『オンナの快感』より
2005年から回を重ね第7回を迎えるブラジル映画祭が今年も10月15日(土) からスタート。映画を通してブラジルの明るくエネルギッシュなパワーやアーティスティックな感覚を伝えてきたこの映画祭から、東京・大阪・京都・浜松の4都市で上映される日本未公開の8本の作品をご紹介する。
戦後のリオを舞台に人間模様を描く『あの日の幸せ』、セックスレスの夫婦をテーマにした艶笑コメディ『オンナの快感』、同じくコメディで2010年にブラジルで最もヒットした『ガールズトリップ』、サンバ・カリオカの伝説的作曲家を捉えたドキュメンタリー『ノエル・ホーザ～リオの詩人』や、音楽ものでは歴史的フェスティバルを収録した『MPB 1967』など、ドラマ、コメディー、ドキュメンタリーと多様なラインナップから、ブラジル文化の伝統と新潮流の双方を感じてみてはいかがだろう。
また、2010年のブラジル映画祭での上映の後、今年3月にロードショー公開された『名前のない少年、脚のない少女』が11月18日（金）にDVD発売される。ブラジル映画界期待の若手エズミール・フィーリョ監督が十代の若者の不安定な心情を繊細なタッチで描いた青春物語に再び触れてみてほしい。
『あの日の幸せ』
第二次世界大戦が終わった1945年のリオデジャネイロ。8歳の少年パウロはパイロットの父と母の隣で終戦のニュースをきく。自由奔放な祖父に憧れ悪友と初めて足を踏み入れた売春宿。そして初恋にとまどう青年時代。新型機のパイロットという夢を果たせず落ちぶれた父と現実を受け入れられない母との板ばさみになる日々。そしてキャバレーでの運命の出会い。リオデジャネイロの古き良き時代を生きた人たちをアーティスティックに描き出す。1986年のカンヌ映画祭で称賛されたアルナルド・ジャボールが26年振りにメガホンを取った話題作。
監督：アルナルド・ジャボール
脚本：アルナルド・ジャボール
出演：マルコ･ナニーニ、ダン･ストゥルバッチ、マリアナ･リマ、エルケ･マラヴィーリャ、ジャイメ･マタラッソ、ミシェル･ジョエルサス、カイオ･マニェンテ、ジョアン･ミゲル
125分／2010年
『クリチバ0℃』
クリチバは冬には氷点下になることもあるブラジル南部の都市。冷涼な気候に由来するのか一般的なブラジルのイメージとは異なる独特の雰囲気を持つ街。車のディーラーのジャイメは経営が芳しくない店と口を利かない年頃の子どもとの関係に悩み、バスの運転手ハモスは親戚を頼ってクリチバにやってきた家族と出会う。バイク便の配送員マルシオには子どもがいるが、彼女の家族の反対で結婚はしておらず、チアォンは家族の治療費もないほど日々の生活で精一杯。そんなクリチバに暮らす4人の日常生活をまるでドキュメンタリーのように切り取っていく。
監督：エロイ・ピレス・フェへイラ
脚本：アルテニール・シルヴァ、エリコ・べドゥーシ、エロイ・ピレス・フェへイラ
出演：エジソン･ホーシャ、ディエゴ･コジエヴィッチ、ジャクソン･アントゥーネス、ロリ･サントス
105分／2010年
『オンナの快感』
アリーセはおもちゃ会社の重役候補で全てにおいて仕事が優先。しかしある日突然夫から別居を切り出され、また仕事まで失ってしまう。夫婦関係の破綻はセックスレスが原因、もっと女性としての悦楽を大事にしろと言われ、しぶしぶ同じマンションに暮らすマルセラが経営するセクシーグッズの店を訪ねるが…仕事も家庭も成功させる鍵は"快感"!? 全ての女性に贈るブラジル発のセクシー＆ロマンチックコメディー。
監督：ホベルト・サントゥッチ
脚本：マルセロ・サバック、パウロ・クルジーノ
出演：イングリッド･ギマランエス、マリア･パウラ、ブルーノ･ガルシア
97分／2010年
『ガールズトリップ』
婚約者の浮気現場に鉢合わせてしまったチータ、セクハラに嫌気がさしたキャリアウーマンのマリ、いつも優柔不断なアニーニャの3人は小さい頃からの幼なじみ。男を踏みつけて生きていくような新しい自分に生まれ変わりたいというチータは2人と一緒に週末を新婚旅行で来ることを夢見ていたリオの郊外のビーチで過ごすことにする。そこで3人が出会うのは父親を探しているエストレーラなど一癖ある人ばかり。リオの若者を恋愛や友情を明るく描く。ブラジルを代表する人気コメディアンが揃って出演し、2010年にブラジルで最もヒットしたコメディー映画。
監督：フェリッペ・ジョフィリー
脚本：ブルーノ・マッゼオ、ジョアン・アヴェリーノ、ホザナ・フェハォン
出演：アンドレイア･オルタ、デボラ･ラム、フェルナンド･ソウザ、ジアンネ･アルベルトーニ
92分／2010年
『ノエル・ホーザ～リオの詩人』
26年の短い生涯の中で彼の作品は200以上とも言われている、天才ノエル･ホーザ。
彼は日常生活を美しく歌い上げ、多くの人気歌手に楽曲を提供した。その圧倒的な存在が現代のブラジル音楽への与えた影響は大きい。ノエルと同じヴィーラ･イザベル地区出身のマルチーニョ･ダ･ヴィオラの語りと貴重な当時の映像、そしてこの作品のために新しく録画したコンサート映像を織り交ぜてノエル･ホーザの歌詞とメロディーの美しさを心行くまで堪能できる充実の125分。
監督：ダシオ・マルタ
脚本：ダシオ・マルタ
出演：マルチーニョ･ダ･ヴィーラ、ゼー･ヘナト、マリアーナ･バルタール、シコ･ブアルキ、ゼカ･パゴジーニョ、カエターノ･ヴェローゾ、ジョアン･ボスコ、パウリーニョ･ダ･ヴィオラ
125分／2010年
『この世の先に』
アンドレが目覚めるとそこは死後の世界だった―。彼は暗闇の中で飢えや痛みに苦しむが、ある人たちによって「私たちの家」と呼ばれる不思議な場所に連れて来られる。そこには協力し平穏な生活を営む人たちの姿があった。亡くなった家族との再会、そして地上に残してきた家族での思いが交差する中でアンドレは自分がどうあるべきかを悟っていく。ブラジルで最も著名な霊能力者シコ・シャビエルが発表したベストセラー小説を映画化。
監督：ヴァグネル・デ・アシス
脚本：ヴァグネル・デ・アシス
出演：ヘナト･プリエト、フェルナンド･アルヴェス･ピント、ホザンネ･ムリョランド、イネス･ヴィアナ、ホドリゴ･ドス･サントス、ヴェルネル･シューネマン、クレメンテ･ヴィカイーノ、オットン･バストス、アナ･ホーザ、パウロ･ゴラール
110分／2010年
『ジューサーの考察』
サンパウロの街中で細々と営んでいたジューススタンドを閉めた後、主婦として穏やかに夫と暮らしていたエルヴィラ。ある日、彼女を一風変わった視点で解説する不思議な声に気づく。声の正体は店で長年愛用していたジューサーだった。そして長年連れ添った夫が何も言わずに突然失踪。不安なエルヴィラと彼女を支えるジューサーのちょっと奇妙な友情物語の結末とは―。
監督：アンドレ・クロッツェル
脚本：ジョゼ・アントニオ・デ・ソウザ
出演：アナ･ルシア･トッレ、ジェルマーノ･アイウッチ、セルトン･メロ、ファビウラ･ナシメント
85分／2010年
『MPB 1967』
ブラジル音楽を語る上で欠かせないムーブメント「トロピカリズモ」誕生に大きな影響を与えたTV Record主催の音楽フェスティバル。カエターノ・ヴェローゾ、ジルベルト・ジル、ホベルト・カルロス、エドゥ・ロボ、セルジオ・リカルドらMPB(ブラジルポピュラーミュージック)を代表するアーティストが揃ってが出演した1967年の伝説の一夜が貴重映像と証言で蘇る。音楽祭の舞台裏からアーティスト同士の交友関係、発表した楽曲の反響に対する思いなどは全てのブラジル音楽ファン必見のドキュメンタリー。
監督：ヘナト・テーハ／ヒカルド・カリル
出演：シコ･ブアルキ、カエターノ･ヴェローゾ、ジルベルト･ジル＆ムタンテス、エドゥ･ロボ、ホベルト･カルロス、セルジオ･ヒカルド
85分／2010年
ブラジル映画祭2011
東京会場 ユーロスペース
2011年10月15日（土）～10月21日（金）
東京都渋谷区円山町1-5 Tel.03-3461-0211
大阪会場 シネ・ヌーヴォ
2011年10月22日（土）～10月28日（金）
大阪府大阪市西区九条1-20-24 Tel.053-489-5539
京都会場 京都シネマ
2011年10月29日（土）～11月4日（金）
京都府京都市下京区烏丸通四条下ル水銀屋町620番地COCON烏丸3F Tel.075-353-4723
浜松会場 シネマ イーラ
2011年11月12日（土）～11月18日（金）
静岡県浜松市中区田町315-34笠井屋ビル3階 Tel.053-489-5539
■リリース情報
『名前のない少年、脚のない少女』
2011年11月18日発売
本編101分+特典
ULD-616
￥3,990（税込）
アップリンク
監督・脚本：エズミール・フィーリョ
プロデューサー：サラ・シルヴェイラ、マリア・イオネスク
脚本・出演：イズマエル･カネッペレ
撮影監督：マウロ・ピニェイロJr.
音楽：ネロ・ヨハン
キャスト：エンリケ･ラレー、イズマエル･カネッペレ、トゥアネ･エジェルス、サムエル･ヘジナット、アウレア･バチスタ
ブラジル・フランス／ポルトガル語・ドイツ語／2009年
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