骰子の眼

cinema

東京都 中央区

2012-08-30 22:37


真逆のふたりが理解しあっていくプロセスが痛快!

2011年フランス興収トップとなった実話に基づく物語『最強のふたり』クロスレビュー
真逆のふたりが理解しあっていくプロセスが痛快!
映画『最強のふたり』より (c)2011 SPLENDIDO / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / TEN FILMS / CHAOCORP

地元フランスはもちろん、世界各地での大ヒットと高い評価のなか、日本でも昨年の第24回東京国際映画祭でグランプリ(東京サクラグランプリ)と、主演男優賞W受賞という快挙を成し遂げた作品。パラグライダーの事故にあって頸髄損傷になった大富豪と、彼を介護するために雇われた若者との実話をベースに、異なる環境で暮らしてきたふたりの文化や考え方の違いと、やがて生まれる深い友情を描く。カルチャーギャップから生まれるユーモアといえば映画のモチーフとしてはごくありきたりだ。しかし今作に登場する富豪フィリップと黒人青年ドリスの丁々発止のやりとりは、障がい者と介護者という壁を越えて、悪ノリと呼べるくらい、徹底的にコミカルに突き抜けている。

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映画『最強のふたり』より (c)2011 SPLENDIDO / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / TEN FILMS / CHAOCORP

もちろん、ドリスの家族内不和や、文通相手と会うことをためらうフィリップの葛藤などをさらに掘り下げていけば、いくらでもシリアスな物語にすることは可能だっただろう。しかし、脚本と監督を担当したエリック・トレダノとオリヴィエ・ナカシュは、この無骨な二人三脚が生む果敢な(というより闇雲な)行動力と、ネガティブさを笑い飛ばすパワーにだけ焦点を絞った。それが今作の成功の理由であることは間違いないだろう。そして、とことん楽しみながら演じているのだろうなというのが伝わってくるフランソワ・クリュゼ、オマール・シー両名の演技には、実在のふたりへの友情への敬愛の情を感じずにはいられない。

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映画『最強のふたり』より (c)2011 SPLENDIDO / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / TEN FILMS / CHAOCORP



映画『最強のふたり』
9月1日(土)TOHOシネマズ シャンテ、TOHOシネマズ 六本木ヒルズ、新宿武蔵野館他 全国順次公開

脚本・監督:エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ
出演:フランソワ・クリュゼ、オマール・シー
後援:フランス大使館 協力:ユニフランス・フィルムズ
提供:ギャガ、WOWOW
配給:ギャガ
2011年/フランス/113分/35mm/カラー/ビスタ/ドルビーデジタル、ドルビーSR
公式サイト:http://saikyo-2.gaga.ne.jp

▼『最強のふたり』予告編



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