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2014-07-07 14:28


鎌仲ひとみ監督が福島とベラルーシのお母さんたちを描く『小さき声のカノン-選択する人々』クラウドファンド実施中

原発事故を体験した人びとの間に流れる「共感」にこそ未来へのヒントがあるのではないか
鎌仲ひとみ監督が福島とベラルーシのお母さんたちを描く『小さき声のカノン-選択する人々』クラウドファンド実施中

クラウドファンディングサイトMotionGalleryとwebDICEとの連動連載第5弾は鎌仲ひとみ監督が現在制作中の最新ドキュメンタリー映画『小さき声のカノン-選択する人々』の撮影を実現するためのプロジェクトを、鎌仲ひとみ監督からののメッセージとともに紹介する。

『小さき声のカノン-選択する人々』は、一貫して「核・被ばく」を描いてきた鎌仲ひとみ監督が、全国600ヵ所での上映が行われた『ミツバチの羽音と地球の回転』を経て、福島原発事故後の日本とチェルノブイリ原発事故後のベラルーシを生きる「お母さん」たちを主人公に描いたドキュメンタリーだ。

今回のプロジェクトでは5,000,000円を目標に、2014月9月28日23:59まで、製作費と全国での上映実現のためのクラウドファンディングを行なう。応援チケットの価格により特典を進呈、特別鑑賞券や鎌仲監督作品のDVDをはじめ、30,000円以上の協力でエンドロールに名前が入るほか、500,000円で今作の自主上映権1回分、1,000,000円で鎌仲監督のティーチイン付き自主上映権1回分を利用することできるようになっており、こうしたドキュメンタリー作品を草の根で上映を企画している方にとっては嬉しい特典となっている。詳細はMotionGalleryのプロジェクト・ページまで。




鎌仲ひとみ監督からのメッセージ
「ただ現実を描くのではない、現実の中にあるかすかな光を見つけるような映画にしたい」

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かつて日本中にすごい勢いで原発が建てられていた時、原子力安全神話が社会を席巻していました。「絶対事故は起きない」という声を人々は信じていました。

福島で原発が爆発事故を起こした直後、人々はだまされたことに気づきました。しかし、こんどは放射能汚染が起きたけれども、「被ばくは大した事がない」という声が大きくなってきました。

歴史が繰り返されようとしています。そんな大きな声にあらがうように、小さな声が聞こえてきます。それは子どもたちを守ろうとするお母さんたちの心の声です。現場で放射能に向き合うお母さんたちの小さな声には、今を生きる私たちへの本質的な問いかけが込められています。

映画は、その小さな声を拾いながら、福島だけではなく東北、首都圏、そして全国に避難した母親たちを訪ねていきます。

また、28年前にチェルノブイリ原発の被害を受けたベラルーシやウクライナのお母さんたちの体験からも学んでいきます。

取り返しのつかない放射能汚染から、いかに子どもたちを守るのか。この問いかけは、今という時代を生きる私たち、全ての大人に投げかけられています。

被ばくについて解っていることも、解っていないことも含めて情報が混在する中で、私たちは自分自身の選択を迫られ、その選択は現在進行形で現実に反映されています。私はそこに善し悪しを言う立場にはありません。そのままを聞き、映し出すことを大事にしています。

だからこそ、現実が歪められ、本当の事が風化の波にさらわれて行く前に知らなければならない、やらなければならない大事な事があると感じています。悪しを言う立場にはありません。そのままを聞き、映し出すことを大事にしています。

編集作業に入って、およそ半年が経ちました。先が見えない現実を現在進行形で撮影しているので当然、編集している中身にもそれが反映されています。
予断を持たず、ただ、地道に生きる人たち、子どもを抱えた母親たちの声を聞き続けるという作業をしています。

この映画は、不安を孕んだ未来に向かってどう生きるか、を模索し続ける生身の人間を追っています。
原発がもたらしたのは単に放射能汚染だけではありません。
社会全体に大きな打撃を与えています。特に人の心に。

本当に多くの人々の心が、怒り、悲しみ、不信、絶望に満たされた時、社会はどうなるのか。そこからどうやって、希望を見いだしていけばいいのか。

ベラルーシという国は原発事故の後に国家が崩壊するという試練がありました。
そこで、生き抜いてきた人びとの姿もまた、この映画には描かれています。
日本とベラルーシ。この二つの国で、原発事故という人災を体験した人びとの間に流れるのは、「共感」です。同じ世界を共有し、同じ苦しみを解り合うことができる。
そこに何か、ヒントがあるのではないか、と感じています。

ただ現実を描くのではない、現実の中にあるかすかな光を見つけるような映画にしたいと仕上げに取り組んでいます。


『小さき声のカノン-選択する人々』とは

いま、私たちは“グラデーションの世界”に生きています。

グラデーションの世界とは、濃淡さまざまな考え方や価値観が無数に存在し、これが正解だというはっきりとした出口が見つかりにくい世界のことです。 震災から3年がたちました。被ばくや放射能をめぐる状況は、ますます錯綜しています。それほど気にせず暮らしている人もいれば、何となくもやもやした思いを抱えている人もいます。そんな中、耳を澄ますと、どこからか“小さな声”が聞こえてきます。「もう大丈夫」「安全だ」といった空気のなかで、今にもかき消されそうな小さな声――それは、子どもを守るため、いやおうなく選択を迫られ、葛藤する「お母さん」たちの声です。

本当のことを知りたい。子どもを守りたい。そんなお母さんたちの切実な思いがかき消されてしまうその前に、たくさんの声を集めた映画をつくりたい。映画が、子どもを守ろうと奮闘するお母さんたち一人一人の選択につながってほしい。鎌仲監督がそのような願いをこめた作品が、ドキュメンタリー映画『小さき声のカノン―選択する人々』です。

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福島県伊達市での撮影の様子
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佐々木るりさんと子どもたち 九州で保養中の様子 ©亀山ののこ

さらにもう一つの見のがせない重要なポイントは、1986年のチェルノブイリ原発事故を経験したベラルーシの人々が登場することです。ベラルーシのお母さんたちが、長期間にわたって低線量の汚染地域で暮らす上での具体的な対策や、起こりうる現実を、日本のお母さんたちに伝えようとしています。チェルノブイリの母から日本の母へ、子どもたちを守るための闘いがつながっていきます。

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ウクライナ キエフでの撮影風景 ©森住卓
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ベラルーシ スモルニコワさんの家での撮影の様子

本作のタイトルには、大切な存在を守ろうと模索するお母さんたちだけでなく、映画を受け取る私たちもまた、「選択する人々」であるとの思いがこめられています。「小さき声のカノン―選択する人々」とは、原発事故後の世界を生きる子どもたち、お母さんたち、そして私たちのための映画なのです。

しかし、『小さき声のカノン―選択する人々』の製作は難航しています。その大きな理由は、資金不足です。とくにチェルノブイリへの取材や翻訳に、膨大な費用がかかります。スポンサーを持たない映画づくりには、資金調達の壁が立ちはだかっています。一方で、大手のスポンサーを持たないからこそ、みなさんに伝えられる現実があるはずです。

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福島県二本松市真行寺 青空市場での撮影現場より
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福島県二本松市同朋幼稚園の園児が作った折り紙

“核をめぐる三部作”として国内外で高い評価を受けた『ヒバクシャ ―世界の終わりに』『六ヶ所村ラプソディー』『ミツバチの羽音と地球の回転』の3つのドキュメンタリー映画、そして震災後緊急リリースされたDVD作品「内部被ばくを生き抜く」で、鎌仲監督は、さまざまな立場におかれた人々が勇気をもって声をあげ、自分たちの暮らしや命を守ろうと闘う姿を、いきいきとカメラにおさめました。画面から伝わる彼らの“静かな強さ”は多くの観客の心を捉えました。その影響は映画の枠を超え、作品を観た一人一人が社会を変えようというアクションへとつながっていきました。

鎌仲監督自身もまた、映画と一緒に日本全国を飛び回って多くの人々との交流を重ねてきました。情報を得ることと行動することの大切さ、そして私たち誰もが選択する力を持っていることを、鎌仲監督、そして私たち「小さき声のカノン」スタッフは信じています。

世界中の放射能汚染を受けた地域に生きる人々の現場を、20年近く取材し続けてきた鎌仲監督にしか、作れない映画があります。あなたのアクションが、多くの人々の思いや取り組みにつながっていきます。

どうか鎌仲監督の、そして子どもたちを守りたいと願うすべての人々に力を貸してください!

(以上、公式資料より)


サポートにあたってのコレクター特典など、詳細はプロジェクト・ページをご確認ください。




鎌仲ひとみ プロフィール

映像作家。早稲田大学卒業と同時にドキュメンタリー映画制作の現場へ。90年最初の作品「スエチャおじさん」を監督、同年文化庁の助成を受けてカナダ国立映画制作所へ。93年からNYのペーパータイガーに参加して メディア・アクティビスト活動。95年帰国以来、フリーの映像作家としてテレビ、映画の監督をつとめる。主にNHKで「エンデの遺言―根源からお金を問う」など番組を多数監督。2003年ドキュメンタリー映画『ヒバクシャ―世界の終わりに』を監督。国内外で受賞、全国400ヶ所で上映。2006年『六ヶ所村ラプソディー』は国内外800ヶ所で上映。2010年『ミツバチの羽音と地球の回転』も全国600ヶ所での上映に加え、フランス・ドイツ・オーストラリア・インド・アメリカ・台湾など海外でも上映が進んでいる。2011年度全国映連賞・監督賞受賞。2012年DVD『内部被ばくを生き抜く』発売開始。国内外900ヶ所で上映。2014年現在、新作『小さき声のカノン-選択する人々』制作中。多摩美術大学非常勤講師。京都造形芸術大学客員教授。
公式サイト:http://kamanaka.com/




映画『小さき声のカノン-選択する人々』

公式サイト:http://kamanaka.com/works/works-next/
公式Facebook:https://www.facebook.com/littlevoicecanon
公式Twitter:https://twitter.com/little_canon

▼鎌仲ひとみ監督からの動画メッセージ

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