骰子の眼

cinema

2014-09-09 18:58


無名アメコミキャラがスーパーヒーローに化けた理由『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』

「ファンがいなかったからこそ自由に創れた」と語るジェームズ・ガン監督インタビュー
無名アメコミキャラがスーパーヒーローに化けた理由『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
(C)Marvel 2014 All rights reserved.

全米で大ヒット中のマーベル映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』がついに2014年9月13(土)に日本公開となる。

子供の頃に地球から異星人に誘拐された、宇宙一運が悪いトレジャー・ハンター、ピーター・クイル。大人になった彼は、モットー「相手かまわず盗め」の、いわゆる立派なクズに。天才的な悪知恵と楽観主義で、のらりくらりと宇宙を生きてきた彼だったが、ある日、巨万の富を夢見て、無限の力を持つパワーストーン<オーブ>を盗み出す。しかし、オーブを狙う"闇の存在"から命を狙われ、セクシー緑の暗殺姉ちゃん、復讐に生きる刺青だらけのおじさん、二足歩行で喋る凶暴なアライグマ、木の人…という、仲間たちと"宇宙最凶チーム"を結成することに。銀河存亡を懸けた無謀すぎる戦いと、ありえない冒険に挑む。

監督に抜擢されたのは『ドーン・オブ・ザ・デッド』の脚本、『スーパー!』の監督・脚本で知られるジェームズ・ガン。マーベルコミックといえば、「スパイダーマン」「アベンジャーズ」あたりが有名だが、あまり聞いたことない「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」、監督はそんな原作だったからこそ創作の自由があったとインタビューで答えており、ユーモアのある彼のアイディアが効いた作品に仕上がっている。

物語のキーになる主人公ピーター・クイルが命よりも大切にしている母親の形見であるウォークマンとミックステープ。1970年代のヒット曲を詰め込んだ"Awesome Mix Vol.1"には、デヴィッド・ボウイ、ジャクソン5などが!宇宙で星を滅ぼさんとする敵との戦いに添えられるこれらの陽気なサウンドこそ、この映画の見所だろう。そして、マーベル映画おなじみのエンドクレジット後のオマケこれがもう最高なので是非席を立たずに観て頂きたい。

webDICEでは、ジェームズ・ガン監督のインタビューを掲載する。




ジェームズ・ガン監督インタビュー
「この映画は自分が悪いヤツだと思っていた負け犬たちが、自分たちが良いヤツだということに気がつく姿を描いています」

──登場人物はどれも、これまでマーベル・シネマティック・ユニバースにまだ登場したことのないキャラクターたちばかりですが、あなたには、何か特殊なものを観る人々に紹介する役目を受けたという意識がありましたか?

スパイダーマンかスーパーマンかバットマンでない限り、それ以外のスーパーヒーロー映画を作る場合には、どうしてもどこか違ったものになるものです。映画『アイアンマン』が最初に公開された時点で、毎月アイアンマンのコミックブックを読んでいた人々は、せいぜい2万人でした。あの映画の観客数が2万人だけだったとしたら、あの映画はまるでお金にならなかったことになります。つまり、たとえ映画以前には広く知られていないものだとしても、より広い層の観客にアピールできるものを作れるかどうかが大切なのです。それは『アイアンマン』だけに言えることではなく、ほとんどのマーベルの映画に当てはまることです。

──あまり知られてはいないキャラクターを描くことで、作り手としてより創作の自由が得られたと思いますか?

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を作る上で自由が得られた理由は、シンプルに、「ガーディアンズ」には、たとえば「アベンジャーズ」ほどの熱烈なファンが多くいなかったからです。そういう意味では、アベンジャーズが映画化される際に創り直されたのよりも、今回の映画の方がガーディアンズをもっと大きく創り直すことができたと思いますね。また、それだけでなく、アベンジャーズの場合はすでに500以上のコミックスが出ており、誰でもそれを読み返すことができるのに対し、ガーディアンズにはそれほど多くのコミックブックが出ていません。アベンジャーズの場合は、実際には長年の間にコミックス自体も色々と変化しているにもかかわらず、人それぞれの思い入れがあり、これを映画にすべきだと思っているシリーズがあったり、ホークアイのトーンはコミックスではこうあるべきだ、映画ではこうあるべきだという思いを抱いていたりします。そういう意味で、今回のキャラクターたちを映画で描くさいには、私にはずっと多くの創作の自由があったと言えますね。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
ジェームズ・ガン監督

──今のところ、この作品の全体の出来には満足していますか?

とても満足しています。私は本当に恵まれています。どんな映画を作っていても、頭の中で描いていたほど良いものが得られないこともあれば、頭の中で描いていたものとは違う結果になることもあれば、頭の中で描いていた以上に良い出来になることもあります。正直言って、私のこれまでのキャリアの中で、脚本を書いているときに考えていた以上の出来になるのは、きわめて稀なことですが、今回の映画ではそれが何度も起きていますよ。その多くは撮影監督のベン・デイヴィスとプロダクション・デザイナーのチャーリー・ウッドのおかげです。私はかなり壮大なものをイメージしていたつもりですが、彼らの貢献でそのイメージよりもずっと壮大なものを作ることができました。そういった部分がとても上手く行っており、私たちが作り上げたものにとても満足しています。

また登場するキャラクターの中にも、私が考えていたよりもずっと素晴らしいものになったものがいます。たとえばベニチオ・デル・トロはあの役柄に実に多くのものを注ぎ込んでいますし、また、脚本上はほとんど端役でしかない、あの顔に傷のある受刑者も、スクリーン上では素晴らしいキャラクターになっています。また、ドラックスを演じたデイヴ・バウティスタのような例もあります。デイヴ以外にあの役を演じられる人はいないでしょう。彼は私がイメージしていたドラックスそのものです。彼には、あのキャラクターの感情的側面も、ユーモアの側面も、身体的側面も、シェイクスピア演劇から出てきた変人のような喋り方も、すべて表現できます。デイヴはそのすべてを確実にこなすことができ、しかもそれを自然にやってのけるだけでなく、大きくて屈強な身体を持ち合わせているのです。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
左からガモーラ(ゾーイ・サルダナ)、スター・ロード/ ピーター・ジェイソン・クイル(クリス・プラット)、ロケット(声:ブラッドリー・クーパー)、ドラックス(デイヴ・バウティスタ)、グルート(声:ヴィン・ディーゼル)

──あのセットを初めて見た時のあなたのリアクションは?

出だしの段階から、私が突き動かされていたことの一つは、ザラついた厳しい世界を舞台にしながらも、そこにカラフルさを多く残して描けるということでした。長年の間に、数多くのSF映画が作られてきましたが、80年代に『ブレードランナー』が登場したことで、すべてが変わり、SF映画がとてもダークに描かれるようになったのではないかと思います。当時それは確かに素晴らしい出来事でしたが、私は50年代や60年代のSF映画に見られる、とても鮮やかな色合いがなくなったことを寂しく思っていました。

そういった他とは違う過去からの様相を混ぜ込んで私たち独自の様相を作り上げるということを、最初から重視していました。ですから、その発想に命が宿ったのを目の当たりにしたときは、とても気持ちの良いものでした。チャーリー・ウッドと私は、最初に話し合ったときから、お互いの考え方をしっかりと理解し合い、また、この映画がどんな作品になり得るのかを分かり合っていました。彼と力を合わせてそれを成し遂げることができたと思っています。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
戦闘機のカラーリングもカラフル

──登場する様々な惑星に関連性を持たせるには、どういう難しさがありましたか?

この映画のデリケートなバランス感覚は、様々な惑星同士を関連付けることから生まれるものではありません。ある場所から次の場所へと流れるように移行しているからです。それはこの映画の楽しさの一つでもあり、それぞれの場所がまったく違うため、ある主要な場所から次の場所へと移行する感覚は、特に私のようにビデオゲームでたくさん遊んでいる人々にとっては、とても馴染み深いものです。むしろ、この映画のデリケートなバランス感覚は、(シリアスな)ドラマ性とコメディとアクションの間にあるもので、これらの要素の適確なバランスを見出すことが重要でした。私はこの映画全体をアクション・アドベンチャー映画として捉えています。それがこの映画です。しかしその中に、ものすごい量のコメディと、ものすごい量のドラマ性を盛り込んでいます。コメディが盛り込まれていることを予測していた人々は多いと思いますが、この映画にシリアスなドラマ的側面があるということに気づいている人は少ないのではないでしょうか。そこが大きなサプライズになるはずです。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
息継ぐ間もなく炸裂する宇宙船バトルも見どころ

──この映画では、宇宙的規模で描きながらも、そこにリアリティを保持することが目標だったのですか?

それは私が最初から重視していたことでした。言葉を喋るアライグマが登場する映画を成立させること。もしも言葉を喋るアライグマが本当に存在するとしたら、どのような形で存在するだろうか?言葉を喋るアライグマを存在させるためには、どのような仕事をする必要があるだろうか?私たちはそのようにしてロケットに取り組み始めました。ロケットはどう間違っても世界一ハッピーなヤツとは呼べない存在です。彼は、一度解体されてから組み立て直された悲しき小さく不格好な生物です。その人生で数多くの苦痛を経験しているからこそ、彼にはある種の現実感があり、また、彼が様々な意味でこの映画のハートでもあるのです。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
ハイテクを操る戦術の天才。宇宙最凶のアライグマ、ロケット(声:ブラッドリー・クーパー)

──ご自身の作品にA級の俳優たちが出演することに関してどう思われますか?

信じられないくらいエキサイティングでした。どの俳優からもそれぞれ違う形でものすごくワクワクさせられました。クリス・プラットにワクワクしたのは、あのキャラクターにピッタリな男を見つけることはできないだろうと思っていたからです。多くの候補者をスクリーン・テストした上でクリスを見ると、まさに「バーン!」という感じで、彼のオーディションが1分も経過しないうちに、ついに見つけたぞと思っていました。ヨンドゥを演じたマイケル・ルーカーにワクワクしたのは、彼が私の良き友人だからです。彼は私のすべての作品に出演しています。私は彼が演じることを意識してあの役柄を書きましたが、その時点では彼が実際にあの役を勝ち取れるかどうかは分かりませんでした。でも見事に勝ち取ってみせ、そんな彼とまた一緒に仕事ができることにワクワクしたのです。ベニチオ・デル・トロは、本当に私が世界の中でも一番好きな俳優の一人ですから、そんな彼がコレクターを演じてくれることにワクワクさせられました。これはグレン・クローズとジョン・C・ライリーにも言えることです。二人とも私が長年尊敬し続けてきた役者であり、会ったことは一度もありませんでしたが、この二人がこの映画に出ることになったのは、実は私が彼らのファンだからなのです。彼らがこの映画の出演依頼を受けてくれたというだけで、私は幸せ者です。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
ピーター・クイルは、謎のオーブを見つけたことから<闇の存在>との宇宙存亡を懸けた戦いに巻き込まれていく

──ゾーイ・サルダナは彼女の演じたガモーラに何を注ぎ込みましたか?

ゾーイはガモーラという役柄に多くを持ち込んでいます。彼女は、実に様々な形で、他の出演者たちよりもずっと多くの影響を自身の演じる役柄にあたえていました。とても早い段階からガモーラ役に決まっていたので、私と一緒に数本の脚本草稿を通して、強い女性でありながも脆弱性のあるあのキャラクター作りに貢献してくれました。概して映画における女性キャラクターというものは、特にその脚本を男性が書いた場合などには、女性であるという以外にほとんど人間味のないキャラクターになりがちです。今日のコメディ作品を見てみると、興味深い男性キャラクターがたくさんいて、その上で、恋の相手として女性が描かれ、その人物そのものの性格や人間性は無視されています。または、あまりにも完璧すぎるほど強い女性で、その主な特徴は強さだけという、やはり人間的なキャラクターとは言い難いものなのに、それをあたかも偶像的に崇めた描き方をしている。それもまた別の意味でとても失礼なことだと私は思うのです。

ガモーラについては、彼女の人間性として強い女性キャラクターにしながらも、とても弱いところを併せ持っている者という発想で作っています。ゾーイはあの役柄に恐れ知らずな性格を注ぎ込みました。というのも彼女自身がいつでも人々から好かれていたいなどと思っていないからです。ハリウッドの役者の多くは、自分自身や自分の演じる役柄が人から好かれたいと思っているものです。ガモーラは高潔であり脆弱性も持ち合わせていますが、同時に、この映画の中であまりクールではない側面を多く見せていますよ。あの役柄に多くの質感をあたえるという私の作業に、ゾーイは初めて話し合った時からずっと貢献してくれました。

──クリス・プラットが身体作りに専心し、カレン・ギランは頭髪を剃っているなど、出演者たちは自身の演じる役柄に身を賭けて臨んでいますが、そのことについてコメントをください。

カレン・ギランが頭髪を剃ったというのは、まさにすごいことでした。私たちはネビュラ役の候補者として数多くの女優と話していますが、頭を剃らなければいけないという理由でこの役をパスする女優はたくさんいました。そんな折、ロンドンでカレンをオーディションしたのです。私は「ドクター・フー」を見ていただけに、彼女をオーディションしたいとは思っていましたが、実は、おそらく彼女はこの役には適さないだろうと思っていました。「ドクター・フー」の彼女は実に女の子っぽい女性でしたからね。オーディションで彼女を見ると、即座に本物の女優であると理解できたのです。オーディションでは、少なくとも私が思うに、この映画のオーディションを受けた誰よりも最高のスクリーン・テストをしましたよ。私は彼女に夢中になりました。今でも夢中ですよ。人間としても大好きですが、スクリーン上ではまるでクリント・イーストウッドのようで、カメラに映っていないときはハロー・キティのようだと私は思っています。彼女ほど自分の演じるあのキャラクターと本人がかけ離れている役者はいませんからね。

──この映画では音楽はどのような役割を果たしていますか?

この映画の主要なストーリー・ポイントの一つとして、ピーターの母が死ぬ前に彼のために作ったコンピレーション・テープがあります。それには彼女が大好きな曲ばかりが入っており、どれも1970年代のもので、これは彼の持っている唯一の母の形見であり、故郷である地球の物もこれ一つしかありません。彼はあのテープを、もはや自分とはすっかり関係のなくなった過去や悲しみと重ね合わせています。それと同時に、あのテープは観客にとっても、地球とはかけ離れた異質な世界と、とても人間らしくモダンで現代的なものを結びつけるものとして機能しています。またこの映画が私たちの時間軸とほとんど同じ時間軸で展開されていることから、他のスペース・アドベンチャー映画と一線を画す役目も果たしています。あの音楽は観客を馴染みのある良く知るところに連れ戻してくれるという意味で、とても重要な役割を果たしていますね。

映画音楽もまたとても重要で、これまでに三本の映画を私と一緒に作った経験を持つ作曲家テイラー・ベイツと、早い段階から精力的に取り組み、前もって映画音楽の一部を仕上げることで、感情が高ぶるシーンや大々的なアクション・シーンを撮る時に使えるようにしました。実際に撮影現場で音楽を流せば、演者もそのシーンのトーンを明確に理解することができます。今回の出演者たちがこの映画をしっかりと把握できていたのは、映画音楽とサウンドトラックの両面で音楽を使っていたからなのです。全員が同じ感覚を共有できるというのはすごいことですし、音楽によって撮影自体もずっと楽しくなります。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
ピーター・クイルがハイテク武器と一緒に肌身離さず持っているのは、亡き母の形見の70年代ヒット曲入りミックステープ

──この映画におけるアクションについてお話し下さい。出演者はどの程度まで自分でアクションをこなしていますか?

特にクリス・プラットはとても独特な動き方をしていますが、彼は大半のスタント・スタッフ以上にクイルらしい動きをしていましたね。あのマスクをつけたクイルが描かれている時間帯はとても長いのですが、それでもクリス自身にマスクをつけて撮ったほうがずっとよい映像に仕上がっています。また、デイヴ・バウティスタの身体能力は当然のことですね。元プロレスラーの彼には実に多くのスタントを自身でこなすことができ、実際にそうした方がずっと良い結果を得られます。デイヴは屈強でタフな男ですし、また実に彼らしい独特のファイティング・スタイルを持っています。ゾーイはバレリーナなので、その動きにはある種の優美さがあります。ゾーイ役のスタント・スタッフは有能な女性ですが、その彼女にはできず、ゾーイにしかできないことも幾つかありました。つまりは、出演者とスタントを適材適所で使い分けることが大切でした。スタントシーンを本人がやっているということを、ことさら強調しようとする人をよく見かけます。私たちには素晴らしい仕事をしてくれる優れたスタント・チームがいるので、私はそういうことを強調したくはありませんが、それでも時には、出演者自身の独特な動きにフォーカスを当てるべき場合もあるのです。

──実写とデジタル映像をどのようにして掛け合わせていますか?

映画製作だからこそ可能な素晴らしいことの一つが、実写映像とコンピュータの効果映像を掛け合わせることです。なぜなら、二つを掛け合わせることで、見ている人はそれがどちらなのか分からなくなるからです。純粋なコンピュータ映像は、コンピュータ映像にしか見えませんし、純粋な実写映像は得てして安っぽく見えてしまうものです。しかしその2つを掛け合わせることで、観客を「だます」ことのできる様々な要素を利用しながら、特定の方法で提示することが可能になります。特殊メイクでも同じことをやっていますよ。特に、この映画に登場する悪側の兵士たちサッカランは、まずプロスセティックの特殊メイクをほどこした上で、顔はグリーンにして後から視覚効果処理をしました。このように上手に2種類の技術を混ぜることができれば、観る人は一体どうやって出来上がった映像なのか見当がつかなくなります。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
惑星間を渡り歩く命知らずのトレジャーハンター、ピーター・クイル

──ロケットとグルートの声の出演者のキャスティングはどのように進められましたか?またブラッドリー・クーパーとヴィン・ディーゼルを選んだ理由についても教えてください。

ロケットの声の役にはかなりの候補者をオーディションしています。多くの声優をオーディションしましたが、誰もがマンガ的過ぎるか、もしくはロケットの物語のドラマ性を引き出すことができませんでした。また、有名無名を問わず、多くの俳優をオーディションしましたが、彼らにはコメディ的側面を演じ切ることができませんでした。しかしブラッドリーなら、コメディ的要素もシリアスなドラマ的側面も引き出せ、このキャラクターをリアルでユニークなものとして作り上げることができます。彼がこの役柄に興味を持ってくれた段階で、私は彼で決まりだと強く思っていました。そしてロケットを演じた彼の声を初めて聴いた瞬間に、彼で決まりだと確信したのです。

私が考えるに、ヴィンは他の出演者と同様に、自分の演じる役柄やこの映画全体に実に多くのものを吹き込んでいます。ほんの一握りのセリフと何百回もの唸り声だけで、この異世界の存在でしかないキャラクターを、人々から愛される者に作り上げています。これほどまでに無愛想と可愛らしさのバランスをとれる俳優はヴィン以外に考えられません。それがグルートというキャラクターの核そのものなのです。時おり私はスクリーンに映っているグルートを見ながら、この声が人間から発せられたなんて信じられない気分になります。ヴィンのレコーディングに私はずっと立ち会っていたというのにですよ。彼はまるで超能力ではないかと思われるほどのやり方で、このキャラクターにピッタリと周波数を合わせています。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
驚異のパワーを秘める、心優しい樹木型ヒューマノイド、グルード

──この映画を作った経験を総括して、いかがでしたか?

私にとって、これは実にスムーズなジェットコースターでした。本当に驚いてばかりでしたね。マーベルは、ほとんど私のやりたいようにやらせてくれましたが、その事実に私はワクワクし続けていました。このプロセス全体に心からハイになっていましたよ。クルーにしても、演者にしても、シーンを陰から支えてくれたすべての人々に関しても、これ以上素晴らしいグループに囲まれて仕事をできることは正直考えられません。そういう人々の基盤の上に、私たちはこの映画を築いているのです。私が現場に到着する前の朝7時から仕事をしていた人々、私が帰った後の夜中まで現場で仕事をしていた人々、この映画を作るため力を貸してくれた人々です。そういう人々が周囲にいてくれたことを、私は心の底から感謝しているし、恵まれていたと実感しています。

──この映画を観た人々には何を感じて帰って欲しいですか?

私が子供の頃、映画から受けた色々な影響と同じようなものを、人々がこの映画から受けてくれることを期待しています。子供だけでなく、大人も含めたすべての人々にね。映画館に行って、そのちょっとしたマジック、ちょっとした希望を体感してもらいたいですね。この映画は、自分が悪いヤツだと思っていた負け犬たちが、経験を通して、自分たちが良いヤツだということに気がつく姿を描いています。この映画を観た人々が、この映画を通して、自分も彼らと同じで、ちょっとした善良さを持っているのだと気づいてくれたとしたら、それが私の望む最大の結果と言えるでしょう。




ジェームズ・ガン James Gunn

コロンビア大学で創作執筆の修士号をとった後、トロマ・エンターテインメントでキャリアをスタートさせる。その後LAに移り、『スクービー・ドゥー』(02)、『ドーン・オブ・ザ・デッド』(04)、『スクービー・ドゥー2 モンスター・パニック』(04)の脚本を手掛け、『スリザー』(06:脚本も)で監督デビュー。ブラックコメディ『スーパー!』(10)、『ムービー43』(13:オムニバスの一篇)の監督・脚本も務める。




『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
2014年9月13日(土) 2D・3Dロードショー

原題:The Guardians of the Galaxy
監督:ジェームズ・ガン
製作:ケヴィン・ファイギ
出演:クリス・プラット、ブラッドリー・クーパー、ヴィン・ディーゼル、ゾーイ・サルダナ、デイヴ・バウティスタ、ベニチオ・デル・トロ
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
(C)Marvel 2014 All rights reserved.
公式サイト





Guardians of the Galaxy: Awesome Mix Vol. 1

01. Hooked on a Feeling / ブルー・スウェード
02. Go All the Way / ラズベリーズ
03. Spirit in the Sky / ノーマン・グリーンバウム
04. Moonage Daydream / デヴィッド・ボウイ
05. Fooled Around And Fell In Love / エルヴィン・ビショップ
06. I'm Not in Love / 10cc
07. I Want You Back / ジャクソン5
08. Come and Get Your Love / レッドボーン
09. Cherry Bomb / ザ・ランナウェイズ
10. Escape (The Piña Colada Song) / ルパート・ホームズ
11. O-O-H Child / ザ・ファイヴ・ステアステップス
12. Ain't No Mountain High Enough / マーヴィン・ゲイ&タミ―・テレル
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