骰子の眼

cinema

東京都 渋谷区

2013-07-31 21:02


小林政広監督が仲代達矢を迎え無縁社会の闇を描く

高齢者所在不明問題と年金不正受給事件をモチーフにした『日本の悲劇』レビュアー募集
小林政広監督が仲代達矢を迎え無縁社会の闇を描く
映画『日本の悲劇』より (c) 2012 MONKEY TOWN PRODUCTIONS

大病を患い余命幾ばくもないことを知った父親は、病院から帰った翌日、自室を封鎖し食事も水も摂ることをやめる。そんな父親の狂気に混乱し、怒り、悲しみ、呆然とする息子。妻と子に去られた失業中の息子は、未だ生活を立て直せず、父親の年金を頼りに暮らしていた。そんな息子を残し、扉を固く閉じた父親の真意とは……。

イラクで起こった日本人人質事件を題材に製作され賛否両論を巻き起こした問題作『バッシング』、老人と孫娘の寄る辺なき旅と家族の絆の脆さを描き、現代の日本にのしかかる高齢化問題を浮かび上がらせた『春との旅』。
常に現代の日本を真正面から見据える大胆なテーマに挑んできた映画作家・小林政広が14作目の最新作『日本の悲劇』では、ある家族の崩壊をとおして日本が陥っている「無縁社会の深淵」を描いていく。
年間自殺者27,766人(2012年)、非正規雇用率50パーセント以上(正社員に対して)、最近では「無縁死」「就活自殺」という新たな死が報じられ、うつ病患者数100万人を越えているといわれる現代の日本。復興が進まない東日本大震災の処理、年金不正受給など、かつて誰もが体験したことがない未曽有の閉塞感と孤立感に覆われた日本の現実を正視した作品、それが『日本の悲劇』だ。
「悲劇」の象徴として本作のモチーフになったのが高齢者所在不明問題とそこから派生した「年金不正受給事件」だ。父親の年金が生活のよりどころだった長女が父親の死後も死を隠し続け、年金や給付金を不正に受け取っていたという東京荒川区で起こった事件が報じられたのは2010年7月。この事件を知り衝撃を受けた小林監督は、遺書を書くような気持ちで『日本の悲劇』第一稿を書き、東日本大震災の直後から、改稿を繰り返した。そして『春との旅』の仲代達矢の出演快諾を得て再タッグが組まれ、映画を完成させた。

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映画『日本の悲劇』より (c) 2012 MONKEY TOWN PRODUCTIONS

出演者は父親・不二男に仲代達矢、息子・義男に北村一輝、別れた妻・とも子に寺島しのぶ、不二男の妻・良子に大森暁美の四人。
最大の見どころは、父親の決断を阻止しようとする息子と父親の扉越しの攻防戦だ。まるで舞台のふたり芝居のように仲代と北村が愛憎をぶつける激しい演技の応酬を披露する。圧倒的な存在感で憂いをたたえた平凡な父親を演じる仲代と、どうしようもない感情を剥き出しに泣き叫ぶ北村の熱演は胸に突き刺さる。世代を代表する俳優の魂のせめぎ合いは、ただただ見事というほかない。

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映画『日本の悲劇』より (c) 2012 MONKEY TOWN PRODUCTIONS

小林監督の過去の作品の殆どがオリジナル脚本であったように本作もその例外というのみならず、自らプロデュースも担い「日本の現在」に問題提起を行っている。その波紋は世界に広がり、既に韓国釜山国際映画祭を皮切りにインド、スイス、スェーデン、ノルウェー、フランス、イタリア、アルゼンチン、そしてオランダのロッテルダム国際映画祭など世界各国で今も上映され続けている。(以上、プレスより引用)




映画『日本の悲劇』
8月31日(土)よりユーロスペース、新宿武蔵野館ほか全国順次公開

出演者:仲代達矢 北村一輝 大森暁美 寺島しのぶ
脚本、監督:小林政広
製作:小林直子
プロデューサー:小林政広
撮影:大木スミオ
照明:祷 宮信
録音:福田 伸
美術:山﨑 輝
編集:金子尚樹
製作:モンキータウンプロダクション
助成:文化芸術振興費補助金
配給:太秦
配給協力:一般社団法人コミュニティシネマセンター
2012年/日本/カラー・B&W/35㎜(DTS)/DCP(5.1ch)/101分

公式サイト:http://www.u-picc.com/nippon-no-higeki




試写会に5名様をご招待

公開に先立ち、本作品の試写会を観て400~600字程度のレビューを書いて頂ける方、5名様をご招待します。応募方法は下記から。ご応募の際、webDICEのアカウントをお持ちでない方は新規登録が必要です。(※当選された場合に必ず試写会に参加でき、レビューを書いてくださる方の応募をお待ちしています)

映画『日本の悲劇』トークイベント付き試写会
日時:2013年8月19日(月)15:00 受付開始/15:30 開映(上映時間101分)/18:00 終了予定

場所:映画美学校試写室(東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS地下1階) [地図を表示]
※上映後休憩をはさみ40分程度、小林政広監督と湯浅誠氏のトークイベントを予定しております。
〈湯浅誠プロフィール〉
社会活動家。1990年代より野宿者(ホームレス)支援に携わる。2008~09年年末年始の「年越し派遣村」では村長を務める。2009年から2012年まで通算2年間、内閣府参与を勤める。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程単位取得退学。1969年生。
著書に『反貧困』(岩波新書、2008年、第14回平和・協同ジャーナリスト基金賞大賞、第8回大仏次郎論壇賞)、『どんとこい!貧困』(イーストプレス「よりみちパン!セ」シリーズ、2009年6月刊)、『ヒーローを待っていても世界は変わらない』(朝日新聞出版、2012年)など。


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■応募締切:2013年8月12日(月)23:00

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▼映画『日本の悲劇』予告編


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