骰子の眼

music

東京都 渋谷区

2010-02-05 16:30


渋谷慶一郎、絶賛を呼んだピアノソロコンサートが高音質シングルとして毎週リリース!

ピアノの内部にいるかのように音響化されたライヴ音源を、24bit96KHz、24bit48KHzのwavファイルでototoy限定配信。
渋谷慶一郎、絶賛を呼んだピアノソロコンサートが高音質シングルとして毎週リリース!

2009年12月25日(金)、26日(土)にラフォーレ・ミュージアム原宿にて開催された渋谷慶一郎のピアノソロライヴ『for maria concert version Keiichiro Shibuya playing piano solo』のライヴ音源が2010年2月5日(金)より毎週1曲、合計8曲をototoy限定で高音質配信されることが決定した。完全PAにより、ホール全体をまるでピアノの内部にいるかのように音響化されたライヴを24bit96KHz、24bit48KHzの高音質wavファイルでリリースする。

アルバムを作ってコンサートをやってというのは、一般的なミュージシャンだったら普通の流れなんだけれど、僕としてはこれで『for maria』というアルバムが完成したという感じがあります。聴く人にとっても、アルバムとコンサートの両方を聴いてくれた人はある種の納得がいったんじゃないかな。ただ同時に、コンサートというのはベンヤミンの〈絨毯の綻び〉じゃないけれど、どこか不完全にしておかないと次に行けなくなるんです。
それはATAK NIGHT4のときもそうだったんだけれど、わざと自分のコンサートをちょっと壊すところがあるんです。完璧を目指さないことで次に行けるということがあって、即興的な要素を入れたり、アレンジもアルバムとかなり変えたりということもいろいろトライしてみた。だから早く次を作りたい、まだやれることはあるという気はしています。エレクトロニック・ミュージックや実験音楽を巡るある種の完璧主義は、幼稚なファンタジーに支えられているという気がしていて、そこを意図的に僕は壊したい。それはコンピューターでもピアノでもあまり変わらないんです。

2日間の公演は、オープニングに披露されたピアノとコンピューターによる実験的な新曲からクラシックやカバー楽曲を含めた2部構成による本編を通して、ピアノという楽器の魅力をシンプルに、そして極限まで突き詰めた内容となった。今回『single file project』としてリリースされる第1弾は、デイヴィッド・ボウイの名曲「Starman」のピアノカバー。通常のCDのサンプリング周波数44.1kHzのおよそ2倍の細かさで情報を変換した高音質ファイルにより、絶賛を呼んだパフォーマンスの空気感を残らず収めることに成功している。

あの日のコンサートについて、厳密にこの曲とこの曲が対応している、ということはないんです。ドローンのなかにメロディが埋もれているようにしている「Starman」もそうだし、サティの選んだ曲もそうだし、ブラームスもトップを強くメロディのように弾いてあとは伴奏のようしてみたり。実験音楽や現代音楽のように88鍵をフルに使うという手法に対して、右手をメロディで左手を伴奏でという形は保守的で良くないという言われ方をしてきた。
けれど例えばサティも含め西洋の音楽ということで考えてみると、左手がある種のドローンやリズムのグルーヴになっていて、右手がそれに対するイレギュラーなメロディになっているというのが多くて、それは体の使い方として効率的なんです。だから「これが前衛的か」とか「これは誰もやっていない」ということを全部とっぱらって、シンプルにピアノという楽器に向かい合うと、右手でメロディを弾いて左手でコードを弾いてみるというのはありなんじゃないかと思っているんです。

さらに今回は購入者特典として、シングルのジャケットとして使用されている新津保建秀氏撮影によるライヴ写真もプレゼントされる。かねてから高品質なサウンド・クリエーションを続けてきた渋谷氏とototoyが提唱するHQD(高音質配信)のコラボレーションをぜひ堪能してみてほしい。

(インタビュー・文:駒井憲嗣)

渋谷慶一郎 プロフィール

音楽家。1973年生まれ。東京芸術大学作曲科卒業。2002年ATAK設立。音楽レーベルとして国内外の先鋭的な電子音響作品をCDリリースするだけではなく、デザイン、ネットワーク・テクノロジー、映像など多様なクリエーターを擁し、精力的な活動を展開。2006年に発表したサウンド・インスタレーション作品『filmachine』とそのCDバージョン『ATAK010 filmachine phonics』を発表。2008年には毎年ベルリンで開催されている世界最大のテクノロジー・アートのフェスティバルであるトランス・メディアーレで『filmachine』の発表、及びコンサートを行う。2009年にはヨーロッパ数カ国から日本に渡るATAK NIGHT4ツアーを行い、初のピアノソロによるソロアルバム 『ATAK015 for maria』を発表、その中の3曲を相対性理論とコラボレーションし、2010年1月6日に『アワーミュージック 相対性理論+渋谷慶一郎』として発表した。

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