鈴々音、佐野陽一、森準人、間瀬英正、坂倉奈津子、大久保宏章、寺田ゆい、高橋ちづ他
料金:一般3,500円 学生3,000円 高校生以下1,000円
※フェスティバル/トーキョー2009秋公式サイトはこちら

レビュー(4)


  • tunesさんのレビュー   2009-12-08 23:31

    直視できないモノを見せるメディア

     太陽を直接見ると、眼を痛めます。下着を路上で見ようとすると、法的制裁と社会的制裁という痛みを受けます。そのため、太陽も下着も、一般的にはメディアを通して見るしかありません。  現役の精神科医でもあるタニノクロウさん主宰の劇団、「庭劇団ペニノ」...  続きを読む

  • ジークフリート太郎新之助さんのレビュー   2009-12-09 00:36

    現在の不条理を見る

    現在豊島区で開催中のフェスティバル/トーキョーの一環。 現代の不条理劇を超オムニバスで白を基調とした美しく二段の舞台で見せた90分。 あれ?終わったらしいで拍手さえ拒絶する舞台。 何気にどこにでもありそう、いそうな登場人物達が愚痴とも告...  続きを読む

  • crosstalkさんのレビュー   2009-12-09 19:43

    ヒトのインスタレーション

     庭劇団ペニノの公演は、いままでに西新宿の空き地での「黒いOL」、こまばアゴラ劇場での「ダークマスター(再演)」の二つを観ている。わたしの観たかぎりでは、「黒いOL」にせよ「ダークマスター」にせよ、大掛かりな美術セットに注目させられ、モノによるインス...  続きを読む

  • 今野裕一さんのレビュー   2009-12-09 22:48

    演劇から遥かに遠く、新たな演劇を作る

    ふと思いだしたのは、リビング・シアターの『営倉』。 もちろん生のリビング・シアターではなく、メカスのドキュメンタリータッチの映画『営倉』で見た。映像は、それがリビング・シアターの演技であることをすっかり忘れてしまうほどの激しさで、衝撃を受けた。舞台...  続きを読む

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