骰子の眼

cinema

東京都 渋谷区

2011-03-30 14:10


311以降に生きることの意味を見出すために─鎌仲ひとみ監督作『六ヶ所村ラプソディー』『六ヶ所村通信no.4』『ヒバクシャ』上映

今観るべきドキュメンタリー作品、渋谷アップリンク・ファクトリーで4/3(日)より再上映決定。
311以降に生きることの意味を見出すために─鎌仲ひとみ監督作『六ヶ所村ラプソディー』『六ヶ所村通信no.4』『ヒバクシャ』上映
『六ヶ所村ラプソディー』より

福島原発の事故によってすでに膨大な放射性物質が環境に放出されてしまった。
放射性物質は自然循環に入り込み、私たちの元へとやってきた。
『ヒバクシャ―世界の終わり』で私はヒロシマ・ナガサキ以降にうまれた新しい「ヒバクシャ」にイラクで出会った。
石油争奪戦争に打ち込まれた原子力産業のごみから作られた劣化ウラン弾がイラクの子供たちから命を奪っていた。
遠いイラクで起きていることと私たちが日本で毎日電気を使う生活がつながっていることをあまりにも多く人々が知らなかった。
原子力発電に頼ることの内実、意味を『六ヶ所村ラプソディー』で問いかけた。
原発の正体、放射能汚染の危機を知ってもらいたかった。
そして、『ミツバチの羽音と地球の回転』で原発から足を抜く希望を描いた。
希望へと至る道程には絶望が埋め込まれている。そこを経ることなくして希望を手にすることはない。
二本の映画を観て311以降に生きることの意味を見出していただきたい。
そして考えていただきたい私たちはこれから何をするのかを。

メッセージ:鎌仲ひとみ


3月11日の東日本大震災、そして福島第一原発の事故による被害が依然拡大を続けるなか、29日には原発敷地内でプルトニウムが検出されたことを東電が発表。同じ日の参院予算委員会では、菅首相がこれまでの日本のエネルギー政策を見直し、再生可能な新しいエネルギーの活用を積極的に進めていく意向を強調。政府は2030年までに少なくとも14基の原発の新たな増設を目標に掲げていた「エネルギー基本計画」を見直す方針を固めるなど、日本の原子力エネルギーを巡る問題は刻々と変化し、様々な論議が交わされている。
そんななか、最新作『ミツバチの羽音と地球の回転』で山口県祝島とスウェーデンの原発建設を主題に、未来のエネルギーと生物多様性について描いた鎌仲ひとみ監督の作品3作が4月3日(日)より渋谷アップリンク・ファクトリーで上映が行われる。
今回上映されるのは、2004年に完成した六ヶ所村の再処理工場を舞台にする『六ヶ所村ラプソディー』。原発で使った燃料からプルトニウムを取り出すこの再処理工場に反対する現地で農業を営む人々、そして職を失った漁民の雇用問題についてを、イギリスにある再処理工場の2005年の事故も参照しながら検証している作品だ。

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『六ヶ所村ラプソディー』より

今回はその『六ヶ所村ラプソディー』と合わせ、映画の制作過程とその後を収めた『六ヶ所村通信』シリーズのなかから、2007年8月から2008年2月の終わりまでの取材スケッチとなる『六ヶ所村通信no.4』を併せて上映。動き続ける問題をリアルタイムで追う鎌仲監督の視点をここでも確認することができる。

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『六ヶ所村通信no.4』より

そして『ヒバクシャ』では、世界で初めて原爆が投下された日本の体験がどのように世界の人々と共有されてきたかというヒバクシャの存在の根源がテーマ。イラクで湾岸戦争で使われた劣化ウラン弾により白血病を病んだ子供たちへカメラを向け、核開発、核実験そして原発によって拡大する微量放射能の被害放射線がもたらす危険をヒバクシャの声として捉えている。
今回の上映にあたり、4月14日(木)には「311以降に生きることの意味を見出してもらいたい」という鎌仲監督によるトーク付きの上映も開催が決定している。まさしく今観るべきドキュメンタリー作品、ぜひ会場に足を運んでいただきたい。

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『ヒバクシャ―世界の終わりに』より


▼『六ヶ所村ラプソディー』予告編




映画『六ヶ所村ラプソディー』

プロデューサー:小泉修吉
監督:鎌仲ひとみ
撮影:大野夏郎、松井孝行、フランク・ベターツビィ
音楽:津軽三味線奏者 倭(やまと)〔小山内薫、永村幸治、柴田雅人〕、ハリー・ウィリアムソン
編集:松田美子
助監督:河合樹香
上映配給:巌本和道
編集スタジオ:ネオ P&T
録音スタジオ:東京テレビセンター
支援:文化庁
制作・配給:グループ現代
2006年/119分

映画『六ヶ所村通信no.4』

監督:鎌仲ひとみ
制作:グループ現代
2008年/75分

映画『ヒバクシャ~世界の終わりに~』

監督:鎌仲ひとみ
プロデューサー:小泉修吉、川井田博幸
撮影:岩田まき子
制作・配給:グループ現代
写真協力:森住 卓
2003年/117分




日時:2011年4月3日(日)~4月15日(金)
料金:一律¥1,000

【上映スケジュール】
『六ヶ所村ラプソディー』
4月3日(日)10:45
4月4日(月)13:15
4月5日(火)・4月6日(水)10:45
4月7日(木)13:15
4月8日(金)・4月9日(土)10:45
4月10日(日)13:15
4月11日(月)・4月12日(火)10:45
4月13日(水)13:15
4月14日(木)10:45/15:30
4月15日(金)10:45

『六ヶ所村通信no.4』
4月3日(日)13:15
4月4日(月)15:30
4月6日(水)・4月8日(金)・4月9日(土)13:15
4月11日(月)・4月14日(木)・4月15日(金)13:15

『ヒバクシャ~世界の終わりに~』
4月4日(月)10:45
4月5日(火)13:15
4月7日(木)・4月10(日)10:45
4月12日(火)13:15
4月13日(水)10:45




イベント情報

『ヒバクシャ~世界の終わりに~』トーク:鎌仲ひとみ~今こそ自然エネルギーへ~
2011年4月14日(木)17:30開場/18:00開演
18:00~20:00 上映『ヒバクシャ~世界の終わりに~』
20:00~21:30 トーク:鎌仲ひとみ監督ほか
料金:¥1,500
会場:渋谷アップリンク・ファクトリー
東京都渋谷区宇田川町37-18 トツネビル1F [地図を表示]
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