骰子の眼

cinema

2014-11-28 18:40


サンリオ、奇跡のコマ撮り人形アニメ『くるみ割り人形』増田セバスチャンが3D化

ハローキティ40周年!極彩色ミュージカル・ファンタジー
サンリオ、奇跡のコマ撮り人形アニメ『くるみ割り人形』増田セバスチャンが3D化
©1979,2014 SANRIO CO.,LTD.TOKYO,JAPAN

1979年に公開されたサンリオ製作の人形アニメーション映画『くるみ割り人形』のリ・クリエイト版が2014年11月29日(土)に公開される。

35年前に製作された『くるみ割り人形』はアナログ最高峰「一日に3秒しか撮れなかった奇跡の人形アニメーション」といわれた作品だ。当時のネガフィルムを使用し、ワンカットごとのデジタルスキャニング、そしてまったく違う編集をファーストシーンから行い、さらに極彩色に全篇再製作、カラフルな映像鮮度をワンカットワンカット施し、CGを全編に加え、さらに3D化を全編行った。ハローキティ40周年の今年、全く新しい『くるみ割り人形』が新作映画として公開される。

リ・クリエイトを手掛けるのは、原宿Kawaiiカルチャーの火付け役、きゃりーぱみゅぱみゅのプロデュースでもしられる増田セバスチャン。本作が初監督作品となる。webDICEではインタビューを掲載する。




「僕がやるべきことは、先輩たちが築き上げてきた日本のカルチャーをどこまで遠くに飛ばせるか」
増田セバスチャン監督インタビュー

『くるみ割り人形』増田セバスチャン監督
増田セバスチャン監督

──『くるみ割り人形』初監督の経緯を教えてください。

実は小学校の頃に『くるみ割り人形』を観ているんです。出身地の千葉県松戸にはサンリオの映画館、サンリオ劇場があったのですが、そこで初めて観た映画が35年前の『くるみ割り人形』でした。すごく鮮烈で面白かったです。

今あらためて、この作品を観ると35年前にこういった映画が作られていて、その歴史を踏まえて自分は現代のKawaiiを作ってるんだというのを改めて認識しました。僕がやるべきことは、先輩たちが築き上げてきた日本のカルチャーをどこまで遠くに飛ばせるか。そして、今の子たちに向かって新鮮なもの、鮮烈なものとしてこの映画を伝えることです。この話をいただいたときはプレッシャーで押しつぶされそうで、この映画が終わる前に倒れちゃうんじゃないかと思いました。

『くるみ割り人形』

──どういうことに一番プレッシャーを感じましたか?

やはりモノがモノですので、それを現代にもってきて「ただのリメイクだよね」とか「ただの昔のやつを声優さん変えただけだよね」「音楽変えただけだよね」というのでは僕がやる意味がないので、今の人にも心に響くもの、ストレートにズドンとくるものを作らなきゃいけない、そのへんですごくプレッシャーを感じましたね。

今までPVなどの映像はやってきたんですけど、『くるみ割り人形』では映画初監督ということで、僕がやれるものはここですべて出し切ろう、そのうえでみなさんに判断してもらおうと思いました。もう、現時点の自分の能力では限界まで出し切りましたよ。今は本当に集中している時期で、風邪もひかないし、お腹も減らないし、なにかがぶっちぎれている感じがすごくします。

『くるみ割り人形』

──元の題材が人形アニメーションですが、そのすごさについてお願いします。

コマ撮りの人形アニメーションは、今ではなかなか出来ない手法ですよね。一日に3秒のアニメーションしか撮れなかったと聞いています。今はCGでパパッと出来るところを、毎日人形を動かしてアナログでアニメーションを作る積み重ねの作業には、それならではの凄さがあります。ほんのちょっとの動きの説得力が全然違いますよ。便利になった今だからこそアナログの凄さ、自分たちの原点を見直す時期にきていると思います。そこにプラスして現代のCG、ボカロ、3Dなどを駆使して新しい作品を作る。それがこれからのエンタテイメントだと考えています。

『くるみ割り人形』

──リ・クリエイトにあたって増田さんならではのアプローチは具体的にはどのように行ったのでしょうか?

僕はもともとアートディレクターとして活動していますので、ビジュアル面は強烈なものを、鮮烈なものを届けようと考えています。脚本では現代にはちょっとそぐわない部分を書き換えて、現代の子たちにもわかりやすいような編集にしました。

実はこの作品は、当時の脚本に僕がすごく影響を受けた詩人の寺山修司氏も関わっていたんです。僕の十代のときの憧れの存在の人が関わっていた作品ということで、時空を超えてコラボしている、そういう感じがすごくします。

『くるみ割り人形』

──では、今回伝えたかったテーマとは?

もちろん愛とか、少女から大人への成長の過程とか、そういったポイントはいくつもありますが、僕が一番伝えたかったことは、日本には35年前から『くるみ割り人形』のようなクリエイティブを生み出せるオリジナルのカルチャーが存在していて、その歴史の上に私たちが生きているという事。そしてそのカルチャーが今、世界で認められているという事をきちんと伝えたいです。

そういった点が、僕がこの作品のリ・クリエイトに取り組む意義だと感じています。昨日今日はじまったカルチャーではなく、先輩方がずーっと作り上げてきたものです。それを僕たちが世界に向けて発信していく。その姿を若い世代がみて、日本のカルチャーを誇ってもらいたい。今までは、欧米のカルチャーが凄いと思ってたかもしれないけど、日本で作ってきたものにも凄いものがいっぱいあると。世界で対抗できるものがあると。私たちが誇りをもって未来に走って行くところを見てほしいです。この映画が世界で評価されたときに、それが伝わるのかなと思っています。責任重大ですね。

『くるみ割り人形』

──最後に、あらためてこの映画の見どころをお願いします。

1時間半くらいの映画ですが、1秒1秒の情報量が多いので、体感は30分くらいなのではないかと思います。全てのカットに仕掛けを入れています。僕の提示した仕掛けをお客さんがどれだけ汲み取ってくれるか、どのように観てくれるのか。これは監督の僕とお客さんとの戦いだと思っています。がっつり、がっぷり世界観を味わってほしいです。

(オフィシャル・インタビューより)



映画『くるみ割り人形』
2014年11月29日(土)【3D/2D】全国ロードショー

ある雪の夜。少女クララは、大切な"くるみ割り人形"をネズミの大群にさらわれてしまう。ネズミを追って彼女が迷い込んだのは、世にも鮮やかな【人形の国】。そこには【ふたつ頭の白ネズミの女王】に呪いをかけられ、眠ったままのお姫様がいた。邪悪な魔法を解くための【人形とネズミの戦い】に巻き込まれたクララは、"くるみ割り人形"に隠された悲しい秘密を知る。その時、まだ感じたことのない気持ちが彼女に芽生える。やがて"いのち"と引き換えにしても<守りたい>と思ったものとは―――?

監督:増田セバスチャン
3D監督:三田邦彦
吹替え:有村架純、松坂桃李、藤井隆、大野拓朗、安蘭 けい、吉田 鋼太郎、板野友美(友情出演)、由紀さおり(特別出演)、広末 涼子、市村 正親
テーマ曲:きゃりーぱみゅぱみゅ「おやすみ-extended mix-」
作詞・作曲・編曲・中田ヤスタカ(CAPSULE) ワーナーミュージック・ジャパン
制作プロダクション:キュー・テック
企画・制作・配給:アスミック・エース
製作:サンリオ
©1979,2014 SANRIO CO.,LTD.TOKYO,JAPAN
公式サイト


『くるみ割り人形』

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