骰子の眼

cinema

東京都 渋谷区

2010-01-19 23:00


[CINEMA] “子供の高さ”で世界を理解することが出発点―『ユキとニナ』クロスレビュー

諏訪敦彦が、フランスの名優イポジット・ジラルドと共同監督を務め、カンヌで大絶賛を浴びた話題作。
[CINEMA] “子供の高さ”で世界を理解することが出発点―『ユキとニナ』クロスレビュー

フランス人のパパと日本人のママの離婚、そしてママが自分を連れて日本へ引っ越すという話を聞き、それを阻止しようとするユキとその親友ニナ。大人の事情を理解しつつも、素直に受け入れることができないふたりの少女が“愛の妖精”からの手紙を送ったり家出をするなどして、小さな反抗をする。ママが出て行った晩、踊り狂うパパがユキにつぶやく。「大人なんてヘンな生き物だ」と。そして家出の後に迷い込んだ深い森を抜け、別世界へたどり着くユキ。そこで彼女に変化が訪れる。

ユキとニナ コインランドリー

最後、日本で新しく始まるユキとママの生活での、ネットを使ってニナと交流する様子がとても自然で、彼女の笑顔から日本での生活を楽しんでいるのだということがわかる。誰もが子供時代に一度は感じた、家族を巡る切ないエピソード。ユキは多くを語らないが、複雑な想いを胸に秘めた少女の気持ちを想像すると胸がきゅんとなる。そんな主人公ユキを、映画初主演となるサンピ・ノエが自然体で演じている。

『H Story』で『ベティ・ブルー 愛と激情の日々』のベアトリス・ダルを、オムニバス映画『パリ・ジュテーム』の一篇「ヴィクトワール広場」ではジュリエット・ビノシュなどフランスの大女優たちから見事な演技を引き出し、ヨーロッパで圧倒的な評価を受けている諏訪敦彦監督。そして、ジャン=リュック・ゴダール、アルノー・デプレシャンなど世界の巨匠の作品で活躍を続けているフランスの名優イポジット・ジラルド。そのふたりが、“子供の高さ”でどのように世界を理解するかということを出発点に物語を作り上げた。

ユキ森1

撮影は、諏訪監督がこれまでの映画で行ってきたように、脚本の台詞部分は空白にし役者の即興で作るという方法で、そして演出はイポリット監督の役者として培ってきた感性で、そして編集は日本とフランスで時間をかけ何度もやりとりをしながら行われた。国籍やバッググランドが異なるふたりが日々意見を交わし丁寧に作り上げられた作品だ。



『ユキとニナ』

2010年1月23日(土)より、恵比寿ガーデンシネマ他 全国順次ロードショー
監督・脚本:諏訪敦彦、イポリット・ジラルド
出演:ノエ・サンピ、アリエル・ムーテル、ツユ、イポリット・ジラルド
2009年/フランス・日本/93分
配給・宣伝:ピターズ・エンド
公式サイト


レビュー(3)


  • masako77さんのレビュー   2009-12-25 18:55

    『ユキとニナ』 試写会鑑賞

    諏訪敦彦監督と、フランスの名優イポリット・ジラルドとの共同でメガホンを取った日仏合作の映画。そしてオーディションも即興の演技だったそうですが、実際も役柄や関係、状況の設定だけが台本にある状態で、実際の映画の中のセリフはすべて即興なんだそうです。ほとん...  続きを読む

  • Sightsongさんのレビュー   2009-12-27 08:03

    子どもの内的宇宙は無限大

     森の中へと入っていった2人だが、ユキはあえてニナとはぐれ、本能の赴くままに森の中を歩き続ける。と、いきなり開けた場所は日本の田園風景。  何の予備知識もなしに観た映画だが、傑作であり、怪作と言ってもいい。台詞はほとんど即興(子どもも!)。無限大の...  続きを読む

  • ブルーベリーさんのレビュー   2010-01-04 05:03

    こどもの頃の気持ちを思い出す映画

     予告編を観たとき、2人の少女たちが郵便ポストの前で日本式のお祈りをしている姿が印象的でした。  子供が主人公、または子供が登場する映画を観るといつも思うんですが、子供は大人が思うよりも色々な事を考え、悩んでいるんですね。 ユキとニナもまさにそう...  続きを読む

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