骰子の眼

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東京都 渋谷区

2010-06-20 18:45


ライター松本亀吉氏が生み出した〈溺死ジャーナルというカルチャー〉を紐解く、新刊発行記念イベント開催

吉田豪、磯部涼、岡村詩野ほか各氏を迎え、噂が噂を呼ぶインディペンデントマガジンを検証する
ライター松本亀吉氏が生み出した〈溺死ジャーナルというカルチャー〉を紐解く、新刊発行記念イベント開催

80年代後半より、わずか限定数十部という刊行ながらも熱狂的な読者を増やし続けてきた同人誌『溺死ジャーナル』。2010年待望の新刊が発刊されたことを受け、6月26日(土)渋谷アップリンク・ファクトリーにて『溺死ジャーナル2010』発刊記念~渋谷ザーメンが開催される。今回は主催の樋口周平氏によるテキストとともに『溺死ジャーナル』そして当イベントについて紹介する。

『溺死ジャーナル2010発刊記念 渋谷ザーメン』開催にあたって

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某上場企業に勤める会社員であり90年代からライターとして主に音楽に関する記事を発表している松本亀吉氏が企画・編集・発行のすべて手がけライフワーク的に不定期に発刊する文芸ミニコミ『溺死ジャーナル』。その創刊は松本が大学在籍中の1987年の1月。心酔する伝説の音楽・アート雑誌『ロックマガジン』のレイアウト、構成に影響を受けた「コラージュをメインにしたメールアートコピー誌」(以下「」内は編集者所見※)として限定数部がひっそりと印刷されるのみだった。部数を重ねるにつれその内容はアイドル、死体写真、ノイズをはじめとしたきわめてボーダレスなレビューやランキング、架空インタビューなど充実の度合いを増していき、松本の卓越した筆力と他に類をみない圧倒的にジャンクなコラージュアート(「アイドル雑誌のグラビアとワープロ打ちした原稿……などをめちゃくちゃに切り貼りする手法」)の構成力で熱狂的な同人を次々と生み出していく。

『溺死ジャーナル』の松本亀吉氏

平行してさまざまなバンドでライブ活動やイベントの企画を行いつつライブハウス等で関西のさまざまなバンドのエクストリームな音楽世界を浴びるように体験していた松本は、海外で高い評価を得る前の「BOREDOMS」やその周辺のアーティストたち(特にアイドル「山塚アイ(現ヤマタカEYヨ)はHANATARASH時代より)にいち早く着目し、惜しげもない賛辞を誌面で展開する。そんな松本の独創的な着眼点と高度な文章力、編集能力は秋田昌美氏によって中央メディアに紹介され、次第に脚光を浴びるようになっていく。

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1996年より太田出版『QUICK JAPAN』への寄稿を開始。同誌を皮切りに次第にメジャー誌での連載を始めるようになる。『STUDIO VOICE』、『BUZZ』、『週刊宝石』 など音楽専門誌だけでなく一般誌でも鋭い分析のJ・POP批評と男性的な文章は高い評価を獲得し、2000年には太田出版より書き下ろし単行本『歌姫2001』を上梓するに至った。その間も『溺死ジャーナル』は何度も休刊を繰り返しつつ、号を重ね松本の盟友であるシンガーソングライター豊田道倫を大々的に特集した最新号(2010年5月発売)は好評発売中である。最近ではお笑い評の分野にも活躍の場を広げ『QUICK JAPAN』『マンスリーよしもとPLUS』に寄稿している。

5月に待望の発刊を果たした『溺死ジャーナル 2010』

当イベントは松本の10数年来のファンでありかつて溺死ジャーナル同人であった筆者による同誌へのオマージュであり若い世代の読者に松本亀吉の魅力に注目して欲しいという筆者の願いのあらわれである。

(注※『溺死ジャーナル500』より)

文:樋口周平(玉川カルトット)

『溺死ジャーナル 2010』は中野タコシェで発売中。


出演者紹介

田渕純(第一部オープニングに登場)…和田弘とマヒナスターズの最後のヴォーカリストとしてデビュー。グループ解散後2004年より異色ムード歌謡歌手としてジャンルを超えた活動を展開。その美声からは想像のつかないキャラクターのMCもまた必見です!
Mark(第二部オープニングに登場)…寡作ながら非凡な才能を惜しげもなく発揮する女性シンガーソングライター。豊田道倫をして自身の「後継者」といわしめた独特の世界観に満ち溢れたライブを体感してください!

鼎談「私のアイドル」

二部構成の一部では溺死ジャーナルにも過去にエッセイを寄稿している先鋭的音楽批評家磯部涼氏をMCに、独自の切り口の批評眼はUSインディのみならず邦楽ロックの分野でも健筆を揮う音楽ジャーナリストの岡村詩野氏、大阪ミナミで宝塚音楽バー「ノバボサノバ」を経営するかたわらゲーム音楽の分野で活躍する(溺死ジャーナル最新号では80年代アイドルレビューを寄稿)小渕世子氏をゲストに迎え貴重な映像や音源をふんだんに使ってめくるめく「わたしのアイドル」の世界を辿っていきます。
後半二部ではもはや説明不要の最強のプロ・インタビュアー/書評家の吉田豪氏を迎え秘蔵映像・音源をまじえた「松本亀吉・吉田豪のアイドル対決」を展開します!
見逃せないイベントになることは間違いなしと思いますので、ご興味のある方はぜひお越しください。


『溺死ジャーナル2010』発刊記念~渋谷ザーメン
2010年6月26日(土)18:30開場/19:00開映

会場:渋谷アップリンク・ファクトリー
入場料:予約2,000円/当日2,300円(1ドリンク付)
トーク出演:

松本亀吉(溺死ジャーナル)
吉田豪(書評家・プロ・インタビュアー)
磯部涼(批評家)
岡村詩野(音楽ジャーナリスト)
小渕世子(作編曲家/宝塚音楽バー経営)
ライブゲスト:
田渕純
Mark
主催:玉川カルトット


予約方法

このイベントへの参加予約をご希望の方は、
(1)お名前
(2)人数 [一度のご予約で3名様まで]
(3)住所
(4)電話番号
以上の要項を明記の上、件名を「予約/『溺死ジャーナルイベント』」として、factory@uplink.co.jpまでメールでお申し込み下さい。
アップリンク・ファクトリー予約ページ
http://www.uplink.co.jp/factory/log/003579.php

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