骰子の眼

cinema

東京都 渋谷区

2011-02-26 20:28


[CINEMA]「静かな口調に内なるメッセージの熱さをと感じる。言葉を聴くというより、彼女の思いを感じる映画」『レイチェル・カーソンの感性の森』クロスレビュー

レイチェル・カーソンは、「子どもたちの感性を育てよう」というところから、優しく、環境の大事さを物語る。
[CINEMA]「静かな口調に内なるメッセージの熱さをと感じる。言葉を聴くというより、彼女の思いを感じる映画」『レイチェル・カーソンの感性の森』クロスレビュー
映画『レイチェル・カーソンの感性の森』より

環境活動家として知られるレイチェル・カーソンは、1962年に発表し、その後環境問題のバイブルとなる『沈黙の春』で、それまで明らかにされていなかったDDT(有機塩素系殺虫剤)の残留とその生態系への影響を訴えたが、賞賛とともに多くの圧力や批判を受ける。映画『レイチェル・カーソンの感性の森』は、最後の作品となった『センス・オブ・ワンダー』の完成を自ら目にすることなく癌で亡くなった彼女の人生を伝記的に描くのではなく、彼女が心の拠り所としたメイン州のコテージとその周囲の緑と海に限定することで、カーソンの思想が普段の暮らしがどのように営まれていたかを表現する。誰よりも早く化学物質が環境に及ぼす危険性を告発した科学者やエコロジストとしての面よりも、甥のロジャーに対するいたわりや自然の美しさへの素直な驚きや発見の気持ちを通して、素朴なひとりの女性としての姿を明らかにしている。

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写真:森本二太郎

主演のカイウラニ・リーによる「自然の中に身を置けば、自分がその一部だということを実感できる」という言葉の通り、スクリーンからも匂い立ってくるような木々のざわめきや海辺に波が打ち寄せる様子、そして凛とした空気感は、まるで豊かな自然に囲まれたコテージを訪れたかのような感覚を覚える。カイウラニ・リーのカーソンへの尊敬の念ともに、観客をあたたかく包み込むような映像と音響により、カーソンが語りかけるメッセージをより親密さを持って感じ取ることができるようになっている。

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映画『レイチェル・カーソンの感性の森』より




『レイチェル・カーソンの感性の森』
2011年2月26日(土)、渋谷アップリンクほか全国順次公開

監督:クリストファー・マンガー
エグゼクティブ・プロデューサー、脚本、出演:カイウラニ・リー
プロデューサー:カレン・モンゴメリー
撮影:ハスケル・ウェクスラー
編集:タマラ・M・マロニー
2008年/アメリカ/カラー/16:9HD/英語/55分
配給:アップリンク

公式HP


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