骰子の眼

music

東京都 台東区

2012-10-15 23:17


菊地雅章、Phew+小林エリカ+ディーター・メビウス、サンガツ他出演「音」の自由な力を解放するSound Live Tokyo

10/19(金)渋谷アップリンクで関連イベントとしてドキュメンタリー映画『Baby Arabia』上映会開催
菊地雅章、Phew+小林エリカ+ディーター・メビウス、サンガツ他出演「音」の自由な力を解放するSound Live Tokyo
Baby Arabia

ジャンルや世代を越えて「音」の自由な力を解放するアーティストを集め、「サウンド」に関わる表現の可能性を探る音楽フェスティバル、サウンド・ライブ・トーキョーが10月26日(金)より3日間、東京文化会館小ホールで開催。関連イベントとして10月19日(金)には渋谷アップリンク・ファクトリーにて、出演するタイのバンドBaby Arabiaのドキュメンタリー映画上映会が行われ、当日は監督の一人Kong Rithdee氏の舞台挨拶も予定されている。
サウンド・ライブ・トーキョーにはその他にも、菊地雅章(きくちまさぶみ)、Phewと小林エリカによるユニットProject UNDARK + ディーター・メビウス、振付家/演出家の山下残、工藤冬里率いる不定形プロジェクトマヘル・シャラル・ハシュ・バズ、Baby Arabia、ポストロックバンドという形容を越えて意欲的に「曲」の概念を更新するサンガツ、ポストドラマ演劇の旗手とも言われるヴィジュアル・アーティスト/演出家ティム・エッチェルスと、多様なアーティストが参加する。

ジャズのあらゆるスタイルを通過し、「マイルス・デイヴィスの最も正統な後継者」などと評されながらも、自身に固有のスタイルを真摯に追求し続けている希有なジャズ・ピアニスト、菊地雅章。近年は自宅録音でソロ、あるいはトーマス・モーガン(ベース)やトッド・ニューフェルド(アコースティックギター)などの若手との演奏を継続的に行なっているが、今回はピアノソロで出演。

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菊地雅章 (c)Abby Kikuchi

若手ながらイラク戦争、アウシュヴィッツなどの重いテーマに取り組んでいる作家/漫画家の小林エリカと、2010年にアルバム『FIVE FINGER DISCOUNT~万引き』をリリースしたヴォーカリストPhewが出会い結成されたユニットProject UNDARK。音楽を担当するディーター・メビウスは、現在も大きな影響力を持つジャーマン・エレクトリック・ミュージックの創始者の一人であり、長年Phewとの共演を切望していた。それが実現したのが2012年5月に発売されたProject UNDARKのアルバム『Radium Girls 2011』。1910年代にアメリカの工場で時計の文字盤にラジウムを用いた夜光ペイントを施す作業に従事し、被爆した若い女性労働者たちは、「ラジウム・ガールズ」と呼ばれている。ディーター・メビウスの鋭い電子音響、Phewのスピーチ・アクト、さらに映像も交え、ラジウム・ガールズたちの記憶を呼び起こす渾身のパフォーマンス。ディーター・メビウスを交えてのライブは今回が初となる。元ミドリの後藤まりこがゲスト出演を果たす。

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Project UNDARK + ディーター・メビウス イラスト:小林エリカ

山下残は、「ダンス」や「演劇」の既成概念にとらわれることなく、身体表現と言語表現の可能性を追求し続けているアーティスト。京都を拠点とし、海外の実験的な舞台芸術フェスティバルへの参加も多い。今回上演される新作『ヘッドホンと耳の間の距離』では、現代音楽の分野で活躍する音響デザイナーの福田拓人を招き、観客席にスピーカーを配置し、そこから発される音と舞台上のパフォーマンスの「ずれ」を通して、「情報」として受け入れられる音と「ノイズ」として排除される音の境界を問う。

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山下残『せきをしてもひとり』(2010年)

ロック史、ジャズ史の批判的考察に優れ、ピアノとギターを中心に多様な楽器を弾きこなすマルチ・プレイヤーであり、「ナイーヴィスト」の作曲家として国際的に高く評価されている工藤冬里が確立した作曲法と演奏法により、マヘル・シャラル・ハシュ・バズは、ロックから暴力性と商品性を完全に排した大らかで美しい音楽を実現している。工藤冬里は、今回、ティム・エッチェルスによる展示/コンサート『ウォール・オブ・サウンド』の音楽監督も担当する。

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工藤冬里/マヘル・シャラル・ハシュ・バズ

1975年に結成されたタイ人のバンドBaby Arabiaは、アラビア語やマレー語の歌詞を耳でコピーし、アラブ=マレー音楽を仏教国タイではマイノリティであるイスラム・コミュニティで演奏。80年代にタイからメッカ巡礼に赴いたイスラム教徒たちが持ち帰ったレコードが、タイにおけるアラブ=マレー音楽の基礎を作った。パーカッションを中心とした伝統的なアラブ=マレー音楽の編成にエレクトリック・ギターやキーボードを導入し、現代的なテイストを加えたアレンジを行なっている。タイ・ポップのイスラム風アレンジも行なう。長いキャリアの間にメンバーの入れ替わりを繰り返しながらも、音楽的アイデンティティを保っている。自分が民族的にも文化的にも属さないコミュニティで職業的に音楽活動を35年以上継続している。

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Baby Arabia

商品としての「曲」から活動形態においても表現内容においても遠く離れ、「音」の形、動き、具体性を誠実に追求するバンド、サンガツも出演。2011年に新プロジェクト「Catch & Throw」を開始。ウェブ上で、「楽譜」とも「作曲」とも言えない演奏のガイドラインとしての「パターン」を公開し、「誰が演奏するのか」が問題にならないような形で「音が鳴らされる」仕組みを構築し、そのプロセスを「作品」として発表することを試みている。2012年1月に、以後発表する楽曲の著作権放棄を宣言したことも話題を呼んだ。

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サンガツ

「英国最高の実験劇団」とガーディアン紙に評され、大英図書館にアーカイヴが設置されているグループ「フォースド・エンタテインメント」を演出家として主宰し、小説家、ヴィジュアル・アーティストとしても国際的に活動しているティム・エッチェルスは、ソロ・プロジェクト『ウォール・オブ・サウンド』で参加。『ウォール・オブ・サウンド』は、オーストリアの美術館Kunsthaus Grazの企画展『Protections』への参加作品として2006年に開始された。エッチェルスが友人たちから集めたテクストを素材とした展示とコンサートで構成。テクストには、彼らの人生において自分を「守る(protect)」ために役立ったことのある歌や曲のタイトルと、その歌や曲にまつわる考察やエピソードが書かれている。

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ティム・エッチェルス『We Wanted』(2011)



Sound Live Tokyo
2012年10月26日(金)~28日(日)

会場:東京文化会館 小ホール(東京都台東区上野公園5-45)[地図を表示]
参加アーティスト(五十音順):菊地雅章、工藤冬里/マヘル・シャラル・ハシュ・バズ、サンガツ、ティム・エッチェルス、Project UNDARK + ディーター・メビウス(ゲスト出演・後藤まりこ)、Baby Arabia、山下残
料金(全席自由席):
10月26日(金)菊地雅章 各セット 前売2,000円/前売学割1,500円/当日2,300円
10月26日(金)菊地雅章 両セット 前売3,000円/前売学割2,500円/当日3,500円
10月27日(土)1日券 前売3,000円/前売学割2,500円/当日3,500円
10月28日(日)1日券 前売3,000円/前売学割2,500円/当日3,500円
3日通し券 前売7,000円/前売学割6,000円/当日なし
* ティム・エッチェルス『ウォール・オブ・サウンド』(展示、コンサート):入場無料
* 学割チケットは東京文化会館チケットサービスで販売(窓口、お電話、インターネット)

チケット取り扱い:東京文化会館チケットサービス、イープラス、国際舞台芸術交流センター
主催:東京都、東京文化発信プロジェクト室(公益財団法人東京都歴史文化財団)、国際舞台芸術交流センター
後援:ブリティッシュ・カウンシル、東京ドイツ文化センター

公式サイト:http://www.soundlivetokyo.com




ドキュメンタリー映画『Baby Arabia』上映会
2012年10月19日(金)
渋谷アップリンク・ファクトリー

19:45開場/20:00上映開始
Kong Rithdee(監督)の舞台挨拶あり
料金:一般1,500円(1ドリンク付き)
★Sound Live Tokyoのチケット(券種は不問)をご持参頂いた方は1,000円(1ドリンク付)
*国際舞台芸術交流センター(PARC)扱いのチケットを購入された方は受付でお名前をお伝えください
協力:国際舞台芸術交流センター(PARC)

『Baby Arabia』
監督:Panu Aree、Kong Rithdee、Kaweenipon Ketprasit
出演:Baby Arabia
2010年/タイ/74分/日本語・英語字幕付き

ご予約は下記より
http://www.uplink.co.jp/event/2012/3404

▼『Baby Arabia』予告編


▼菊地雅章「Out of Bounds」


▼Project UNDARK「Radium Girls 2011」



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