骰子の眼

神奈川県 横浜市

2012-01-08 23:00


「子供の声を聞く必要が僕たち大人にはある」

世界へメッセージを発信、脱原発世界会議1/14・15横浜で開催、主催のピースボート草深さんに聞く
「子供の声を聞く必要が僕たち大人にはある」

福島の原発事故の経験をもとに、世界へ脱原発のメッセージを発信する場として、『脱原発世界会議 2012 YOKOHAMA』が1月14日(土)、15日(日)の2日間パシフィコ横浜で開催。原子力からの脱却を目指し、原発に頼らない生き方や自然エネルギーについて多彩なイベントやトークセッションが行なわれる。主催である国際交流NGO・ピースボートは当日約250名のボランティアとともにこの会議を運営。スタッフ草深比呂至さんは、今回の会議のキーポイントである50名以上の海外からの参加者について次のように語る。

「なかでも注目すべきは、欧州議会議員・緑の党・欧州自由同盟代表であるドイツのレベッカ・ハルムスさんと、同じくドイツのミヒャエル・ザイラーさんは原子力安全委員会の元委員長です。ドイツは現在脱原発に動いていますが、それ以前に原発の管理をしていた人です。ドイツの人は原発は危ないという認識があったから、福島の事故以降、すぐ脱原発にシフトしていくことができた。日本という国がどうして政府の対応や危機管理のなさにより原発の管理に失敗しているのか、といったことを安全を考える専門家という立場から聞くことができる貴重な機会です」。

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東京・高田馬場のピースボート本部にて、スタッフの草深比呂至さん。

脱原発を進める国からだけではない。今回の来日で最もメディアから注目されているのがヨルダンの国会議員ジャマール・ガッモー氏だという。

「先日原子力協定が結ばれましたが、日本はいまヨルダンに輸出をしようとしています。ジャマールさんはそのヨルダンの現職国会議員で、エネルギー政策の担当でありながら、自分たちの国には原発は危ないからいらないと言い続けている人なんです。そういう人が国際会議で輸出しようとしている人に向けて発言するというのはすごくインパクトがあることだと思うんです。ジャマールさんは福島視察も行います」。

また、ロシアからはチェルノブイリの放射能から子供たちを守る活動を続けている、NGOラジミチ・「チェルノブイリの子どもたち」のアントン・ヴドヴィチェンコさんも来日。他にも子供のためのプログラムも数多く設けられている。

「いろんな団体に手伝ってもらい、ダンスとかヨガをして子供たちも楽しく原発の問題について学ぶことができます。どうやったら放射能の危険から避けることができるのか知識を得てもらう。お話だったら気が散ってしまうかもしれないけれど、できるだけワークショップ型の体験してもらう催しを組んでいます」。

脱原発のすべてが集結している会議

草深さんもまた、昨年ピースボートが行った南相馬の子供たちをベトナムからスリランカまで舩に乗せるプロジェクトに加わっていた。

「ピースボートで福島の支援になにかできないかとスタッフが提案したときに、子供たちを舩に乗せてほしいという声があったんです。線量が高いので近所の草むらが危ないと言われている状況で、親としては外で遊ばせることができない。それで夏休みに50人くらいの子供を乗せることにしました。僕は、ベトナムで受け入れをしたんですけれど、子供たちの顔がすごく輝いていたんです。震災以降、外でめいっぱい遊ぶことができかったけれど、放射能のないベトナムで『ここは大丈夫なんだ!』と押さえられていたものが開放された様子でした」。

今回の国際会議では、福島からもこうした子供プログラムに参加してほしいということで、福島県内からバス送迎も実施する。

「子供の声を聞く必要が僕たち大人にはあると思っていて。そういった子供の声ができるだけ世界に広がるように子供記者会見というのをプログラムに準備しています」。

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脱原発世界会議を控え、活気に満ちたピースボート本部。

そして今回はメインのセッションだけでなく、持ち込み企画と題し、全部で100以上の団体が集まり、ブース出展やセッションやワークショップといった企画や催しも行われる。さらにミュージシャンやクリエイターもトークライブやアーティスト・ラウンジなどに多数出演する。そして、一部で議論を呼んでいるパシフィコ横浜での開催や料金についても質問した。

「横浜か福島かどちらかを考えていたのですが、できるだけ多くの人に来てもらいたい、ということもあり、港がある街で世界に出ていくというイメージのある横浜で開催することを決めました。そして脱原発を実現させるための会議なので、きちんとした場所で開催したかった。それにピースボートはいつも横浜から出ていることもありますし、パシフィコという名前はラテン語の〈平和〉という言葉からきているんです。チケットについては、僕は2日間のフリーパス(前売3,900円)よりもB券(前売1日1,500円)をおすすめします。B券は開会式・閉会式とトークライブ以外を全てみることができるので、いちばんお得です。開会式や閉会式では著名な方が出演しますが、そういう方のお話はまた別の場所でも聞けますし、海外ゲストや各団体の方のお話をまとめて聞くことができるのはこの国際会議だけですから」。

草深さんは、今回の国際会議はジャンルを限定しない、幅広い人たちに参加してもらいたいプログラムになっていると強調。開催終了時には脱原発世界宣言と、成果を今後に生かす行動提案が発表されることになっている。原発や自然エネルギーに関する論点を取り上げ、行動を提言する2日間、活発な交流と対話が期待される。

「学術的なお話をじっくり聞いていただくセッションもありますし、親子で楽しんでいただくプログラムもあります。託児所も用意しています。なんとなくtwitterで知って面白そうだからという人たちにはアーティストたちの叫びを聞いてもらいたい。東京平和映画祭やユナイテッド・ピープルの協力によって『チェルノブイリ・ハート』『第四の革命』といった映画も上映されます。当日は会場の近くでデモ(『脱原発世界大行進 in 横浜』)もありますし、見どころが多すぎですね(笑)。ほんとうに脱原発のすべてが集結している会議なんです。ぜひ多くの人たちに来てもらいたいですね」。

(取材・文:駒井憲嗣)



『脱原発世界会議 2012 YOKOHAMA』

2012年1月14日(土)、15(日)
会場:パシフィコ横浜
(横浜市西区みなとみらい1-1-1)[地図を表示]
公式サイト:http://npfree.jp/
チケット:脱原発世界会議オフィシャルWEBショップ「脱原本舗(だつげんほんぽ)」またはローソンチケットにて発売中(*中学生以下無料)



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